新生児の心機能評価に有用な、心臓エコー検査における心機能評価についてまとめます。
心機能は、心拍数、前負荷、後負荷(駆出への抵抗)、心筋収縮能、心筋拡張能の5つの機能から成りたり、それぞれの異常で心不全が起こります。
今回は、前負荷の評価方法についてです。
教科書は下記書籍です。神奈川こども医療センターの豊島先生の著書です
総論
・骨格筋とは異なり、心筋は収縮前に引き伸ばされて張力を与えられないと収縮できません。
・この心筋の伸展の度合いのことを「前負荷」と言います。言い換えると、心臓に還流する血液量とも言えます。
・早産児の心筋は拡張能に乏しいため、容易に伸展の限界(=前負荷予備能の限界)に達します。そのため、心収縮力や心拍出量が低下しやすいのです。
・左室の前負荷は、拡張期に左室を満たす血液のボリューム(左室拡張末期容積:LVEDV)で表されます
・心エコーで拡張末期左室内径(LVIDd)や左房径(LAD)、左房容積(LAV)を測定することで、左室の前負荷を評価することができます。
拡張末期左室内径(LVIDd)
・LVIDdが増大傾向の場合、左室は伸展の限界(前負荷予備能の限界)に達してしまいます。そのため冠血流が減少し、心筋はオーバーワークとなり酸素供給不足となり、心ポンプ不全をきたし、心不全となってしまいます。
測定の際の注意点
・画面上の大動脈前壁と心室中隔の位置を比べて、大動脈前壁がやや高いか、同じ高さになるように調節する。
・僧帽弁と大動脈をつなぐ線維性結合部が画面中央近くになるように調節する。
・これらは、円形の左室が最も大きい断面を描出するために必要となります。
測定方法
・僧帽弁のM字が見えなくなるギリギリの所で左室表面の白い部分で外側を、Mモードで連続性のあるライン(途切れず白く見えている線)の間を計測します。
LVIDdの標準値
・LVIDdは、5.4×体重(kg)+7.1mmが標準。
・これより高値であれば、左室拡大と考え、心収縮力低下や左房拡大に注意して経過観察が必要となる。
・正期産児においては、LVIDd 20 mm以上の左室拡大と捉える。心ポンプ不全のリスクに対しては、利尿薬や血管拡張薬の適応を考慮する。
左房径/大動脈径比(LA/Ao)
・新生児医療において、LA/Aoは左房拡大を評価する指標とされてきた。
・大動脈径は変動が小さいので、左房サイズの変化の反映に適している。
計測方法
・第三肋間胸骨左縁周辺の左室長軸断面で、大動脈弁がビームに対して水平となる位置を描出する。
・Mモードで連続性のあるラインの前壁から前壁の径を大動脈、左房でそれぞれ計測する。
標準値
・LA/Ao 0.9-1.3ほどが至適域。
・LA/Aoが小さい場合は前負荷不足の可能性があり、左房還流血液不足を疑う。
・LA/Aoが大きい場合は、動脈管開存症や僧帽弁逆流に伴う左房還流血流量過多や左房圧上昇、左室機能低下による左室拡張末期圧の上昇を疑う。
・左房拡大は肺うっ血、肺出血のリスクとなるので注意。


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