【小児科blog：新生児, 栄養】母乳強化物質(HMS-1, HMS-2)について

目的

・超低出生体重児は、体内で十分な栄養素の備蓄なく出生し、生後も臨床的にフルの栄養にできないことが多い(慢性肺疾患, 無呼吸etc)。特に、タンパク質、Ca(カルシウム)、P(リン)が不足する。そのため、発育不全や骨減少症のリスクとなる。

・仮に母乳摂取量が150mL/kg/日であっても、備蓄の不足を補い、かつ身体発育の増加をまかなうだけのタンパク質(3.3g/kg/日)やミネラルの供給は困難。

HMS-1 母乳添加用粉末　0．8g×100包
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・母乳強化物質(HMS-1, HMS-2)は、母乳の利点を十分生かしながら、母乳単独では不足する栄養成分(タンパク質、デキストリン、カルシウム、リン、ナトリウム…etc)が至適に混合された物質である。

・注意点として、HMSには脂肪、ビタミンD、鉄、亜鉛、銅が添加されていない。ビタミン類、鉄は従来通り添加が必要。リンは100mLあたり1.1mEq添加されているが、リン製剤の添加は必要なことが多い。

追記2025/7/9)

森永乳業株式会社より、悲しいニュースが⋯。

HMS-2ですが、販売終了となってしまったようです⋯。2026年１月末に販売終了予定とのことです。理由としては、栄養価の添加のため独特の風味があり、お子さんで飲みにくい方が多かったこと、HMS-1の普及率の方が高く、おそらくHMS-2の販売量が少なかったことが考えられるようです。

また、HMS-1は包装量が変更でのリニューアルとなるようです！ぜひ下記リンクからチェックしてみて下さい！！　

・原則では出生体重1500g未満

・HMS-1、HMS-2ともに、母乳摂取量が50-100mL/kg/dayに到達した時点から開始する施設が多い。

・はじめの数日は、母乳60mLあたり0.8g (〜2025年11月：0.8g/包、2025年11月以降〜：1/6g/包)

・腹満、下痢がないことを確認後、母乳30mLあたり１包を添加。

・身体計測として、体重は毎日。身長、頭位は週１回

・血算、総蛋白、アルブミン、血清鉄、TIBC、フェリチン、尿素窒素、クレアチニン、Na、K、Cl、Ca、P(血液・尿)は1-2週ごとにチェック

・退院２週前ごろ。

・HMSを中止しても体重増加良好で、TP、リンの低下がないことを確認する。

・体重2300-2500gくらいになった場合

・母乳が授乳量の50%未満になったら、強化効果が薄れる。

・HMS-1は従来の母乳添加用粉末。

・HMS-2は新しい母乳添加用粉末。水分制限などで、HMS-1では十分な栄養を取れない場合に使用。

母乳100mlあたりの各栄養素増加量

・販売元である、森永乳業株式会社からも、母乳添加用強化粉末の説明・レポートが出されているので、下記リンクを参照ください↓

・胆汁うっ滞や消化管術後の腸管運動低下時に強化母乳単独での経腸栄養を行うと、脂肪酸カルシウム糞石が形成され、腸閉塞の原因となる場合がある。

・国内で販売されているものは、ウシ由来成分が使用されている。しかし、アメリカでは人乳由来の母乳強化物質が製品化されており、国内でも一部施設で開始されている。

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