新生児肝炎は、生後2週間から3か月の間に発症する肝機能障害を特徴とする疾患群である。
今回は、新生児肝炎についての症状・原因・治療法についてをまとめます。
症状
新生児肝炎の主な症状は以下の通りである
- 黄疸(進行性または遷延性)
- 肝腫大
- 灰白色便
- 濃黄色尿
- 発育不良
- 腹部膨隆
- そう痒感(進行例)
- 出血傾向(重症例)
重症例では肝不全に進展し、凝固障害、腹水、脳症を呈することがある。
原因
・新生児肝炎の原因は多岐にわたり、以下のようなものが挙げられる
感染性
- ウイルス: B型肝炎ウイルス(HBV)、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、エンテロウイルス、パルボウイルスB19など
- 細菌: リステリア、梅毒など
代謝性
- シトリン欠損症
- α1-アンチトリプシン欠損症
- チロシン血症
- ガラクトース血症
- 新生児ヘモクロマトーシス
免疫性
- 母子同種免疫性肝疾患
- 自己免疫性肝炎
その他
・しかし、約20-30%の症例では原因が特定できず、特発性新生児肝炎症候群と呼ばれる。
診断
・診断には以下の検査が用いられる。
血液検査
- 肝機能検査: AST、ALT、γ-GTP、ALP、総ビリルビン、直接ビリルビン
- 凝固機能検査: PT、APTT
- 血清学的検査: HBs抗原、HBe抗原、HBc抗体、CMV抗体、HSV抗体など
画像検査
- 超音波検査
- MRIコランギオグラフィー
- 肝胆道シンチグラフィー
肝生検
- 組織学的評価、銅含有量測定
遺伝子学的検査
- 遺伝子検査: 代謝性疾患の診断に有用
治療
・新生児肝炎の治療は原因に応じて異なるが、一般的に以下の治療が行われる。
支持療法
- 栄養管理: 中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を含む特殊ミルクの使用
- ビタミンA、D、E、Kの補充
- ウルソデオキシコール酸の投与(胆汁うっ滞改善目的)
原因別の治療
- ウイルス性: 抗ウイルス薬(HBV感染の場合はエンテカビルなど)
- 代謝性: 原因物質の除去や欠乏酵素の補充
- 免疫性: ステロイド療法
合併症対策
- そう痒感に対する抗ヒスタミン薬
- 凝固障害に対する新鮮凍結血漿投与
肝移植
-
- 内科的治療に反応しない重症例や進行性の肝不全例に考慮される
予防:HBs抗原陽性母体に対する対応
・B型肝炎ウイルスによる母子感染の予防には、HBs抗原陽性の母親から生まれた新生児に対して、生後12時間以内にHBIGとHBワクチンを投与することが推奨される。HBワクチンについては、下記のスケジュールで接種を行う。
①抗HBsヒト免疫グロブリン:生後12時間
②HBワクチン:生後12時間、1ヶ月、6ヶ月
生後の時期毎のスケジュール
<出生直後:12時間以内が望ましいが、もし遅くなっても生後できるだけ早期に>
・HBグロブリン 1mL(200単位) 2箇所に分けて筋肉注射
・HBワクチン 0.25mL 皮下注射
<生後1ヶ月>
・HBワクチン 0.25mL 皮下注射
<生後6ヶ月>
・HBワクチンワクチン 0.25mL 皮下注射
・日本では2016年10月より、すべての乳児に対するB型肝炎ワクチンの定期接種が開始された。1歳までに合計3回接種する。
・ちなみに、キャリアの唾液中にも、HBV-DNAは存在する。また6歳未満で感染した小児は、より慢性化しやすいと言われている。
予後
・新生児肝炎の予後は原因により異なるが、一般的に以下のように分類される
- 良好群: 特発性新生児肝炎の多くは自然軽快する
- 中間群: 一部の代謝性疾患や免疫性疾患は適切な治療により改善する
- 不良群: 進行性の代謝性疾患や重症感染症では予後不良となることがある
・早期診断と適切な治療が予後改善の鍵となる。
_長期的なフォローアップが必要であり、慢性肝疾患への進展や肝硬変、肝細胞癌の発症リスクについても注意深く観察する必要がある。


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