はじめに
こんにちは!小児科医りんご🍎です。
自治体から届く「健診のお知らせ」。
封筒を開けながら、「うちの子、ちゃんと喋れるかな?」「積み木積めるかな?」と、まるで通知表をもらう前のようなドキドキ感を抱えているパパ・ママも多いのではないでしょうか。
乳幼児健診は、お子さんの成長を確認する大切な機会ですが、決して「合格・不合格」を決める場所ではありません。
今回は、特に重要な1歳6か月健診・3歳児健診に加え、最近注目されている2歳児・5歳児健診について、私たち小児科医が「どこを診ているのか」、「親御さんに準備してほしいこと」を分かりやすく解説します。
1歳6か月児健診:言葉と社会性の第一歩
1歳半は、赤ちゃんから幼児へと変わる大きな節目の時期です。この健診は法律(母子保健法)で定められた、非常に重要な健診です。
🩺 医師のチェックポイント
- 歩行の確認: 一人で安定して歩けるか。
- 言葉の理解と発語: 「ワンワン」「マンマ」などの有為語(意味のある単語)が3語程度出ているか。また、「ゴミ箱にポイして」などの簡単な指示が理解できるか。
- 指差し: 「ブーブーどれ?」と聞かれて車を指させるか(応答の指差し)、欲しいものを指すか(要求の指差し)。
- 社会性: 親と視線を合わせるか、人見知りがあるか(愛着形成の確認)。
- 大泉門: 頭の上がちゃんと閉じているか。
💡 ここがポイント!
この時期に一番多い悩みは「言葉が遅い」ことです。個人差が非常に大きい時期なので、こちらの言っていることが分かっているようであれば、様子を見ることがほとんどです。 また、「指差し」は言葉の前段階としての重要なサインです。もし指差しが出ない場合は、少し丁寧な経過観察が必要になることがあります。
2歳児健診:イヤイヤ期と虫歯の壁
1歳半と3歳の間にある「空白期間」を埋めるために実施する自治体が増えています。歯科健診をメインに行う場合も多いです。
🩺 医師のチェックポイント
- 2語文: 「ママ、きた」「ワンワン、いた」など、2つの単語をつなげて話せるか。
- 生活習慣: 食事・睡眠のリズム。卒乳の状況など。
- 歯科: 臼歯(奥歯)が生えそろう時期なので、虫歯のチェックと歯磨き指導がメインになります。
💡 ここがポイント!
いわゆる「イヤイヤ期」真っ只中です。「癇癪(かんしゃく)がひどい」「ご飯を食べない」といった育児相談がメインになることも。この時期の健診は、子供の発達チェックというより、「親御さんのメンタルケアと育児支援」の色合いが強いのが特徴です。
3歳児健診:集団生活への準備
3歳児健診も法律で定められた必須の健診です。身体面だけでなく、視聴覚や社会性などチェック項目が多岐にわたります。
🩺 医師のチェックポイント
- 視力・聴力: 弱視や難聴の早期発見が最重要課題です。
- 尿検査: 腎臓の病気がないか、尿タンパクや糖をチェックします。
- 会話: 名前や年齢が言えるか。
- 運動能力: 片足立ちができるか、その場ジャンプができるか。
💡 ここがポイント!
最大の落とし穴は「視力・聴力検査」と「検尿」です! 3歳児健診での視力検査(屈折検査など)は、弱視を治療できるタイムリミット(就学前)に間に合わせるためのラストチャンスに近い意味合いがあります。 また、オムツが外れていない子の採尿はパパ・ママの試練です。朝イチで失敗しないよう、採尿パックなどの準備をしっかり行いましょう。
5歳児健診:就学前の最終確認
最近、多くの自治体で導入が進んでいる新しい健診です。「就学時健診(小学校入学直前)」の前段階として、集団生活への適応を見ます。
🩺 医師のチェックポイント
- 集団適応: 幼稚園や保育園で、ルールを守って遊べているか。落ち着きがない、切り替えが苦手などの特性がないか。
- 巧緻性(手先の器用さ): お絵かき(○や△が描けるか)、ボタンかけなどができるか。
- 協調運動: ケンケンができるか、スキップの練習など。
💡 ここがポイント!
ここでは、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達特性の傾向がより明確に見えてくる時期です。 小学校に入ってから「座っていられない」「勉強についていけない」と本人が苦労しないよう、支援が必要な子を早期に見つけてサポートにつなぐことが目的です。「様子を見ましょう」から「具体的な環境調整」へシフトする時期と言えます。
まとめ:健診で「ひっかかる」ことは悪いことじゃない
最後に、小児科医としてこれだけは伝えさせてください。
健診で「要観察(様子を見ましょう)」と言われたり、再検査になったりすると、親御さんはショックを受けるかもしれません。「私の育て方が悪かったのかも」と自分を責める方もいます。
でも、健診は「ダメ出し」の場ではなく、「その子に合ったサポートを見つける」場です。 早期に特性や苦手なことが分かれば、それだけ早く対策(療育や環境調整)ができ、お子さん自身が生きやすくなります。
「家ではこんな感じなんですけど、大丈夫ですか?」 その一言を相談するために、ぜひリラックスして健診に来てくださいね。


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