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【小児科医blog:内分泌代謝】SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)まとめ

内分泌代謝

SIADH:syndrome of inappropriate antidiureteic gormone secretion

SIADH(抗利尿ホルモン不適切分泌症候群)は、抗利尿ホルモンの異常な分泌によって引き起こされる病気です。

低ナトリウム血症をみた際に鑑別とすべき疾患です。

今回は、SIADHの症状、疫学、検査、治療についてまとめます。

総論

・SIADHは、抗利尿ホルモンが異常に分泌されるために、体内の水分量が増加し、低ナトリウム血症を引き起こす病気です。

・SIADHは、腫瘍、脳卒中、脳外傷、肺炎、結核、薬剤性などの原因によって引き起こされることがあります。

SIADHの症状

・SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)は、『脱水兆候や浮腫を認めず』、頭痛や悪心、意識障害、痙攣などの低ナトリウム血症の症状を呈します。この脱水兆候を認めないことが特徴的といえます。

・ただし、低ナトリウム血症が緩徐に進行した場合は症状を認めないことも多くあります。

・また、低ナトリウム血症をきたす疾患や病態は多岐にわたるため、症状のみからSIADHを診断するのは難しいといえます。そのため、脱水や浮腫などの体液量の評価が重要であり、血液検査や尿検査値も合わせて診断していきます。

疫学

・SIADHの発症率は、年齢、性別、地域によって異なります。一般的には、高齢者や女性に多く、西洋人よりも日本人に多いとされています。

病態

・SIADHは、低ナトリウム血症であるにもかかわらず、抗利尿ホルモンであるバソプレシン(AVP)による水の再吸収が持続し水利尿不全となっている病態です。

・本来、血清ナトリウム濃度が低下すると、AVPの分泌が抑制されることで水利尿が亢進して、血清ナトリウム濃度は回復します。しかし、SIADHでは血清ナトリウム濃度が低下してもAVPの分泌が抑制されないため、血清ナトリウム濃度は低下したままとなります。

・AVPの分泌亢進により、SIADHでは一時的に循環血液量が増加した希釈性低ナトリウム血症や低血漿浸透圧を呈します。しかし、AVPの分泌亢進状態が長時間持続すると、AVPのV2受容体や、水チャンネルであるアクアポリン2のダウンレギュレーションが生じて部分的に水利尿が回復します。これはAVPエスケープ現象と呼ばれます。

・それと同時に、循環血液量増加により二次的にナトリウム利尿ペプチド(atrial/brain natriuretic peptide:ANP/BNP)の分泌亢進やレニン-アンジオテンシン-アルドステロン(renin-angiotensin-aldosterone:RAA)系が抑制されることによりナトリウム排泄も進み、循環血液量がほぼ正常の低ナトリウム血症(体液正常型低ナトリウム血症)となります

今回の情報参照元として紹介します。

SIADH.jpという、SIADHについてまとめたサイトの内容です。

SIADH症状と病態|SIADH.JP 〜「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群」がよくわかるサイト〜 | 大塚製薬
SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)は、低ナトリウム血症であるにもかかわらず、抗利尿ホルモンであるバソプレシン(AVP)による水の再吸収が持続し水利尿不全となっている病態です。

検査

・SIADHの診断には、血液検査、尿検査、画像検査が用いられます。

・血液検査では、低ナトリウム血症が見られます、血漿浸透圧も下がります(≦280 mOsm)

・尿は濃縮されており、尿検査では尿中ナトリウム濃度が高くなります(尿Na≧20 mmol/L, 尿浸透圧≧300 mOsm)

・画像検査では、脳卒中や脳外傷などの原因を調べます。

診断基準

厚生労働省の間脳下垂体機能障害に関する調査研究班による「間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)」にて、SIADHの診断基準が示されています

Ⅰ. 主症候

 脱水の所見を認めない

Ⅱ. 検査所見

1.血清ナトリウム濃度は135mEq/Lを下回る

2.血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る

3.低ナトリウム血症、低浸透圧血症にもかかわらず、血漿バソプレシン濃度が抑制されていない

4.尿浸透圧は100mOsm/kgを上回る

5.尿中ナトリウム濃度は20mEq/L以上である

6.腎機能正常

7.副腎皮質機能正常

確実例:ⅠおよびⅡのすべてを満たすもの。

参考所見

1.倦怠感、食欲低下、意識障害などの低ナトリウム血症の症状を呈することがある

2.原疾患の診断が確定していることが診断上の参考となる

3.血漿レニン活性は5ng/mL/h以下であることが多い

4.血清尿酸値は5mg/dL以下であることが多い

5.水分摂取を制限すると脱水が進行することなく低ナトリウム血症が改善する

治療

・SIADHの治療には、原因によって異なりますが、一般的には、水分制限、ナトリウムの補充、利尿剤の投与が行われます。また、原因となる疾患の治療が必要な場合もあります。

・ナトリウム濃度により、治療方法は以下のように手引きに示されている。

間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドラインにおけるSIADHの治療|SIADH.JP 〜「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群」がよくわかるサイト〜 | 大塚製薬
「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」では、SIADHに対して、原疾患の治療、水分制限、塩分投与、3%食塩水(高張食塩水)の点滴投与、薬物治療といった治療法が示され(表1)、「いずれか(組み合わ...

次のいずれかの治療を選択する。

  1. 原疾患の治療を行う
  2. 1日の総水分摂取量を体重1kgあたり15~20mLに制限する
  3. 食塩を経口的または非経口的に1日200mEq以上投与する。
  4. 重症低ナトリウム血症(120mEq/L以下)で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合は、フロセミドを随時10~20mg静脈内に投与し、尿中ナトリウム排泄量に相当する3%食塩水を投与する。その際、橋中心髄鞘崩壊を防止するために、1日の血清ナトリウム濃度上昇は10mEq/L以下とする。
  5. 異所性バスプレシン産生腫瘍に原因し、既存の治療で効果不十分な場合に限り、成人にはモザバプタン塩酸塩錠(30mg)を1日1回1錠食後に経口投与する。投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り、引き続き7日間まで継続投与することができる。
  6. デメクロサイクリンを1日600~1200mg経口投与する。

以上がSIADHについてのまとめです。SIADHの早期発見と適切な治療が重要です。

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