【小児科医blog:内分泌代謝, 栄養】肥満症・メタボリックシンドロームについて | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:内分泌代謝, 栄養】肥満症・メタボリックシンドロームについて

内分泌代謝

肥満症の定義

・次のうち、A項目を1つ満たすか、肥満度50%以上でB項目を1つ満たすか、B項目を2つ満たすかすれば、肥満症と診断される。(なお参考項目は2つでB項目1つと同等とする)

A項目

  1. 高血圧
  2. 睡眠時無呼吸症候群などの換気障害:いびきが多い・途中で止まる、扁桃肥大があるなどでは睡眠時無呼吸検査が必要。
  3. 2型糖尿病・耐糖能障害
  4. 内臓脂肪型肥満:ウエスト周囲長の測定で、小学生≧75cm、中学生≧80cm、小中学生ともウエスト身長比≧0.5のいずれかをもって内臓脂肪型肥満ありと評価
  5. 早期動脈硬化症

B項目

  1. 非アルコール性脂肪性肝疾患
  2. 高インスリン血症かつ/または黒色表皮種
  3. 高TC血症かつ/または高non HDL-C血症
  4. 高TG血症かつ/または低HDL-C血症
  5. 高尿酸血症

参考項目

  1. 皮膚線条などの皮膚所見
  2. 肥満に起因する運動器機能障害
  3. 月経異常
  4. 肥満に起因する不登校・いじめ
  5. 低出生体重児または高出生体重児

肥満度・指導内容

・子どもの肥満は主に肥満度というものを使って評価する。

・肥満度は標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示すもので下記の式で計算される。

 
  肥満度=(実測体重-標準体重)/ 標準体重×100 (%)

軽度肥満(肥満度20-30%)

・本人と保護者へ肥満の健康障害について注意喚起し、生活指導を行う。

・6歳未満は肥満度15%以上の幼児肥満とする。

中等度肥満(肥満度30-50%)

・小児肥満症のリスクを検査するため医療機関への受診を勧める。医療機関でのチェック項目として、血圧、血清脂質(TC、LDL-C、HDL-C、non HDL-C、TGなど)、血糖、インスリン、ALT、AST、尿酸を含めるよう依頼する。

高度肥満(肥満度≧50%)

・小児肥満症が強く疑われるため小児肥満専門医療機関の受診を勧める。また留意事項として、ウエスト周囲長の測定で、小学生≧75cm、中学生≧80cmの場合、小中学生ともウエスト身長比≧0.5の場合、黒色表皮種がみられる場合、その他、肥満症が強く疑われる症状がある場合は肥満度が軽度、中等度でも高度と同様に考える。

小児肥満症診療ガイドライン2017

保護者への指導

以下の内容について、初診外来で両親と患児に対して説明をしておく。

①将来の生活習慣病を予防し、健康寿命を長くするためにも、積極的に肥満を解消しなければならない

※特に2型糖尿病に対してリスク。13歳の時点で過体重であれば、18歳までに改善しても2型糖尿病のリスクは1.47倍になる。

②早食いを避けること、ゆっくり噛んで食べること

③まず野菜から食べること

④お菓子の回数を今より減らすよう頑張ること

外来で実施する項目

・まずは上記の指導を行いつつ、様々な項目を客観的に評価することが重要である。

・外来への受診を途切れないよう、3ヶ月に1回くらいは受診してもらう。改善乏しければさらに頻回でもよい。

成長曲線

・肥満の発症時期と治療前後の経過を把握するため必須。

・母子健康手帳、幼稚園や保育園、学校のの身体計測記録から作成する。

骨年齢

・肥満症の成長の特徴は、前思春期における高インスリン血症により惹起された副腎アンドロゲンの増加による骨年齢の促進、身長増加率の増加です。

・上記より思春期前の肥満小児は高身長傾向のことが多いですが、成長のスパートが早くきてしまし成人身長は必ずしも高くはならない場合があります。

問診

・生活習慣の聞き取り:食事内容(朝食の摂取、野菜の摂取、好き嫌いの有無、間食の有無)、睡眠・起床時間、運動習慣

・家族歴:肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、脂肪肝、高尿酸血症、冠動脈疾患、脳卒中

・出生状況や乳幼児期の成長状況

・同居家族構成と体格

・運動器の状態:下肢痛、膝関節痛、足関節痛、骨折の既往

・月経:初経年齢、月経異常の有無

身体所見

・血圧測定

・思春期の評価:Tanner分類、清掃容積

・頭頚部:扁桃肥大、鼻閉、甲状腺腫、特異顔貌

・胸部:心雑音、呼吸音

・皮膚:黒色表皮症(頚部、腋窩)、皮膚線条(腹部、大腿部)、股擦れ、にきび、多毛

・四肢:下肢痛、関節腫脹(特に膝)、手足の形成異常

臨床検査

血液検査:6ヶ月おきくらいに検査

・末梢血、生化学検査(AST、ALT、TC、HDL-C、LDL-C、TG、UA、空腹時血糖、HbA1c、空腹時インスリン)

・内分泌検査(TSH、FT3、FT4、ACTH、コルチゾール、LH、FSH、E2、テストステロン、DHEA-S)

・尿検査(糖、ケトン、蛋白)

画像検査

・左手レントゲン(骨年齢)

・腹部エコー(脂肪肝、腹壁脂肪厚)

・臍部CT(内蔵脂肪面積、皮下脂肪面積)

メタボリックシンドロームの診断基準

・肥満症とは別に、メタボリックシンドロームという概念があります。

・メタボリックシンドロームは、肥満度は低いが内臓脂肪の多い子供を見つけるのに有効です。

  1. 腹囲
    • ウエスト周囲長の測定で、小学生≧75cm、中学生≧80cm、小中学生ともウエスト身長比≧0.5のいずれか。
  2. 血清脂質 
    • TG≧120かつ/またはHDL-C<40。
  3. 血圧
    • 収縮期血圧≧125かつ/または拡張期血圧≧70
  4. 血糖値
    • 空腹時血糖≧100

1があり、2-4のうち2つあればメタボリックシンドロームと診断。

1は肥満症のA項目4と同じ。

2も肥満症のB項目4と同じ。

3と4はそれぞれ肥満症の項目より厳しくなっている。

幼児型肥満への対応

・幼児期の肥満の場合、習慣的な運動(様々な遊びを中心に毎日、合計60分以上、楽しみながら体を動かす)を心がける

・十分な睡眠時間の確保(1日10時間以下だと少ない)

・食事は、基本1日3回と、1回の間食。間食の適量は1日に必要なエネルギーの10-15%が適量。1−2歳は約100kcal, 3歳以上は200kcalくらい。

症候性肥満

・単純な食事摂取カロリー過多や運動不足、不規則な生活習慣以外の肥満で、特定の疾患により引き起こされた肥満を症候性肥満といいます。

・以下の鑑別疾患があります。

 Cushing症候群

 甲状腺機能低下症

 偽性副甲状腺機能低下症

 インスリノーマ

 Prader-Willi症候群

 Laurence-Moon症候群

 Bardet-Biedl症候群

 Frohlich症候群

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