低酸素性虚血性脳症(HIE)に関しては以前のブログ記事にまとめてあります↓↓
今回は、さらにふみこんで重症度分類についてをまとめます
重症度分類
・低酸素性虚血性脳症(HIE: hypoxic ischemic encephalopathy)の重症度評価には、従来はSarnat分類が使用されてきた。しかし、HIEスコアやThompsonスコアによる分類も推奨されている。
軽症
・24時間以内に症状が改善する。
・治療は対症的療法で、体温をあげすぎないように管理する(具体的には36℃前半を目標とする)。
・予後は良好。
症状
・過覚醒、過敏性、振戦
・筋緊張亢進を認めるが原始反射正常
・新生児けいれんなし。
・自発呼吸あり。
aEEG
・lower margin > 5μV
中等症
・低体温療法の適応。神経学的後遺症を遺す児もいれば、残さない児もいる。
症状
・傾眠、筋緊張の低下、原始反射異常を認める。
・新生児けいれんを認めれば、他の症状が軽症でも中等症とする。
・3-4日間症状が変容しながら続き、徐々に改善傾向。退院時にはいったん神経症状がほぼ消失。
人工呼吸管理
・多くは必要
aEEG
・lower margin < 5μV
・upper margin >10 μV
重症
・低体温療法の効果は乏しいが、初期に中等症と区別困難。
症状
・混迷、昏睡、筋緊張亢進・低下
・原始反射消失
・自発呼吸ほとんどなし
人工呼吸
・必要な場合がほとんど
・脳浮腫は経時的に改善するが、神経症状の改善は乏しく人工呼吸離脱は困難。脳幹病変を伴う症例が多い。
aEEG
・lower margin < 5μV
・upper margin <10 μV
・平坦から低電位で、改善なし
Sarnat分類
・1970 年代から使われ、広く用いられてきた脳症の重症度スコアで、神経学的診察所見
により、軽症、中等症、重症の 3 段階に分類したものである。
・Sarnat 分類による脳症の重症度は予後と強く相関しており、軽症は 100%正常、重症は 100%予後不良、中等症はその中間と分かりやすい。
・ただし原著での Sarnat 分類は生後 1 週間までの評価であり、近年の低体温療法の適応を決めるための生後数時間以内の重症度評価とは評価時期、意義が異なることに注意が必要である。
・低体温療法適応決定のための評価には、項目を簡略化した modified Sarnat 分類を使用することが多い。
引用:with NEO 2022 vol.35 no.2

Modified Sarnat分類


引用:with NEO 2022 vol.35 no.2
Thompsonスコア
・9 つの神経学所見によって脳症の重症度を判定するスコアである。
・0〜22 点で評価され、連続的な重症度の評価が可能である。一般的には 0 点が正常、1〜10 点が軽症、11点〜14 点が中等症、15 点以上が重症とされる。
・生後 1 週間の最大スコアが 10 を超える場合に不良予後の確率(陽性的中率)が 65%、15 を超える場合には 92%であることが報告されている。
・ただし、これも低体温療法を行わない場合の生後 1 週間での最大スコアであることに注意が必要である。

引用:with NEO 2022 vol.35 no.2
低体温療法の適応基準

引用:with NEO 2022 vol.35 no.2
ちなみに…
新生児仮死の対応
・今回は、HIEの分類についてまとめましたが、HIEを発症している場合、出生時に新生児仮死の状態となっている場合が多いかと思います。
・新生児仮死については下記記事にまとめてあります↓↓
 
  
  
  
  



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