定義
①20秒を超える呼吸停止
②20秒未満でも、チアノーゼ(酸素飽和度低下)や徐脈、蒼白のいずれかを伴うもの。
・呼吸停止には、胸郭運動が認められても鼻腔内気流が認められないもの(閉塞性無呼吸)も含まれる
原因
未熟性(原発性)
・呼吸中枢、気道構造、呼吸筋の未熟性により生じる。
・通常修正37週までに消失するが、在胎28週未満で出生した児では43-44週まで続くこともある。
症候性(続発性)
・母体鎮静薬投与、感染症、低血糖、多血症、貧血、けいれん、頭蓋内出血、症候性動脈管開存症、口腔内分泌物貯留、上気道閉塞、GERD、代謝異常(低Na、低Ca、高NH3)、PGE1投与など鑑別
・未熟児であってもまずは症候性無呼吸の除外が必要。
・在胎36週以後に発症する無呼吸はすべて症候性と考える。
分類
・中枢性:呼吸運動自体が停止しているもの
・閉塞性:呼吸運動は継続しているが上気道閉塞のため有効な吸気ができないもの
・混合性:閉塞性無呼吸に中枢性無呼吸が混在するもの。中枢性は閉塞性に先行するか中間に見られることが多い。無呼吸の半数以上が混合性である。
一般的管理
・症候性で、基礎疾患のあるものは疾患に応じた治療を行う。
・腹臥位として、頚部前屈を防ぐ体位が基本。
→酸素化が悪い時、気道を保つことは基本ですね!
・胃管の位置が正しい位置なのかを確認。
→レントゲンで胃管の位置が深すぎないか確認。
・経消化管栄養による腹満が負荷になっている場合は、注入時間の延長・減量、上体挙上を行う。
・経消化管栄養による誤嚥が疑われる場合は中止して変化をみる。
・皮膚温を36℃程度(四肢で36℃、体幹で36.5℃)の低めに保つ。体温上昇は無呼吸頻度を増加させる。
→早産児では、皮膚からの水分の放出を防ぐために保育器の中の温度を高めに保ちますが、蒸暑すぎる環境では新生児でなくても苦しいですよね…。
・投与酸素濃度を2%程度上げる。
・無呼吸を7日間以上認めないことを退院までに確認する。
→1日の中でも、無呼吸の起きる時間帯、起きない時間帯があるので注意。
・修正48週までは麻酔後48時間、無呼吸に注意する
治療
経鼻持続陽圧呼吸(nasal-CPAP)
・生後1ヶ月以内の超低出生体重児では薬剤のコントロールが困難なので、早目にnasal-CPAPを実施
・コントロールできなければ気管内挿管し、人工換気する
塩酸ドキサプラム(ドプラム)
機序
・低用量では末梢性化学受容体を介し、高用量なら直接呼吸中枢を刺激する。
投与量
・0.1-0.2 mg/kg/hr 点滴静注 (max 0.3mg/kg/hr)
・0.02 mg/kg/hrまで徐々に減量後中止する
副作用
・易刺激性、けいれん、胃腸出血、胃吸引増加、腹部膨満、消化管穿孔、壊死性腸炎
・胃酸分泌亢進作用のため生後早期は投与しない。
クエン酸カフェイン(カフェインクエン酸塩注射液・経口液 レスピア®︎)
機序
・ほかのキサンチン製剤と同様に中枢性呼吸中枢を刺激する。
投与量
・初回 20 mg/kg(カフェインとして10mg/kg)を30分以上かけて点滴静注。
・維持量として5 mg/kg(カフェインとして2.5 mg/kg)を1日1回10分以上かけて静脈注射または経口投与。
→初回量を5 mg/kgとして使用する方法も私は教わりました。そこから、5 mg/kg/dose増量していく方法です。中止するときはすぐにやめるのではなく、レスピア®︎の前に酸素投与量を減らすことから始めます。
副作用
・中毒濃度は50 mg/Lと高い。
・頻脈、興奮、けいれん、低カリウム血症を起こす。
・ほかのメチルキサンチン製剤との併用は不可。
メチルキサンチン製剤(アプニション注、アプネカット経口)
機序
・呼吸中枢刺激、横隔膜筋疲労防止
投与量
・アプニション注 初回 4-6 mg/kg 静注後、2-4(max 6)mg/kg/日で点滴静注
・安定すればアプネカット経口投与 2-4 mg/kg/日 分2に変更する。
・血中濃度をモニターする(目標:4-8μg/mL)
・アプネカットに変更後に血中濃度が上昇することがあるので注意する
・在胎35週をすぎれば一度中止し効果をみる。
副作用
・頻脈、尿量増加、低ナトリウム血症、高血糖、腹部膨満、嘔吐、けいれん


コメント