新生児一過性多呼吸(TTN)について | ゆるっと小児科医ブログ
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新生児一過性多呼吸(TTN)について

新生児

TTN:transient tachypnea of the newborn

・生後、「呼吸の回数が多くて苦しそうだぞ?」「肋骨の間が凹んでベコベコしている」「SpO2が10分たっても上がってこない」などなど、新生児で遭遇する呼吸のトラブルの原因はTTN(新生児一過性多呼吸)が多いです。

・病態や所見、検査結果、治療についてまとめました。

病態・病因

・TTNは出生後数時間以内から生じる多呼吸を主症状として、努力呼吸が持続する状態。肺水吸収遅延、呼吸適応不全症候群とも呼ばれる。

・肺水の吸収に関与するものとしては、

 ①出生時の吸気により肺胞にかかる圧

 ②胸腔内圧が陰圧となり肺水を間質腔に引き込む力

 ③出生後に肺血流が増加することに伴う血管内と間質との膠質浸透圧の差

 ④静水圧の低いリンパ系への流れ

 ….などがあり、出生後、肺水は肺胞腔から間質へと移行し、その後、肺の毛細血管やリンパ管に吸収される。

・また陣痛によりカテコラミン分泌が増加されると、Na+ポンプに作用することによって肺水の産生を抑制し、吸収を高めることになる。

・よって、肺水の排泄・吸収がスムーズに進まない原因としては、呼吸の確立が遅れて吸気圧が弱かったり、胸腔内陰圧が不十分場合が考えられる。

・また、蛋白濃度が低く膠質浸透圧が低い場合や、多血症で静水圧が高い場合などは間質から血中への水の移動が起きにくい

・予定帝王切開など陣痛やストレスがかからない場合もカテコラミン分泌が起こりにくい。

所見

・TTNでは60回/分以上の多呼吸を起こし、80-100回/分となることもある。

・また、努力呼吸の症状を呈する。

検査

胸部単純X線

・肺の過膨張:間質に水分が貯留して肺が大きく見える。RDSでは逆に肺が小さくみえる。

・肺門部の血管陰影増強:血管周囲のリンパ管の拡大による

・peribronchial cuff:気管支周囲間質への液体貯留

血液ガス

・高二酸化炭素血症による呼吸性アシドーシスを確認

マイクロバブルテスト

・胃液のマイクロバブルはRDSとの鑑別に役立つ。

心エコー検査

・心機能や肺高血圧の程度の評価、先天性心疾患との鑑別に役立つ。

鑑別疾患

・出生後、多呼吸を来す他の疾患には、RDS、胎便吸引症候群(MAS)、エアリーク、肺炎をはじめとした感染症、心疾患、多血症などがある。

治療と管理

酸素投与

・低酸素血症に対して行う。過剰な酸素投与には毒性があるので注意。

n-CPAP(経鼻持続気道陽圧)

・5cmH2O程度のPEEPで管理することが多い。

・肺胞の虚脱を防ぎ、肺表面積を増やすことで肺水の吸収を増やす。

・また呼気時に肺胞の虚脱を防ぐことは、肺毛細血管との接触面積を増やすので酸素化も改善させる。

・自発呼吸はしっかりしており換気hができているが低酸素血症がみられる場合に良い適応となる。

高流量経鼻酸素カニューレ(HFNC)

・鼻腔にカニューレを装着し、加温・加湿した空気と酸素の混合ガスを高流量で投与する。

・CO2を再吸収する量を減らし、PaCO2を低下させる効果がある。

・また、流量に応じてPEEPがかかる効果もある。

・PEEP効果はあまり必要ないけれども、努力呼吸の強い時、高CO2血症の児に有効。

栄養管理

・呼吸状態の悪い場合、経口哺乳はやめる。

・腹部所見に問題がなく、腹部単純X線写真で腸管ガス像に異常がなければ、経口または胃内に留置したチューブから経腸栄養をはじめる。

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