【小児科医blog:新生児, NICU, 肝胆膵】胆汁うっ滞について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:新生児, NICU, 肝胆膵】胆汁うっ滞について

新生児

総論

・T-Bil値が5mg/dL以下の場合は、D-Bil値が1mg/dL以上、T-Bil値が5mg/dL以上の場合では、D-Bil値はそのうちの20%以上を閾値とする。

・胆道閉鎖症の発見が遅れないように(生後2ヶ月での手術を要する)、外科と連携して診察を行う。

鑑別診断

・肝外胆管の異常:胆道閉鎖症、胆道拡張症

・肝内胆管の異常:症候性肝内胆管減少症、Alagille症候群、非症候性肝内胆管減少症

・代謝異常:シトリン欠損症、がラクトース欠損症、α1アンチトリプシン欠乏症、先天性胆汁酸代謝異常症など

・肝障害:新生児肝炎、経静脈栄養

・感染症:TORCH、細菌感染症など

・染色体異常:18トリソミー、21トリソミーなど

・そのほか;進行性家族性肝内胆汁うっ滞症

検査

・血液検査:T-Bil. D-Bil, 血算, AST, ALT, ALP, γGTP, 総胆汁酸, 総コレステロール, アンモニア, 乳酸, ピルビン酸, 凝固系検査など

・エコー検査:空腹時の胆嚢、総胆管の描出

・十二指腸液検査

・甲状腺刺激ホルモン(TSH)、遊離トリヨードサイロニン(FT3), 遊離サイロキ(FT4)、α1-アンチトリプシン

・タンデムマススクリーニング、アミノ酸分析、尿中有機酸分析

・全身X線:脊椎、手関節

・サイトメガロウイルスを含む肝炎関連ウイルスの検査

栄養管理

・経静脈栄養では、以下の方法を取る。

①極少量で経腸栄養を開始する

②アミノ酸投与量を減らす

③生後1ヶ月以上経腸栄養が確立しない場合は、オメガ3系脂肪酸(omegaven ®️)の投与を考慮する(保険適用外)

・母乳栄養は原則継続し、体重増加不良の場合は胆汁に依存せずに吸収される中鎖脂肪酸(MCT)オイル、MCTミルクの併用を考慮する。

新生児乳児胆汁うっ滞に対する経口ビタミン剤の補充

ビタミンA:5000-25000 IU/day

ビタミンD:1200-8000 IU/day(ビタミンD2)

      もしくは 0.05-0.2 μg/kg/day(活性型ビタミンD3

ビタミンE:25-100 IU/kg/day(1IU=1mg)

ビタミンK:PT-INR 1.2-1.8の場合 2.5mg/day、INR>1.8の場合 5mg/day

・なお、総合ビタミン剤(パンビタン®️)0.5gには、ビタミンA(レチノール)1250 OI, ビタミンD(エルゴカルシフェロール:ビタミンD2)100IU。ビタミンE(トコフェロール)0.5mgが含有されており、ビタミンKは含有されていない。

・胆汁うっ滞を認める場合、パンビタン®️に加えてアルファロール®️(0.5μg/mL)を0.2mL(0.1μg)/kg/day、トコフェロール酢酸エステル顆粒(200mg/g)を50mg/day、ケイツー®️シロップ(2mg/mL)を0.1-1mL(0.2-2mg)/dayを目安に内服する。

・投与量は胆汁うっ滞の程度に応じて増量する

・ビタミンK欠乏は肝障害の程度と関係なく起こりうるので十分量を投与する。

・胆汁排泄を認める場合には、ウルソデオキシコール酸(ウルソ®️)15-30 mg/kg/dayを投与する。

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