定義
・主に乳幼児に発症する上気道感染症で、喉頭・気管・気管支の炎症と浮腫を特徴とする。
・この疾患は、特徴的な「犬吠様咳嗽」、「嗄声」、「吸気性喘鳴」、および呼吸困難を引き起こす症候群の総称である。
・ウイルスを原因とする喉頭気管炎(laryngotracheitis)および痙性クループ(spasmodic croup)があるが、臨床的に鑑別は困難、かつ区別する意義が少ない。
病態
・喉頭に病原体が感染することによって生じる免疫応答と声門下喉頭の浮腫が主な病態。
・ウイルス性では、パラインフルエンザウイルス(1~3型が最多、全体の50~80%を占める)、RSウイルス、インフルエンザウイルスの頻度が高い。
→ちなみに、インフルエンザを原因とするクループはパラインフルエンザより重症度が高い。
・その他、コロナウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルスなども原因となる。
疫学
・好発年齢は生後6ヶ月〜3歳までが多い。
・6歳以上での発症は稀。
・男児は女児の1.43倍発症しやすく、生後2年目にピークを迎える。
・流行時期は原因のウイルスによって異なるので決まっていないが、感染症の多い秋から冬にかけて多く発症する。
・両親の家族歴がクループ発症や再発に相関する。
症状
・突然始まる夜間の犬吠様咳嗽(イヌというよりは、オットセイのような声とも言われている)
・軽症では軽度の咳嗽、嗄声、喘鳴が認められる程度。しかし気道狭窄が進行すれば、吸気性喘鳴や陥没呼吸が生じる。
・48~72時間で改善傾向になる例が多い。
・ウイルス性の中耳炎、細気管支炎、肺炎を続発することがある。
診断・鑑別
・臨床症状による診断が主な診断方法
・重症度評価には、症状からスコアリングするWestleyクループスコアがある。
重症度評価:Westleyクループスコア

・重症を8点以上、12~17点を呼吸不全として扱う場合もある。
頚部X線
・気管透亮像の狭小化(steeple sign)が認められる
鑑別
以下の疾患との鑑別が重要。
感染性
- 細菌性気管炎
- 急性喉頭蓋炎
- 咽後膿瘍
- 副咽頭間隙膿瘍
- 先天性喉頭軟化症
非感染性
・異物誤嚥
・アレルギー反応
・腫瘍性病変
・急性血管神経性浮腫
・気管挿管後
治療
・抗菌薬は基本的には不要。対症療法が主体。
・デキサメタゾン内服投与、中等症・重症例にはアドレナリン吸入を行う。
DEX (デキサメタゾン):ステロイド
デキサメタゾン 0.15(~0.6) mg/kg 単回内服投与
▼錠剤:0.5mg, 4mg (細粒にする場合は粉砕で処方)
→ただし、DEX錠の粉砕はとてーも苦いので、単シロップを一緒に処方したりなど要工夫
▼エリキシル:0.1 mg/mL
→シロップ製剤のデキサメタゾンエリキシルもある。0.15mg/kg処方するなら、1.5mL/kg
※ステロイドの別の投与経路として、ネブライザー吸入を行うこともある
例)ブデソニド(パルミコート) 2mg/回、ネブライザー吸入
アドレナリン(エピネフリン)吸入
中等度から重度のクループに対して行う
アドレナリン(吸入用:0.1%) 吸入 0.2~0.4 mLを生理食塩水2mLに溶かしてネブライザー吸入
支持療法
- 酸素投与(必要に応じて)
- 適切な水分補給
- 安静と安心させる環境の提供
+α:ステロイドの投与量で効果に差はあるのか?
・ちなみに、DEXは0.15 mg/kg, 0.3 mg/kg, 0.6mg/kgと投与量によって臨床症状の改善に効果の差はあるのか?という研究があります↓
Oral Dexamethasone in the Treatment of Croup:0.15mg/kg Versus 0.3mg/kg Versus 0.6mg/kg
Pediatric Pulmonology 1995; 20:362-368.
・結論は、0.15㎎/㎏、0.3㎎/㎏、0.6㎎/㎏単回内服のクループスコアの改善に有意な差はない。とのことでした。
帰宅の判断
重症度に応じて、帰宅の判断を行います。
軽症の場合
・デキサメタゾン処方後に帰宅可能
中等症の場合
・デキサメタゾン処方、治療後に安静時の喘鳴・陥没呼吸がなくなれば帰宅可能。
・4時間で改善がなければ入院を考慮
重症の場合
・吸入後に1~2時間経過観察
反応良好:再発なく安静時に喘鳴、陥没呼吸なし→帰宅可能
反応不良:吸入2回施行後も喘鳴、陥没呼吸が残存→入院考慮
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