【小児科blog:腎臓, 新生児, 泌尿器, エコー】水腎症について | ゆるっと小児科医ブログ
PR

【小児科blog:腎臓, 新生児, 泌尿器, エコー】水腎症について

新生児

原因

・腎盂尿管移行部狭窄が最多。

・続いて、膀胱尿管逆流(VUR)、尿管遠位橋端の閉塞性疾患(尿管瘤、巨大尿管)、尿道閉塞疾患(後部尿道弁)の順となる。

・尿管の拡張を伴う場合は尿管膀胱移行部狭窄(巨大尿管)や尿管瘤を考える。

・膀胱の拡張を伴う場合は後部尿道弁など下部尿路閉塞疾患を疑う。

・VURは水腎症の程度との関連性は少なく、胎児水腎症の10-15%に合併する。

評価

胎児期

・胎児水腎症を評価する際に現在広く用いられているのは、腎盂の前後径(anterior posterior diameter: APD)である。

・胎児期にAPDが10mm以上を呈する場合は、出生後にエコーによる評価を行い、胎児期15mm以上では高度水腎と考え泌尿器科に連絡する。胎児期10mm未満なら生後の評価は不要。

・通常、日齢2以降にエコーを施行して初期評価を行う。

出生後

・新生児期以降のエコーでの評価は、腎盂拡張、腎杯拡張、腎実質の厚さを元にgrade1-4の4段階に分けるSFU分類を用いる。

SFU分類

Grade1 軽度の腎盂拡張のみ

Grade2 腎盂拡張と数個の腎杯拡張

Grade3 腎盂拡張とすべての腎杯拡張を認めるが、腎実質は正常の厚さを保つ

Grade4 Grade3に加えて、腎実質の菲薄化を伴う。

・新生児期にSFU grade3,4を呈する高度水腎症、明らかな尿管拡張や膀胱拡張を伴う水腎症については泌尿器科に連絡し、VCUGの早期施行、UTI予防のための抗菌薬投与の必要性について検討する。

対応

・無症状の片側性水腎症は高度であっても分腎機能が保たれていることが多く、新生児期は様子を見る。

・両側の高度水腎症、単腎例、後部尿道弁など膀胱以下の閉塞疾患では総腎機能低下をきたすリスクがあり、早期評価を行い、閉塞解除の必要性について検討する。

・無症状の水腎症の機能評価は生後6-8週以降にMAG3利尿レノグラムにより行う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました