総論
・喉頭軟化症とは、主に乳幼児にみられる上気道の異常で、喉頭組織の脆弱性のため吸気時に喉頭蓋が内側の気道内へ引き込まれ、吸気性喘鳴などの上気道閉塞症状をきたします。
・生後数週間から数ヶ月で発症します。
・SpO2低下のほか、哺乳不良の症状をきたすこともあります。これらの症状は、乳児が泣いたり興奮したりすると悪化することがあります。特に重度の場合には、低酸素血症や成長障害を引き起こす可能性があります
・成長にともない改善するケースが多いですが、哺乳不良が長期にわたる場合は、胃管チューブによる栄養管理などを行う場合もあります。
分類・診断
・喉頭ファイバースコープ検査にて診断し、以下の通りに分類される。
Olney分類
TypeⅠ 披裂部型
TypeⅡ 喉頭蓋披裂ひだ短縮型
TypeⅢ 喉頭蓋型
・それぞれのタイプが併存しているケースもあります。
・以下の治療法についてもタイプごとに異なり、レーザー治療を行う場合もあれば、喉頭釣り上げ術(外科的治療)を行うケースもあります。
診断は通常、臨床症状と内視鏡検査によって行われます。内視鏡検査では、喉頭蓋や声帯周辺の動きを観察し、異常な動きや構造を確認します。また、重篤な場合にはCTやMRIを用いて詳細な評価を行うこともあります
原因
・喉頭軟化症の正確な原因は不明ですが、遺伝的要因や胎児期の発育異常が関与している可能性があります。
・また、未熟児や特定の先天性疾患を持つ乳児で発生率が高いことが報告されています。
・これらの要因は、喉頭組織の発達不全を引き起こし、結果として軟化を招くと考えられています
治療・管理
・喉頭軟化症の治療は、症状の重症度や患者の状態に応じて異なります。以下に、主な治療法を詳細に説明します。
内科的管理(保存的治療)
呼吸管理
・吸気流量増大に伴う狭窄症状増強の予防やPEEP効果を期待し、nCPAP(経鼻持続陽圧呼吸)やHFNC(ハイフローネ‐ザルカニュラ)が施行される。
・気道を開放して呼吸を助けます。また啼泣や興奮に伴う吸気流量の増加を避けます。
・最重症例では気管挿管による気道確保が必要となる。
姿勢の工夫
・腹臥位(うつぶせ)や肩枕を使用して呼吸を楽にする方法があります。
・ただし、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクがあるため、保護者の監視下で行うことが推奨されます
経管栄養
・哺乳障害がある場合、鼻や口から管を挿入して栄養を直接胃に送る
外科的治療
重度の喉頭軟化症では、保存的治療が不十分な場合や合併症がある場合に外科的介入が必要となります。
喉頭形成術
・喉頭蓋や披裂部の余剰粘膜を焼灼または切除する手術です。CO2レーザーなどを用いて行われることが多く、術後はICUでの集中管理が必要です。
<国立成育医療研究センターHP:喉頭軟化症>
- 喉頭蓋型: 喉頭蓋粘膜を焼灼し、舌に癒合させることで倒れ込みを防ぎます
- 披裂型: 披裂部の余剰粘膜を焼灼・切除し、気道内への虚脱を防ぎます
喉頭蓋吊り上げ術
・喉頭蓋が声門裂側に倒れ込むことを防ぐために行われる手術です。特にOlney分類のType 3に対して適応されます。
気管切開
・重度の呼吸障害や無呼吸発作がある場合には、一時的または永続的な気管切開が行われることがあります。この手術は気道確保のために重要です


コメント