総論
・頭部の形態異常がある場合、病歴と身体診察で良性の頭蓋骨変形なのかを予想することができる。
・また骨縫合が正常かどうかも大事なポイントである。
・上記の2つ(良性疑い・骨縫合正常)に当てはまるか、そうでないかで鑑別疾患が異なる
・成長過程の頭蓋骨に加わる力の変化(子宮内、周産期、出生後)の結果として頭蓋骨変形異常が起こる
良性疑い・骨縫合正常な場合
斜頭(姿勢による頭蓋骨変形)
・最もよくみられる原因
・乳児を仰臥位で寝かせることが推奨されるようになった影響で斜頭の発生が増加している。
・真の頭蓋骨縫合癒合症とは鑑別されないといけない良性の頭蓋骨変形である。
・縫合線は離開しており、前頭部と側頭部の突出が平坦になった後頭部の同側に生じる。
・頭蓋骨の応形変形は骨盤位あるいは産道を通過した新生児で生じるが、変形は数週間以内に消失する。
先天性筋性斜頸
・乳児の頸部可動域が制限されることがあり、顔面の非対称や斜頸が生じる。
・新生児期にはしばしば見逃され、乳児が頭を動かせる時期になって初めて診断されることもある。
良性疑い・骨縫合正常『ではない』場合
・『前頭部の隆起があるかどうか』、『顕著な骨隆起や骨縫合線の癒合があるか』で鑑別が異なる。
前頭部の隆起がある場合
・先天梅毒
・くる病
・鎖骨頭蓋骨異骨症:遺伝性疾患で、頭蓋骨・鎖骨・骨盤を含む膜用骨の不完全骨化が特徴(前頭隆起、下顎突出、広い鼻底などの口腔顔面の変形を伴う)。頭蓋骨縫合はしばしば広く離開し、縫合骨wormian bone(頭蓋骨縫合線に沿ってみられるモザイク状の骨)がみられる。
・外胚葉異形成症
・Lowe症候群
顕著な骨隆起・骨縫合線の癒合がある場合
・頭部X線や頭部CT検査での画像的検索を行う。
・原因として、頭蓋骨癒合症がある。
・ラムダ縫合の真の骨癒合症では、代償的な骨成長のため癒合部の対側にある前頭部と頭頂部の隆起が生じる。
・姿勢によるものと考えられる左右対称性の後頭部平坦化に画像検査は不要。
・頭蓋骨癒合症では、癒合した縫合線が触知可能な隆起になっていることが多い。
・頭蓋骨癒合症は孤発性の原発性癒合症として発症することが一般的だが、症候群の一症状として生じることもある。
・代表的な関連疾患にはCrouzen症候群、Apert症候群、Pfiffer症候群、先天性甲状腺機能亢進症、副腎皮質過形成がある。
Crouzen症候群
・冠状縫合の両側性早期癒合により短頭となることが多い。
・眼窩は十分に発育せず、眼球突出が目立つ。
Apert症候群
・冠状縫合、矢状縫合、ラムダ縫合など複数の縫合の早期癒合をきたす。
・顔面は非対称となることが多く、第2・3・4指の合指症が特徴的
Pfiffer症候群
・尖頭症を合併することが多い。


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