Introduction

今日は、小児外来の腹痛の原因として最も多い、便秘症の治療についてまとめたいと思います。
1. 便秘とはなにか
そもそも、『便秘』とはどのような状態なのでしょうか。
色々な表現はあるかと思いますが、小児便秘症診療ガイドラインによると
『便が滞った、または便がでにくい状態である』と表現されています。
また便秘『症』とは、便秘によって生じた腹痛や腹部膨満、腹部不快感、不安、排便時の疼痛や出血に対して診療や治療が必要になった場合のことを表します。
そのため、病院を受診する場合は何かしらの症状があることが多いため、便秘ではなく便秘症で受診していることが大半でしょう。
・毎日排便があっても、便秘で無いとは言い切れない
・兎糞状の便が少量のみある場合、あるいは少量の軟便が頻回に漏れる場合(soilingまたはoverflow incontinence)には、直腸内に便貯留が存在する可能性が高い
2. 便秘の判断方法
家庭でもおおよその判断の指標として、ブリストルスケールによる便の性状分類というものが有名です。分類は以下の通りです。

この分類は世界的な基準とされており、イギリスのブリストル大学で1997年に開発された基準で、色や形に基づいて便の状態を分類しています。
家庭での客観的評価に役立ち、問診の際もスムーズに行うことができます。また、自己管理にもつながるため、外来ではまず最初にこの表をみていただきます。
スケール3-5が正常便とされ、スケール1-2は硬便と表現されます。
3. 便秘症の原因
次に治療についてお話します。
正常な排便は、姿勢やいきみ方、消化管生理機能や大脳機能、肛門括約筋機能、食事内容など様々な要因が関連して行われます。
便秘はこれらのメカニズムのうち、複数の要素の不調和が複雑に絡み合って発症することが多いと言われています。年齢による原因は以下の通りです。

また、罹病期間から一過性便秘(急性便秘)と慢性便秘に分類されます。
一過性便秘は、発熱性疾患における急性脱水時や急性胃腸炎の治癒後に認めることが多いです。腹痛のため救急外来を受診することもあり、便を排出すると症状が消失することで診断できます。
対して慢性便秘症では、器質性便秘を見逃さないことが重要です。画像検査に関しては前例に行う必要はありませんが、成長障害・体重減少・繰り返す血便・腹部膨満・腹部腫瘤・肛門の携帯異常などある際には考慮した方がよいでしょう。
また、検査を反復でき被曝のリスクがない点では腹部超音波検査は有用です。
4. 便秘症の治療
便秘の悪循環に陥った児では、肛門に蓋をするように大きな硬便の形成がみられ、便塞栓(fecal impaction)と呼ばれています。治療の要となるのは、便塞栓を除去(disimpaction)し、この悪循環を断ち切ることです。
①便塊除去(disimpaction)
よく使用されている薬剤としては、グリセリン浣腸があるます。50%グリセリンは30mL~150mLまで多数規格がありますが、投与量は以下のように使われています。
投与量:1-2 mL/kg/回
作用時間は非常に早く、約2-5分で直腸内容物を排泄します。また、次の維持療法でもお話しますが、モビコール®️(PEG製剤)もよく使用されています。
②維持治療
便塊除去後もしくは便塞栓を認めない症例では、便の再貯留を防ぐために維持治療が行われます。
維持治療は薬物療法だけでなく、食事・生活・排便習慣の指導も一緒に行われます。脂質の割合を減らしたり、食物繊維の摂取量を増やす、便意を感じた時にトイレに行けるようにするなどなどです。
しかし、なかなかそれだけでは改善しない例も多く、積極的に薬物療法の併用も必要となります。いろいろな薬剤はありますが、以下のような治療法があります。





5.画像診断(エコー)
・便は硬便になるほど表面が高エコーで、その下は次第に減衰する。
・膀胱後壁に接している30mm以上の直腸径の膨大は、普段からの機能性便秘症の存在を示唆する。これは直腸に貯留する便塞栓(fecal impaction)をみている
・また、若年性ポリープなどが便秘の原因になっていることもあるので要注意。
・直腸やS状結腸の便を観察する際は膀胱が充満していると見やすい
・重症の便秘で稀に下行結腸まで腸管壁の肥厚を認めることがあるが、その際は潰瘍性大腸炎なども鑑別にあがる。しかし臨床症状の差異があるので、よく確認する。
参考文献
1. 小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン
2. 小児科臨床 Vol. 72 増刊号 2019
3. 小児科診療 2020年 6号


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