【小児科医blog:育児】痛くない注射の打ち方はある?予防接種で大泣きする子に親ができること『プレパレーション(心の準備)』の話 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:育児】痛くない注射の打ち方はある?予防接種で大泣きする子に親ができること『プレパレーション(心の準備)』の話

子育て
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こんにちは。小児科医兼育児ブロガーの小児科医りんご🍎です。

予防接種など、待合室から聞こえてくる泣き声に「次はうちの子の番か……」と胃がキリキリする親御さんも多いのではないでしょうか?

「先生、痛くないように打ってください!」

そう懇願されることもよくありますが、正直に言います。

魔法のように無痛にするのは難しいです。しかし、痛みを「最小限」にし、トラウマを作らない方法はあります。

今日は、医療現場で使われている「プレパレーション(心の準備)」というテクニックと、親御さんが今日からできる具体的な工夫について解説します。


そもそも「プレパレーション」ってなに?

「プレパレーション(Preparation)」とは、子どもに対し、これから起こる医療行為(注射や検査など)について、その子の年齢や理解度に合わせて説明し、心の準備をサポートすることです。

「どうせ泣くから何も言わずに連れて行く」というのは、実は一番NG。突然の痛みや恐怖は「騙された!」という不信感を生み、病院嫌いを加速させてしまいます。

正しいプレパレーションを行うことで、子どもは「何が起きるか」を予測でき、納得して頑張る力が湧いてきます。


【年齢別】今日からできる「心の準備」と対策

子どもの発達段階によって、効果的なアプローチは全く異なります。

1. 乳児期(0歳〜1歳頃):安心感がすべて

この時期は言葉での説明よりも、「感覚」へのアプローチが有効です。

少量の授乳やおしゃぶり(吸てつ鎮痛)

実は「甘いものを口にする」「吸う」という行為には、強力な鎮痛効果があるというエビデンスがあります。接種直前の少量授乳や、砂糖水を含ませることで鎮痛作用があります。また、おしゃぶりを吸うだけでも効果はあるので、お試し下さい。

抱っこの魔法(ホールディング)

ベッドに寝かされて押さえつけられると恐怖倍増です。親御さんの膝の上で座らせ、しっかり抱きしめる体勢のほうが、安心感があり暴れにくいです。

2. 幼児期(1歳半〜3歳頃):嘘をつかず、直前に伝える

「痛くないよ」という嘘は絶対にやめましょう。一度でも痛い思いをすれば、次は信じてくれなくなります。

伝えるタイミング

何日も前から伝えると不安が長引くため、「当日の朝」や「病院に行く直前」がベスト。「チクッとするけど、すぐに終わるよ」と短く伝えます。

お気に入りの絵本・おもちゃ

この時期の最強の武器は「気をそらすこと」です。注射の瞬間、お気に入りの絵本を見せたり、音の出るおもちゃを使ったりするのは医学的にも正しい疼痛緩和策です。遠慮せず使いましょう。

3. 学童期(4歳〜6歳以降):納得と主体性

言葉の理解が進むこの時期は、「なぜ打つのか」を説明し、「自分で選ばせる」ことで自尊心を守ります。

理由を説明する

「病気にならないためのバリアだよ」「強い体を作るパワーをもらおう」など、ポジティブなイメージを伝えます。

選択肢を与える

「打つか打たないか」は選べませんが、「右腕にする?左腕にする?」「見る?見ない?」など、自分で決められる選択肢を与えると、子どもは覚悟を決めやすくなります。


これだけはやめて!親がやりがちなNG行動

よかれと思ってやりがちな行動が、実は逆効果になることがあります。

「ごめんね」と謝る

「痛いことさせてごめんね」と謝ると、子どもは「親が謝るような悪いことをされている」と感じてしまいます。「頑張ったね」「えらいね」と肯定的な言葉に変換しましょう。

「言うこと聞かないと注射してもらうよ!」と脅す

日常生活で病院を罰に使わないでください。病院=罰を与える場所、という刷り込みは、いざという時の治療の妨げになります。

過度な共感と不安

親御さんが「かわいそう、痛そう…」と不安な顔をしていると、その不安は子どもに伝染します。 俳優になったつもりで「大丈夫、すぐ終わる!」とどっしり構えていてください。


医学的に「痛くない打ち方」はあるの?

医師サイドでも、痛みを減らすための技術的な工夫は日々行われています。

  • 皮膚を急冷する: 注射部位を直前に保冷剤などで冷やすと、痛覚が鈍くなり痛みが軽減されることがあります。
  • 乾いてから打つ: 消毒用アルコールが乾かないうちに針を刺すと、アルコールが傷口に染みて痛むため、少し乾くのを待ちます。
  • 力を抜く: 筋肉注射の場合、力が入って筋肉が固くなると痛みが強くなります。「ふーって息を吐いて〜」と声をかけ、リラックスさせるのはそのためです。

まとめ:終わった後の「褒め」が次の勇気を作る

これはある程度会話できる段階の子供に限りますが、注射が終わった後、大泣きしていても暴れていても、最後は必ず「具体的に」褒めてください。

×「泣かないの!」

○「泣いたけど、腕は動かさなかったね!すごい!」

○「病院まで自分の足で歩いて来れたね!」

「終わりよければすべてよし」です。家に帰ってからも、「今日は○○ちゃん、注射頑張ったんだよ」と家族みんなで褒めてあげてください。その成功体験が、次の予防接種への「心の準備(プレパレーション)」になります。

予防接種は、子どもを守るための親からの最初のプレゼント。 少しでも笑顔で乗り切れるよう、私たち小児科医も全力でサポートします!

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