原因菌
・髄膜炎の治療では、その児が何ヶ月なのかにより、髄膜炎の原因菌が異なる。
・ターゲットとする原因菌が異なるので、当然抗菌薬の選択も週数・月齢により変化していく。
・また、抗菌薬投与量、投与間隔も変わってくるので注意が必要。
新生児
・B群溶連菌と大腸菌が主な原因。
・グラム染色性から推定できる。
グラム陰性桿菌→大腸菌
グラム陽性球菌→B群溶血性連鎖球菌
グラム陽性桿菌→リステリア菌
新生児以降(特に生後3か月以降〜)
・肺炎球菌とインフルエンザ菌が主な原因。
・グラム染色から原因菌はある程度推定できる
グラム陰性桿菌→インフルエンザ菌
グラム陽性球菌→肺炎球菌
グラム陰性球菌→髄膜炎菌
抗菌薬治療
・来院後、抗菌薬投与は30分以内が目標。
・血液培養と髄液培養が採取されれば即に治療を開始する。しかし、髄液培養の検体を採取することに時間がかかって、抗菌薬治療が遅れてはならない。
1ヶ月未満
ABPC+CTX(用量は日齢で変わる)
・新生児期では、リステリアのカバーのためにABPCを治療選択肢としています。
・CTXは腸内細菌、溶連菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌を目的菌としてカバーします。
・VCMはペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)をカバーします。
日齢0-7
ABPC 100 mg/kg/dose 8時間毎 (300mg/kg/日)
CTX 50 mg/kg/dose 8時間毎 (150mg/kg/日)
+α:VCM 15 mg/kg/dose 8時間毎 (45mg/kg/日)
日齢8-28
ABPC 100 mg/kg/dose 6時間毎 (400mg/kg/日)
CTX 50 mg/kg/dose 6時間毎 (200mg/kg/日)
+α:VCM 15 mg/kg/dose 6時間毎 (60mg/kg/日)
1ヶ月以降
CTX 75 mg/kg/dose 6時間毎 (300mg/kg/日)
VCM 15 mg/kg/dose 6時間毎 (60mg/kg/日)
注意点
・S. pneumoniaeはCTXに20%耐性、ABPC/MEPMに30%耐性あり。また小児用肺炎球菌ワクチンはカバー率で100%の有効性を持たない。よってワクチンタイプ以外の血清型による侵襲性感染症の発症リスクはある。対して、Hibワクチンはほぼ100%の有効性あり。
・GBSでは髄液培養陰性化までGM3mg/kg/d分3をABPCと併用
・グラム染色でGNRを認めた場合、MEPMを選択。
・H. influenzaeを疑う場合、デキサメタゾン 0.15 mg/kg/dose 1日4回2-4日を投与。新生児期ではインフルエンザ菌が主な原因菌となることは少ないので、デキサメタゾン投与は必ずしも必要ではない。
髄膜炎の可能性もあるため治療開始….中止しどきは?
・実際によくあるケースとして、髄液中の細胞数は上昇するものの、さまざまな原因で培養陽性とならないケースもあります。そんな時はどうすればよいのでしょうか?
・対応としては、3日経過して全ての培養が陰性では抗菌薬中止も考慮されます。髄膜炎の場合、概ね48時間以内には培養陽性となってくるためです。
・もしくは血液培養で養成となる場合には、その菌を原因微生物として加療を継続する方法もあります。
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