【小児科医blog:新生児, 神経, 精神科, 産婦人科】新生児薬物離脱症候群について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:新生児, 神経, 精神科, 産婦人科】新生児薬物離脱症候群について

新生児

総論

・母体の第3三半期において分娩前に麻薬・向精神薬などに使用によって、出生した児に、麻薬などでみられる、いわゆる禁断症状様の症状が生ずることを新生児薬物離脱症候群という。

・抗けいれん薬やベンゾジアゼピン系バルビツール酸、SSRI、三環系抗うつ薬(TCA)など向精神薬服用妊婦から出生した児において問題となる。胎盤通過性の高い薬物が問題となることが多い。

原因薬物

オピオイド系

・モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、コデイン、トラマドールなど

非オピオイド系

催眠・鎮静薬

 バルビツール系:セコバルビタールほか

 ベンゾジアゼピン系:ニトラゼパム、フルニトラゼパム

 ベンゾジアゼピン受容体作動薬:ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン

抗うつ薬、抗不安薬

 ベンゾジアゼピン系:アルプラゾラム、ブロマゼパム、ジアゼパム

 SSRI、SNRI、NaSSA:パロキセチン、フルボキサミン、デュロキセチン

 三環系・四環系抗うつ薬:クロミプラミン、アミトリプチン

向精神薬

 第一世代:クロルプロマジン、ハロペリドール

 第二世代:リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプゾール

抗てんかん薬

 フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸など

そのほか

 テオフィリン、カフェイン、アルコール、喫煙(ニコチン)、メタンフェタミンなど

症状

・薬物毒性の直接症状と離脱症状の2つに分類される。

・症状は易刺激性などの中枢神経症状、哺乳不良・嘔吐など消化器症状、多呼吸・多汗・発熱などの自律神経症状が認められる。

直接症状

発症時期

・出生後すぐに症状出現

薬物血中濃度

・高値

薬物半減期

・長い

薬物の種類

・抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、抗精神病薬、リチウム

症状

共通:易刺激性、振戦、Jitteriness、ミオクローヌス、呼吸障害

直接に特徴的:高体温、発汗、反射亢進、下痢、固縮、フロッピーインファント

離脱症状

発症時期

・8-48時間くらい

薬物血中濃度

・低値

薬物半減期

・短い

薬物の種類

・抗うつ薬、ベンゾジアゼピン、抗精神病薬、抗けいれん薬

症状

共通:易刺激性、振戦、Jitteriness、ミオクローヌス、呼吸障害

離脱症状に特徴的:哺乳障害、嘔吐、睡眠困難、筋緊張低下・亢進

観察管理

・児の症状を観察し、重症例については治療介入を行い重篤化を予防することが重要。

・しかし、症状は非特異的であり他疾患との鑑別は必要となる。

磯部スコア

・重症度評価には、磯部スコアが用いられる。

・生後8時間ごとのチェックリストを用いた観察が必要であるが、症状はない児の場合は42-74時間でまでで十分。

・磯部スコアでおおむね8点以上の重症症状を有する児についてはNICUに入院、鑑別・治療が求められる。

⚫︎磯部スコア ※()内が点数

1.中枢神経系

 傾眠(1)、筋緊張低下(1)、筋緊張の増加(1)、不安興奮状態(3)、安静時の振戦(3)、興奮時の振戦(2)、 

 易刺激性(2)、けいれん(5)、無呼吸発作(5)

2.消化器系

 下痢(2)、嘔吐(2)、哺乳不良(2)

3.自律神経系

 多呼吸(1)、多汗(1)、発熱(1)

4.そのほか(1)

対応

・症状は比較的軽度であることが多く、自然に軽快する場合が多い。

・治療としては、フェノバルビタールが比較的安全な選択肢。ただし消化器症状には効果がない。

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