はじめに
こんにちは!小児科医りんご🍎です。
赤ちゃんが生まれてからの1年間は、まさに「激動」の毎日ですよね。 「首がすわった!」「寝返りした!」と喜んだのも束の間、他の子と比べて「うちはまだハイハイしない…」と不安になったり。
0歳児の健診は、そんな目まぐるしい身体の成長と、神経の発達を確認する大切なマイルストーンです。 今回は、自治体から受診票が届くことの多い、1ヶ月・3-4ヶ月・6-7ヶ月・9-10ヶ月の4つのタイミングについて、私たち医師が診ているポイントを分かりやすく解説します。
1ヶ月健診:世界への第一歩
退院後、初めての健診です。多くの場合、出産した産院や病院で行われます。
🩺 医師のチェックポイント
- 体重の増加: 最も重要です。1日あたり約25〜30g増えているかが目安になります。母乳やミルクが足りているかの判定基準になります。
- 原始反射: 生まれつき持っている反射(吸てつ反射やモロー反射など)が正常にあるか。
- 黄疸(おうだん): 肌の黄色みが強すぎないか。
- おへそ: じゅくじゅくしていないか(臍肉芽など)、出っ張っていないか(臍ヘルニア)。
- 心雑音・股関節: 先天的な心臓の病気や、股関節脱臼の兆候がないかチェックします。
- K2シロップ: ビタミンK欠乏性出血症を防ぐシロップを投与します。
💡 ここがポイント!
この時期は「ママの健診」でもあります。お母さんの体調回復や、産後うつの兆候がないかも非常に重要視しています。「眠れない」「涙が出る」などの辛さは、遠慮なく助産師や医師に吐き出してくださいね。
3-4ヶ月健診:「首すわり」チェック
多くの自治体で集団健診として行われる、0歳児前半の山場です。
🩺 医師のチェックポイント
- 首のすわり: 仰向けから両手を持って引き起こした時、頭がついてくるか。うつ伏せで頭を持ち上げられるか。
- 追視とあやし笑い: 動くものを目で追うか。あやすとニッコリ笑うか(社会的微笑)。
- 股関節の開き: 開排制限(股関節脱臼の疑い)がないか、太もものシワの数に左右差がないか。
- 肌のトラブル: 乳児湿疹やアトピー性皮膚炎の兆候がないか。
💡 ここがポイント!
最大のテーマは「首すわり」です。これが完了すると、縦抱きができるようになり、世界が広がります。少し首すわりがゆっくりな子もいますが、医師が「引き起こし反応」を見て、首の筋肉に力が入っていれば経過観察でOKなことが多いです。
6-7ヶ月健診:お座りと離乳食
個人医院で個別健診として受けることが多い時期です。身体的な動きに個人差が出てきます。
🩺 医師のチェックポイント
- 寝返り: 左右どちらかにゴロンとできるか。
- お座り: 支えてあげれば少しの間座っていられるか(まだ一人で完璧に座れなくても大丈夫なことが多いです)。
- 手先の動き: ハンカチを顔にかけられた時、自分で取れるか(顔布テスト)。おもちゃを持ち替えられるか。
- 人見知り: 知らない人を見て泣いたり固まったりするか(精神発達の重要なサインです)。
💡 ここがポイント!
「離乳食」の進み具合の確認がメインテーマの一つです。「まだ2回食に進めない」「食べてくれない」といった悩み相談が非常に多い時期。体重曲線が成長曲線のカーブに沿っていれば、焦らなくても大丈夫ですよ。
9-10ヶ月健診:移動手段の獲得
0歳児最後の健診です。ハイハイやつかまり立ちなど、動きが活発になります。
🩺 医師のチェックポイント
- ハイハイ・つかまり立ち: 自分の力で移動できるか、体を支えて立てるか。
- パラシュート反射: 体を急に前に傾けた時、両手を出して体を支えようとするか(転んだ時に手が出るか)。
- 指先の巧緻性(こうちせい): 親指と人差し指で、小さなボーロなどをつまめるか。
- 後追い・模倣: ママの後をついてくるか。「バイバイ」や「パチパチ」の真似ができるか。
- 精巣(男の子): 停留精巣がないか再チェックします。
💡 ここがポイント!
この時期、「ハイハイをしない(シャフリングベビー:座ったまま移動する)」という相談が増えます。ハイハイをスキップしていきなり立つ子もいます。筋肉の病気などが隠れていなければ「その子の個性」と判断されます。 また、動き回ることで「誤飲」のリスクが跳ね上がります。部屋の環境設定についても指導が入ることがあります。
まとめ:母子手帳の「はい・いいえ」に悩みすぎないで
乳児健診の問診票にある「〇〇できますか?」という質問。「いいえ」をつけるたびに、胸が痛む親御さんもいるかもしれません。
しかし、赤ちゃんの発達は「階段」というより「螺旋階段」です。行きつ戻りつしながら、その子のペースで確実に登っています。 私たち小児科医は、その子の「できないこと」を減点法で見ているのではなく、「全体的な成長のバランス」を見ています。
気になることがあれば、スマホで動画を撮ってきてもらうと、診察室で再現できなくても判断しやすいのでおすすめですよ。


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