Introduction
小児の頭部外傷のCT適応については、不要ま被爆は可能であれば避けたいという観点から、複数のアルゴリズムがあります。
例えば、
・PECARN
・CATCH
・NICEガイドライン
・CHALICE
…..などなどです。
それぞれの特徴を確認していきましょう。
PECARN(Pediatric Emergency Care Applied Research Network)
・米国の研究で、臨床的に重要な外傷性脳損傷(clinically important traumatic brain injurry:ciTBI)を見積もるアルゴリズム。
・2歳未満と2歳以上で適応が異なる。
・あくまで「手術の必要のあるような重症例=ciTBI」がアウトカムであるため、軽微な頭蓋骨骨折は含まれていない。よって、PECARNで全て項目が当てはまらず頭部CTを行わないことになっても、手術の必要のない頭蓋骨骨折の可能性はあることについても説明しておかなければならない。
判定基準
PECARN2歳未満の評価項目:
①GCS15点未満。
②意識変容(興奮、傾眠、同じ質問ばかりする、反応が鈍い)。
③頭蓋骨骨折がある
①-③の一つでも当てはまれば、CT適応推奨。
④後頭部、頭頂部、側頭部の頭皮に血腫がある(前額部以外の皮下血腫)。
⑤5秒以上意識消失。
⑥高エネルギー外傷(2歳以上では1.5M・2歳未満では0.9M以上からの転落、車外放出、車の転落、ヘルメットなしのバイクなど)
⑦親の命令に正しく行動できない。いつもと違う
④〜⑦に一つでも該当すればCT考慮。所見が複数、生後3ヶ月未満、親の希望、主治医の経験、所見の悪化などあればCT
PECARN 2歳以上の評価項目:
①GCS15点未満。
②意識変容(興奮、傾眠、同じ質問ばかりする、反応が鈍い)。
③頭蓋底骨折の徴候がある。
①-③に一つでも当てはまれば頭部CT適応推奨
④意識消失
⑤嘔吐した。
⑥高エネルギー外傷
⑦強い頭痛がある。
④〜⑦の一つでも該当すればCT考慮。所見が複数、親の希望、主治医の経験、所見の悪化などあればCT
除外項目
・あまりにも軽微な外傷(こけただけ、止まっている物体に走ってぶつかっただけ、頭皮を擦りむいたか裂けたか以外に傷がない)。
・頭を貫通するような外傷がある。
・脳腫瘍を持っている。
・評価を難しくさせるような神経学的な異常をもともと持っている。
・搬送前にすでに画像検査を受けている。
・脳手術を受けている。
・出血傾向がある。
・GCS(意識の程度。15点満点)が14点未満。
CATCH(Canadian Assessment of Tomography for Childhood Head injury)
・カナダの研究。高リスク、中リスクの患者に対して、手術適応、CT適応適応を考える。
・高リスク(High risk)の場合は手術の可能性あり。中リスク(Medium risk)の場合CT適応
評価項目
High risk:①外傷後2時間経ってもGCSが15未満。②頭蓋骨の開放、または陥没骨折が疑われる。③悪化する頭痛がある。④興奮がある。
Medium risk:⑤頭蓋底骨折の所見がある。⑥頭皮に大きくてしめった血腫がある。⑦危険な受傷機転。
除外項目
・明らかに頭部を貫く傷がある。
・明らかに頭蓋骨骨折がある。
・神経学的な異常がある。
・慢性的な発達遅滞がある。
・虐待による頭部外傷である。
・以前に頭部外傷の治療をしている。
・妊娠している。
NICEガイドライン
・英国のCHALICE(Children’s Head injury ALgorithm for the prediction of Important Clinical Events)をもとにしている。
・項目が多いが、CTをすぐに撮影しなければならない場合や一定時間の経過観察を要する場合など、実臨床に即している内容。
評価項目
4時間経過観察の適応
①目撃のある5分以上の意識消失。
②5分以上の健忘。
③傾眠傾向。
④3回以上の嘔吐。
⑤高エネルギー外傷
上記2個以上あればCT適応
1時間以内に頭部CT適応
⑥虐待の疑い。
⑦てんかんの既往歴のない患者でのけいれん。
⑧GCS<14(1歳未満ではGCS<15)。
⑨頭蓋骨の陥没、または大泉門膨隆。
⑩頭蓋底骨折の所見(耳出血、パンダの目徴候、髄液漏、バトル徴候)。
⑪神経学的異常。
⑫1歳未満では5cm以上の皮下血腫や打撲痕。
⑬2時間後のGCS<15


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