【小児科医blog:内分泌代謝】くる病・骨軟化症について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:内分泌代謝】くる病・骨軟化症について

内分泌代謝
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今回は、くる病についてまとめます。

1. きっかけ

外来で、乳のFPIAP疑いとして外来加療を行っていた患者さん。母の乳製品摂取を控えて症状はどうなるか…と経過をみていたのですが、血液検査で25(OH)Dがなんだか低いぞ…。そうだ、ミルク(人工乳)をあげていないではないか!ということがきっかけです。

2. 定義

くる病・骨軟化症は、骨石灰化障害を特徴とする疾患です。このうち、成長軟骨帯閉鎖以前に発症するものをくる病と呼びます。

3. 病態

主因は慢性低リン血症と考えられていています。骨近傍におけるリン酸・ピロリン酸比が低下し、骨石灰化は抑制され、骨芽細胞分化も抑制されます。骨組織では、類骨(石灰化されていない骨基質)の増加にとして認められます。

4. 症状・検査所見

骨石灰化の低下により、内反膝(O脚)、外板膝(X脚)などの骨変形、脊柱の側弯などの所見が認められます。また、軟骨分化の異常・成長軟骨帯の肥厚により、成長障害、関節腫脹が生じることがあります。

すべてのくる病に共通する検査所見は、単純X線でのくる病変化と高ALP血症がみられます。また、低P、低Ca血症が認められることがあります。

生化学的検査

  • 血清リン値:低リン血症が特徴的です。基準値は年齢によって異なりますが、小児では4.0 mg/dL以下、成人では3.5 mg/dL以下が診断の目安となります
     
  • 血清カルシウム値:低カルシウム血症が見られる場合があります(補正値8.4 mg/dL未満)
     
  • アルカリホスファターゼ(ALP):高値を示すことが多いです
     
  • 副甲状腺ホルモン(PTH):高値になることがあります。特にビタミンD欠乏性くる病では重要です
     
  • ビタミンD関連指標
    • 血清25(OH)ビタミンD:低値(20 ng/mL以下で欠乏と判定)
       
    • 血清1,25(OH)2ビタミンD:病型によって高値または低値を示します
       
  • FGF23(線維芽細胞増殖因子23):X連鎖性低リン血性くる病では高値を示します

画像検査

  • X線検査:骨幹端の杯状陥凹、骨端線の拡大や不整、毛羽立ちなどの特徴的な所見が確認されます
  • 骨シンチグラフィー:Looser’s zone(偽骨折)や肋軟骨への多発取り込みが認められる場合があります。単純X線所見としては、骨幹端の杯状陥凹(cuppling)、骨端線の拡大(flaring)、毛羽立ち(fraying)が認められます。

理学所見

・2歳頃までは、足の内側どうしをつけて、膝を伸ばした時に膝と膝との間が2横指まで入る状態は正常範囲内。

・4歳頃までは、足の内側同士を付けて膝を伸ばした時に、両足首の間が3横指の状態までは正常範囲内。

・上記を超えるもの、もしくは非対称性のものは病的である可能性が高い。

・2横指が約3cmとされているので、それ以上の間隔が異常を疑う。

 

5. ビタミンD欠乏性くる病の治療

活性型ビタミンDが治療に用いられます。

内服:アルファカルシドール 0.1 μg/kg/日(分1)から開始。

※症状・検査所見の改善とともに漸減する。

6. その他

また、くる病にはビタミンD欠乏の他にも、FGF-23関連低リン酸血症、薬剤性などがあります。

以上です。

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