【小児科医Blog:神経,放射線】小児中枢神経領域での画像診断+α | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医Blog:神経,放射線】小児中枢神経領域での画像診断+α

放射線

今回は、小児神経領域における、画像所見診断の+α的な内容をまとめていきます。知っておくと、いつか役立つかも?

脳の成長

髄鞘化の過程:Myelination process

・新生児の脳は、まだ脳神経が未成熟な状態です。

・つまり、髄鞘化が不十分なため、T2強調像で白質が高信号を示しています(髄鞘が成熟している成人の場合、T2WIで白質は黒く写ります。)

・T2WIでは、1歳半くらいには成人のコントラストに近くなります。

・新生児期に髄鞘化(T2WI低信号、T1WI高信号)している部分としては、上・下小脳脚、視床腹外側、内包後脚、中止溝などがある。

Pelizaeus-Merzbacher病(ペリツエウス・メルツバッハー病:PMD)

・大脳の髄鞘形成不全

・20-50万人出生に1人

・髄鞘形成に関わるPLP遺伝子異常

 protolipid proteion(PLP)は髄鞘の主たる構成蛋白

 そのほかの遺伝子でもPMD類似疾患が起こることが知られている

・生後すぐに眼振と錐体外路症状

・重症例は痙性麻痺や視神経萎縮が進行し、小児期早期に死亡する。

白質病変と紛らわしい所見

Terminal zone

・側脳室三角部周囲が好発部位

・髄鞘形成が遅い部分と考えられている〔間質の水分が多いため〕

・10歳までにみられることが多いが、稀に30歳台までみられることがある。

・白質の容量減少はない。

・脳室壁との間に正常髄鞘化部分がある。

・鑑別は、Periventricular leukomalacia(PVL:脳室周囲白質軟化症)、水頭症、代謝疾患。これらの場合には、白質の容量減少、脳室壁の不整、脳梁の菲薄化を伴うことが多い。

PVL

・未熟児の低酸素性虚血性脳症に認められる。

・白質の容量減少、脳室壁の不整を認める

・白質の異常信号だけでなく、嚢胞性変化をきたして、cyctic PVLと呼ばれることもある。

Perivascular spaces(PVSs):血管周囲腔

・Virchow-Robin 腔

・軟膜に縁取られた空間内を血管が通過している像

・3T-MRIになって頻繁にみられるようになった

・小児の25-30%にみられる

・時々目立つものは、Enlarged PVSs と言われる。

・Gliosisはないとされるが、25%程度の症例では、血管周囲腔の周りに何らかのT2延長がみられる。

PVSsの鑑別

・病態に関連して血管周囲腔が拡大するもの

 ムコ多糖症:ムコ多糖を含む組織球が血管周囲に蓄積する

 クリプトコッカス症;菌塊が蓄積する

 筋ジストロフィー

 精神疾患のお子さんにも多い?

・ラクナ梗塞

・嚢胞性の腫瘍

・感染(脳嚢虫症)

脳室とその周囲の嚢胞性疾患

PVL(Periventrucular leukomalacia)

・未熟児の低酸素性虚血性脳症に認められる。

・白質の容量減少、脳室壁の不整を認める

・白質の異常信号だけでなく、嚢胞性変化をきたして、cyctic PVLと呼ばれることもある。

上衣下嚢胞(Subependymal cyst)

・未熟児の低酸素性虚血性脳症は、PVLの他にも、上衣下出血・嚢胞とも関連がある。

・低酸素状態が続くと、脳虚血状態となります。そして虚血後の再灌流が起きる際に、胚芽細胞層から出血するのです。胚芽細胞層は胎生34週移行に消退するため、未熟児に多いです。

・しかし、上衣下嚢胞は必ずしも出血後だけでなく、subependymal cystという概念もあります。これは、①上衣下出血後の後天性嚢胞、②germinolysis(原因ははっきりしない、ウイルス感染や代謝疾患、染色体異常などとの関連が指摘)による先天性嚢胞…などがあります。

Connatal cyst

・側脳室前角の上外側、Monro孔よりやや前方で側脳室に隣接する。

・病的意義はない。経過観察している間に消退する。

硬膜下血腫との鑑別が問題となる病態

・乳児では硬膜下血腫が虐待のサインとなることもあるため、診断は確実に行いたい。

・よって、他の鑑別もまとめておく。

Benign enlargement of the subarachnoid space

・乳児の生理的クモ膜下腔の拡大

・3ヶ月~3歳(ピークは6ヶ月~12ヶ月)

・神経学的異常なし。

・もっとも広いところでも1cm以内

・クモ膜絨毛の未熟性、頭蓋骨と脳の発達不均衡により生じる

Transient brain shrinkage:一過性脳萎縮(脳収縮)

・ステロイドやACTH投与によって、脳は軽度萎縮する。

・化学療法やてんかんの治療中に多くなる

新生児の硬膜下血腫

・そもそも、どんなときに硬膜下血腫になるのか、ということだが、実は分娩のような外力やストレスのかかった場合にも硬膜下血腫が生じることがある。

・症状もなく、少量であれば、問題とはならない。

新生児の静脈洞

・新生児はヘマトクリットが高いため、単純CTでも正常の静脈洞が高吸収に見えることがある。

・上矢状洞や直静脈洞が硬膜下血腫と間違えられやすい。

・チアノーゼ性心疾患でも、ヘマトクリットが高く静脈洞が高吸収となる。

・静脈洞血栓では、一部のみ高吸収であれば判別できるが、血栓の領域が広範囲の場合は鑑別が難しい。血栓は造影MRIでは造影されず、Empty delta signと言われる。

小児の下垂体所見

・新生児は、下垂体前葉もT1強調像で高信号となる(Bright Pituitary)

・母体ホルモンの影響によるとも言われる(2ヶ月くらい高信号持続する場合もあり)

・出生してからの期間に依存し、早産であるかどうかは関係なし。

・ちなみに、小児の下垂体は新生児期と思春期に大きくなる。

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