【小児科医blog:消化器】肥厚性幽門狭窄症についてpart2 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:消化器】肥厚性幽門狭窄症についてpart2

新生児

Introduction

ある日の外来…

母「1ヶ月健診の前は、ミルクを飲んでも吐くことはなかったんですが、最近ミルクを飲むたびに吐くんです。それもドバッと大量に…。大丈夫でしょうか?」

今回は、哺乳後嘔吐をきたす疾患、肥厚性幽門狭窄症についてまとめます。

特徴

・生後2週間〜生後3ヶ月前後の新生児・乳児に発症し、頻回の嘔吐を主訴とする。

・胃の出口である幽門筋が肥厚し、その結果、幽門管の狭窄、延長が起こり、胃の内容物を十二指腸に送ることができなくなる。

・そのため、飲んだミルクは胃内に停滞し、典型例ではミルクを噴水状に大量に嘔吐する。

・病初期では哺乳意欲は旺盛であり、嘔吐後もすぐに哺乳したがるのも特徴の一つ。

要因

・我が国での発症頻度は出生1000人に対して1-2人ほど。

・男女比では約4:1と男児に多い。

・第一子に多い。

・家族内発症の報告もあり、遺伝的要因と出征前後の環境要因の両者が関与する多因子説が有力。

・環境要因では、生後早期のエリスロマイシンの使用により発症率が高まることが報告されている。

診断

・噴水状の嘔吐が特徴。逆流性食道炎を合併すると食道からの出血によるコーヒー残渣様の嘔吐を呈することもあるが、必ずしも噴水状になるわけではなく、嘔吐回数が多く、体重増加が不良な場合には本疾患の可能性がある。

・嘔吐が続くと、体重増加不良や脱水、胃酸の喪失と血清Cl値の低下から代謝性アルカローシスが進行し、全身状態が不良となることもある。

・腹部触診では、肥厚した幽門筋がオリーブの実のような腫瘤として右上腹部に触知する。

・腹部単純レントゲンでは、胃の拡張所見と十二指腸以下のガス像の減少が特徴的。しかし症例によっては小腸、大腸ガスを認めることもあるので注意が必要。

・腹部エコーでは幽門筋の肥厚と幽門管の延長を観察される。一般的に幽門筋肥厚4mm以上、幽門管15mm以上が診断基準として用いられることが多い。

治療

初期治療

・輸液により脱水や電解質の補正、十分な利尿を得ることが重要

・輸液には、生理食塩水と5%ブドウ糖液を半量ずつ混ぜたものを使用する。

・利尿がつくまではカリウム(K)フリー。

・乳酸を含んだ輸液は、代謝性アルカローシスを悪化させるのでNG

外科的治療

・Ramstedt(ラムステッド)式幽門筋切開術 

 手術後に一過性の消化管閉塞が起こり嘔吐を認めることもあるが、通常24時間以内に注入が可能となる。

内科的治療

・硫酸アトロピン療法

 アトロピンを哺乳前に静注することから開始し、嘔吐回数が減少してくれば経口へと変更していく。

 経口投与期間:1-1.5ヶ月継続→症状が治れば中止

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