【小児科医blog:新生児, 内分泌】早産児(未熟児)骨減少症の治療指針 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:新生児, 内分泌】早産児(未熟児)骨減少症の治療指針

内分泌代謝

原因

・いわゆる未熟児骨減少症はP(リン)やCa(カルシウム)などミネラル不足が原因です。

・血清ALP上昇は、骨のremodelingの活動を表しています。

・早産児骨減少症について、P(リン)、Ca(カルシウム)・%TRPについても含めまとめていきます。

低P(リン)血症については以前のブログにまとめています↓↓

診断

・母乳栄養主体の場合、以下のような条件に当てはまると骨減少症の診断となります。

X線診断

・長管骨骨端(前腕遠位端)に杯状変形、毛羽立ちが見られる。

・重症例では肋骨などの病的骨折像が見られる。

生化学所見

・低リン血症(4.0 mg/dL未満)

・高ALP血症(JSCC法で1,000IU/L以上、IFCC法で450IU/L以上)

※本邦では従来JSCC法で測定されていたが、2020年度に多くの施設でIFCC法(国際標準法)に切り替えられた。IFCC法はJSCC法によるALP値を約0.35倍したものである。つまり、JSCC法ではALP値1300 IU/Lで高値となる。

以下に、治療指針についてまとめます。

治療指針

①高ALP血症の確認

・IFCC法(国際標準法)で、ALP≧450 IU/Lの場合、高ALP血症といえます。

・まずこの検査異常があるかどうかが検査について気をつけて見ていくかの指標です。

②血清P正常〜低値の場合

・%TRPに着目して評価していきます。

%TRPとは

%TRP=100 × (1-Cp/Ccr)=100 × (1-Up×Pcr/Pp×Ucr)

 血清(P: plasma):Ca、P、ALP、Crを1-2週に1回検査

 尿中(U: urine):Ca、P、Crを週1-2回検査

%TRP高値(>99)の場合

・%TRP高値であれば、HMS-1など母乳強化剤の投与を行い、Pのの投与量を増やす必要があります。

・これによりP不足が解消されれば、ALPの低下や%TRPが低下してきます。

・注意すべきことは、P投与を漫然と続けるとP過剰となり、相対的なCa不足を起こし、副甲状腺機能亢進症のリスクとなる危険性です。

%TRP低値(≦93)の場合

・未熟児くる病の副甲状腺機能亢進状態はCaあるいはVit-Dの不足による低Ca血症が誘引となって生じるため、治療にはCa剤+VItーDの投与が必要となります。

・P過剰の場合もCa不足を起こし、二次性に副甲状腺機能亢進を起こすことがあるのは上記の記載どおりです。

注意:%TRPが当てにならない場合

・ちなみに、尿細管が障害された状態では、P再吸収障害が生じます(%TRPが低下する)。

・その場合、%TRPでの評価は不適当となるため、血清副甲状腺ホルモン値の測定が必要になります。

③血清P正常〜高値の場合

・Pが低くないがALP高値の場合、Caに注目して解釈します。

・通常、Ca剤あるいはVItーD過剰でない限り、血清Caは正常〜低値になります。評価としては、尿中Caの値が決めてとなります。

・ちなみに、下記の尿中Caによる治療方針決定の際は、%TRP正常値(94-98)であることが条件となります。

尿中Ca(尿Ca/Cre比)高値の場合

・VItーD不足が原因と考えられます。

・Vit-D投与によりVItーD数値が改善すれば、尿中Ca/Cre比の低下に引き続き、血清Caが上昇してきます。

・VItーD投与を続けてVItーD過剰状態となると、今度は高Ca血症となり、尿中Ca/Cre比は再度上昇します。その場合、速やかにVItーDを減量あるいは中止する必要があります。

VItーD(ビタミンD)の測定について

・VItーD欠乏性くる病の場合、活性型である1, 25(OH)₂Dは正常域に保たれることが多いですが、貯蔵型である25(OH)Dは先に減少してきます。そのため、Vit-Dの測定では25(OH)Dを測定すべきです。

・貯蔵型Vit-Dから活性型VIt-Dとなる時、PTHや低Ca血症によって促進され、1, 25(OH)₂Dにより抑制されます。そのため25(OH)Dの測定が重要となるのです。

尿中Ca(尿中Ca/Cre比)低値の場合

・Ca不足が原因と考えられます。その場合、Ca投与が選択されます。

血清Pが正常〜高値でも%TRPが低値(≦93)の場合

・VItーDが不足している場合は尿からCaの排泄が増えるはずですが、Ca欠乏が著しい場合、副甲状腺機能亢進も著しくなり、これにより尿Ca再吸収が亢進され、尿Ca排泄が減ります。このようなケースでは、Ca投与だけでなく、Ca+VIt-D剤の投与が必要になります。

治療

以下にCa、P、Vit-Dについて初期投与量をまとめます。

Ca(カルシウム)

・乳酸カルシウム 0.6 g/kg/日 内服 分4

P(リン)

・コンクライトP 0.5 mL/kg/日

・リン酸Na補正液 1.0 mL/kg/日 内服または静注 分4

VItーD(ビタミンD)

・Baby-D 1-2滴(2-4μg)/日 分1

・アルファロール 0.1mL/kg/日 内服 分1

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