【小児科医が解説】母乳育児の落とし穴?赤ちゃんを守る「ビタミンD」の正しい補い方と増える「くる病」への対策 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医が解説】母乳育児の落とし穴?赤ちゃんを守る「ビタミンD」の正しい補い方と増える「くる病」への対策

内分泌代謝
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毎日のおむつ替えや授乳、夜泣きの対応など、本当にお疲れ様です!赤ちゃんのすこやかな成長は、パパやママにとって何よりの喜びですよね。

さて、赤ちゃんにとって良いことづくめとされている母乳育児ですが、母乳栄養の乳幼児において、ある栄養素の不足が大きな話題になっているのをご存知でしょうか?

それは「ビタミンD」です。

日本小児科学会からも注意喚起や予防に関する提言が出されるほど、現代の赤ちゃんたちの間でビタミンD欠乏が増加しています。6ヶ月未満の乳児の約50%がビタミンD欠乏であるとの報告もあります。

今回は、小児科医の視点から、なぜ今ビタミンD不足が起きているのか、そして大切な赤ちゃんを守るための具体的な対策を分かりやすく解説します。


なぜ赤ちゃんに「ビタミンD」が必要なの?

ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収を助け、丈夫な骨や歯を作るために絶対に欠かせない栄養素です。

もしビタミンDが極端に不足した状態が続くと、以下のような症状を引き起こすリスクが高まります。

  • くる病: 骨が柔らかくなり、極端なO脚やX脚になったり、歩き始めが遅れたりする病気です。
  • 低カルシウム血症: 血液中のカルシウム濃度が下がり、ひきつけ(けいれん)を起こすことがあります。
  • 頭蓋癆(とうがいろう): 頭の骨がペコペコと柔らかくなる状態です。

「昔の病気」と思われがちな「くる病」ですが、近年再び増加傾向にあり、決して見過ごせない問題となっています。

ビタミンDの作用

ビタミンD欠乏の多彩な作用のうち、腸管からの勝氏有無吸収を刺激する作用は最も重要です。

ビタミンDが欠乏すると、腸管からのカルシウム吸収が低下し、体内でカルシウムが不足した状態になります。そのため、ビタミンD欠乏欠乏は低カルシウム血症の原因となります。また、体内のカルシウムが不足すると、副甲状腺から副甲状腺ホルモンの分泌が増加します。副甲状腺ホルモンは腎臓からのリン排泄を増加させる作用を持ち、体内のリンが低下した状態になります。よって、ビタミンD欠乏状態では、体内のカルシウムとリンが不足し、骨の石灰化の障害を受け、くる病発症の原因となるのです。


現代の赤ちゃんがビタミンD不足になりやすい3つの理由

なぜ今、赤ちゃんのビタミンDが不足しているのでしょうか?そこには現代ならではのライフスタイルが深く関わっています。

① 完全母乳育児の普及

母乳は赤ちゃんにとって免疫物質も含まれる最高の栄養源です。しかし、唯一の弱点が「ビタミンDの含有量が非常に少ない」こと。ミルクにはあらかじめビタミンDが添加されていますが、完全母乳の場合は意識して補わないと不足しやすくなります。

② 徹底した紫外線(UV)対策と日照不足

ビタミンDは、日光(紫外線)を浴びることで皮膚でも作られます。しかし近年は、赤ちゃんの肌を守るために過度なUVケアを行ったり、猛暑で外遊びを控えることが増えました。

また、雪深い地域、高緯度地域、冬の季節、屋外で過ごす時間が短い、日照時間が短く厚着をして肌の露出が極端に減る環境では、日光から十分なビタミンDを合成するのはさらに難しくなります。

ビタミンDの正合成に必要な紫外線はUVBです。UVBは窓ガラスを通過しないため、日光浴の際には、外に出ることが大切です。家の中で窓ガラスごしに日光浴を行っても、皮膚まで届かず、ビタミンDの合成にはつながりません。しかし、UVAは窓ガラスを通過するため、皮膚に届き、日焼けの原因にはなるので注意が必要です。

③ 離乳食の遅れや偏食

母乳はビタミンD含有量が少なく、母乳だけで日本人の食事摂取基準(2020年版)に定められたビタミンD摂取の目安量である、5μgを超えることは困難です。適切な時期に離乳食を進めることはとても重要なのです。

ビタミンDは鮭やしらすなどの魚類、きのこ類、卵黄に多く含まれます。食物アレルギーの心配などでこれらの食材のスタートが遅れたり、偏食があったりすると、食事からの摂取量も不足しがちになります。

また、離乳食に摂取可能な具体例として、べにざけやしろさけは15gあたりで5μg、卵黄1個で2.5μgのビタミンDの摂取が可能です。

もちろん、ビタミンDの摂取だけでなく、カルシウム摂取も行わないと意味はないので、そこは気をつけましょう。


今日からできる!赤ちゃんをビタミンD欠乏から守る3つのアクション

「うちの子、母乳だし日焼け止めも塗ってる…!」と焦らなくても大丈夫です。以下の3つの方法で、無理なく予防することができます。

液体サプリメントを活用する

一番確実で安全なのが、乳児用の液体ビタミンDサプリメント(「BabyD」など)を使うことです。1日1〜2滴をママの乳首や清潔な指、哺乳瓶の乳首に垂らして飲ませるだけ。予防には1日あたり10μg(400 IU)前後の摂取が推奨されています。過剰摂取には注意が必要ですが、用法用量を守ればとても安全で効果的です。

適度な日光浴(外気浴)

夏場は日差しの強い時間帯を避け、木陰で10〜15分程度。日照時間が短い冬場は、少し長めにお散歩をするなど、無理のない範囲で外の空気に触れる時間を作りましょう。顔や手のひらに少し日が当たるだけでも効果があります。

離乳食でビタミンDを意識する

離乳食が進んできたら、しらす干し、鮭、ツナ、卵黄などを積極的にメニューに取り入れてみてください。


まとめ:サプリメントも上手に頼って、健やかな骨育てを!

母乳育児も、赤ちゃんの肌を守るUVケアも、ママやパパが愛情を持って一生懸命お世話をしている証拠です。だからこそ、「良かれと思ってやっていたことが不足を招いていた…」とご自身を責める必要は全くありません。

赤ちゃんの丈夫な体づくりのために、ぜひ今日からビタミンDも意識してみて下さいね!!

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