【小児科医blog:新生児, 神経, 脳波, 発作】新生児の脳波, aEEGについて | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:新生児, 神経, 脳波, 発作】新生児の脳波, aEEGについて

新生児

新生児の脳波

新生児の正常脳波

①覚醒波(連続性パターン)

・覚醒時、浅い睡眠(動睡眠、REM睡眠)時に脳は活動が連続的に出現する。

②睡眠波(交代性パターン)

・深い睡眠(静睡眠、non-REM睡眠)時に高振幅波と低振幅波が4-8秒ごとに交互に出現する。

③覚醒・睡眠のサイクルに応じて、覚醒波と睡眠波が変化する。

新生児の異常脳波

正期産児の異常脳波

①発作性の変化

・発作波とは、背景脳波とは明らかに区別される持続的(10秒以上)な脳波活動

・同様のあるいは類似した波形が律動的に繰り返し出現する

・発作波は経過中、次第に周波数が遅く、振幅が大きくなることがある。

・発作波は経過中、他の部位へ移動することもある。

②背景脳波の異常

・連続性パターンの消失(非連続性パターン):低振幅波の振幅が小さく、平坦化する。最小振幅値がしばしば5μVを下回っている。

・バーストサプレッション:背景脳波に活動が乏しい部分(suppression)と活動を認める部分(burst)がみられ、連続性パターンが全くない。最小振幅値が0-1μVで固定している。最大振幅値は通常10-25μV以上である。

・最高度活動低下:平坦脳波か、わずかな低振幅脳波(5μV以下)がみられるのみ。

早産児の異常脳波

・連続性の低下

・振幅の低下

・速波成分の減少

aEEG(amplified electroencephalogram)

aEEGの原理

・脳波記録を基に、通常は時間軸(横軸)を6cm/時に圧縮して表示される。

・波形は一定区間内の脳波の最大振幅値と最小振幅値を1本の帯として連続表示したものである。

・ただし、アーチファクトを除く目的で、2-15Hzの周波数成分のみを検出するようフィルターがかけてある。

aEEGの測定部位

・1チャンネルの場合は、両側頭頂部(P3-P4)あるいは両側中心部(C3-C4)での記録が一般的。

・2チャンネルの場合は、前頭部正中に基準電極(Ref)を置き、それとP3(P3-Ref)およびP4(P4-Ref)で記録することが多い。

aEEGによる診断のポイント

正常aEEG

・aEEGの下限のラインが5μVより上にある(=連続性背景)

異常aEEG

①背景脳波の異常

非連続性背景:aEEGの下限のライン(=最小振幅値)が5μVより下となる。

バーストサプレッション(burst suppression):aEEGの下限のライン(=最小振幅値)が0-1μVで固定する。なお、最大振幅値は10-25μV以上となる。

低振幅(low voltage):最大・最小振幅値がともに5μVあたりで持続する。

平坦(flat):最大振幅値が5μV以下で持続する。

②発作性異常

・突如として最小振幅値が上昇し、最大振幅値と最小振幅値の差が減少する。

・重責発作の場合は、aEEGは鋸歯状となる。

aEEGの長所と短所

長所

①装着が簡単で、フィルタリングなど面倒な設定が不要である

②判読が容易である

③定量性がある

④長時間測定が可能である

短所

①情報量が限定的であり、発作波の検出速度は低く、発作の焦点の部位の特定は不能である..など

抗痙攣剤

フェノバルビタール(ノーベルバール)

用法・用量

・ノーベルバール1バイアル(250mg)を5mLの注射用水または生理食塩水に溶解する(調整されたものはフェノバルビタールとして50mg/mL)

注意点

・通常の初回投与量は20mg/kg

・血圧、心拍数、呼吸などを慎重に観察しながら、5-10分かけてゆっくり静注する。フェノバルビタールの半減期は130時間と長いため、投与後も継続的な観察が必要である。

・有効血中濃度域に入っているか、血中濃度を測定することが有用である。

血中濃度と副作用

血中濃度(mg/L)

・有効血中濃度は15-40mg/Lであり、それを超えると呼吸抑制・血圧低下を来す。より血中濃度が高くなると消化器障害もきたす。

・40-50で呼吸抑制、血圧低下、自発運動の低下

・50-60で心拍数への影響、鎮静・哺乳不良、傾眠、眼振

・60-70で筋緊張低下、哺乳不良(腸蠕動の低下)

・70-80で嗜眠

・80-90で呼吸停止・徐脈

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