Introduction
・今回は、小児の呼吸不全で用いられるネーザルハイフロー(NHF)、別名、高流量鼻カニューラ酸素療法(HFNC:high-flow nasal cannula)についてまとていきます。
・通常、酸素投与療法を行うデバイスといえば、低流量酸素システムに分類される「鼻カヌラ・酸素マスク・リザーバー付き酸素マスク」と、高流量酸素システムに分類される「HFNC、ネブライザー式酸素吸入装置」に分けられます。
・低流量酸素システムは簡便で使いやすいですが、FiO2の値など不正確で大雑把なデバイスです。高流量酸素システムは、使い方がやや複雑ですが、設定どおりのFIO2を患者に投与できて厳密な酸素化の評価も行えます。
→よって、中等症から重症の患者向けの酸素療法デバイスとなります。
・細気管支炎など、小児で重症管理の必要な患者において重要な酸素投与デバイスであるNHF・HFNC、この機会に是非勉強していきましょう!
効果
- 解剖学的死腔の洗い流し効果→死腔の減少
- 呼吸仕事量軽減:CO2再吸収低下(鼻咽頭死腔のCO2洗い出し)、換気効率上昇(死腔ないので換気効率は増加)
- 加温加湿:粘膜乾燥防止により繊毛機能維持。気道のクリアランス改善。
- 正確な酸素吸入濃度:自発吸気流量以上のガス流量投与による
- 呼気終末陽圧(PEEP)様効果:閉口時2-5cmH2Oの圧→機能的残気量の増加
総論
・中等症から重症の患者向けの酸素療法
・高流量酸素システムでは多量のガスが供給されるため、周囲の空気を吸わないで済む。そのためデバイスで設定したFiO2を、実際の吸入気FiO2とみなすことができる。
・成人ではおおよそ30L/minが目安。小児の流量設定に関しては、後述する。
適応
- 酸素化障害:酸素投与を行なっても改善しないⅠ型呼吸不全(無気肺、肺水腫、肺炎)
- 中等度〜重度の気管支喘息、細気管支炎
- 酸素投与の不快感により酸素マスクやカニューラを装着できない症例
- うっ血性心不全
- 換気障害:PaCO₂>60mmHgかつpH<7.3
- 未熟性による無呼吸(繰り返したり徐脈をきたす症例は適応外)
- FIO2の調節が必要な症例
- 抜管後やNPPVからの離脱
- ※酸素化障害ならNHFが有効性高く、換気障害であればNPPVが有効性高い。
禁忌
・適切にカヌラが装着できない(顔面奇形/外傷)
・口腔内/鼻腔内分泌物過多
・頻回嘔吐
・エアリーク(気胸、縦隔気腫)
・腸閉塞
・複数臓器障害
設定
以下に、HFNCを使用する場合の、各種設定について記載します。
カニューラサイズ
・鼻孔を完全に閉塞しないサイズ(鼻腔径の1/2サイズを推奨)
・また、流量と体重の2つを参考におおよそのサイズも推測できる。
XS(青):流量0.5〜8L/min、推奨体重1〜2kg
S(赤):流量0.5〜9L/min、推奨体重1〜3.5kg
M(黄):流量0.5〜10L/min、推奨体重1.5〜8kg
L(紫):流量0.5〜23L/min、推奨体重3.5〜18kg
XL(緑):流量0.5〜25L/min、推奨体重7〜25kg
成人用(S,M):流量Max60L/min
酸素濃度(FiO2)
・SpO₂ ≧ 92%を達成する最小限度の酸素濃度とする。初期設定の段階で50% (FiO₂ 0.5)を超える酸素濃度を要する場合は、NHFではなく挿管人工呼吸の適応。
加湿
・34〜37℃
・加温加湿器の電源入れ忘れや、水切れによる加湿不足は、低温ガスによる低体温や、加湿不足による気道クリアランス低下を引き起こす。しっかりと加湿ができているかの確認をしっかりと行っていくことを、指示出しした医師も絶対に忘れない!
流量
10kgまで:2 L/kg/min
10kg以上:20+(10kgを超えた体重)×0.5 L/min
※開始後30-60分以内に治療効果判定→ダメならNPPV
流量目安
成人の場合は30-50L/min程度
- 初期設定目安:新生児では8L/min、乳児では20L/min位
- <10kg:2L/kg/min
- 10-20kg:25L/min
- 20-30kg:30L/min
- 30-40kg:35L/min
- 40-50kg:40L/min
- 50-60kg:45L/min
- 吸入酸素濃度:疾患、児の状況に応じて選択
- 開始後8時間後までは1時間ごと程度でバイタルサインと臨床症状を確認。
- いきなり設定流量にすると、驚いてしまったり、カヌラの装着を嫌がってしまうために安静を保てない場合がある。そうすると酸素消費量が増えてしまうので、呼吸管理には不利となる。少ない流量からスタートし、その後増やすと良い。
離脱の目安
・FiO2<0.4で治療医の判断で離脱を考慮する。SpO2≧92%を目標にする。
・流量に関しては、4分の3→2分の1→4分の1と漸減していく方法もあるが、半減して観察して問題なければ離脱という2段階の方法もある。
失敗のサイン
挿管人工呼吸管理を考慮
- FiO2>0.6
- pH<7.2
- PaCO2>56mmHg
- 呼吸窮迫徴候の悪化


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