【小児科医blog:赤ちゃんの泣き止まない原因?】足の指に要注意!「ヘアターニケット症候群(Hair Tourniquet Syndrome)」の対策 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:赤ちゃんの泣き止まない原因?】足の指に要注意!「ヘアターニケット症候群(Hair Tourniquet Syndrome)」の対策

小児
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はじめに

オムツも替えた、ミルクもあげた、抱っこもしている。 それなのに、赤ちゃんが火がついたように泣き止まない……。

そんな時、皆さんは「赤ちゃんの足の指」を確認していますか?

今日は、意外と知られていないけれど、放置すると大変危険な「ヘアターニケット症候群(髪の毛による止血帯現象)」についてお話しします。これを知っているだけで、もしもの時に冷静に対処できるはずです。


ヘアターニケット症候群とは?

ヘアターニケット症候群とは、髪の毛や糸くずなどが、赤ちゃんの手足の指や性器などに巻き付いてしまうことです。

「たかが髪の毛一本で?」と思われるかもしれませんが、これは非常に危険です。 髪の毛が巻き付くと、そこが締め付けられてうっ血(血が溜まること)します。うっ血すると指が腫れ上がり、さらに髪の毛が深く食い込むという悪循環に陥ります。

最悪の場合、血流が完全に止まり、組織が壊死(えし)してしまう恐れもあるのです。

こんな時はすぐにチェック!

特に言葉を話せない乳幼児の場合、以下のサインがあったら必ず本症を疑い、確認してください。

  • あやしても全く泣き止まない(不機嫌が続く)
  • 手足の指が赤黒く腫れている
  • 指に「くびれ」や「線」ができている

巻き付きやすい場所

  1. 足の指(特に中指や薬指など、発見が遅れがちな場所に注意)
  2. 手の指
  3. 男の子の性器(陰茎)
  4. 女の子の性器(クリトリスや小陰唇)

対応:もし巻き付いているのを見つけたら?

焦らず、しかし迅速に行動することが大切です。

髪の毛が取れそうな場合

ピンセットなどで優しく取り除きます。ただし、皮膚を傷つけないように十分注意してください。また、見えている部分だけでなく、皮膚に食い込んで見えなくなっている部分がないか確認が必要です。

食い込んで取れない場合

無理に引っ張ったり、ハサミで切ろうとすると、逆に皮膚を傷つけるリスクがあります。 もし、巻き付いているのが「髪の毛」だと確信できる場合は、「除毛クリーム(チオグリコール酸カルシウムを含む)」が有効な場合があります。

注意糸くず(綿やポリエステル)には無効です。また、皮膚が切れている場合は使用できません。

応急処置:除毛クリーム 患部に除毛クリームを塗り、5分〜10分ほど待つと髪の毛が溶けて切れます。その後、水で洗い流してください。 ※皮膚への刺激はありますが、血流障害が続くリスクに比べれば緊急避難的な処置として有効です(糸の場合は効果がありません)。

すぐに病院へ!

  • 自分で取るのが難しい
  • 除毛クリームがない、または糸が原因
  • 指の色が紫色に変色している
  • すでに皮膚に深く食い込んでいる

こういった場合は、迷わず小児科形成外科、夜間であれば救急外来を受診してください。「髪の毛が絡まっている」と電話で伝えるとスムーズです。


予防のためにできること

産後のママは抜け毛が増える時期でもあり、家の中に髪の毛が落ちやすくなっています。完全に防ぐのは難しいですが、リスクを減らすことはできます。

  • 洗濯時のチェック: 靴下やロンパースを裏返して洗濯し、干す時や畳む時に内側に髪の毛や糸くずがないか確認する。
  • お着替えの時: 赤ちゃんの指に何かついていないか、サッと見る習慣をつける。
  • 抱っこの時: ママやパパの長い髪の毛は結んでおく。


まとめ

「ただの夜泣きかと思っていたら、指が締め付けられていた」というのは、実際に起こりうることです。

赤ちゃんが理由なく泣き叫んでいる時は、「まず靴下を脱がせて足の指を見る」。 これを一つのルーティンとして覚えておいていただければと思います。

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