【小児科医blog:新生児, 血液】(新生児)多血症について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:新生児, 血液】(新生児)多血症について

新生児

総論

・末梢静脈血でヘマトクリット値(Ht)≧70%、あるいは中心静脈血や動脈血でHt≧65%の児のことを多血症という。

・足踵では高値を示すので不適当。

・多血傾向のある児はしばしば見られるが、実際治療を要する多血症の児であるかを見極めることが重要である。

原因

胎盤輸血

・胎児間輸血

・母体-胎児間輸血

・臍帯切断遅延

胎盤機能不全

・子宮内発育遅延

・過産児

糖尿病母体児

・高インスリン血症

・脱水

症状

血液粘稠度上昇により症状を来す。

・多呼吸

・無呼吸発作

・頻脈

・チアノーゼ

・活気不良

・振戦、痙攣

・全身紅潮

・哺乳障害

・低カルシウム血症

・血小板減少

・低血糖

・イレウス、壊死性腸炎

・腎機能障害

X線所見

・心肥大

・肺血管陰影増強

合併症

・黄疸

・血栓(腎静脈血栓症、脳梗塞)

・うっ血性心不全

治療

輸液

・十分な水分投与が必要。

・70%>Ht≧65%で症状のない場合は、100-120mL/kg/日の輸液で経過観察を行う。

部分交換輸血

適応

・静脈血または動脈血のHt≧70%、あるいはHt≧65%で諸症状(チアノーゼを伴う呼吸障害・腎不全・低血糖の症状etc)を伴う場合

方法

・末梢静脈あるいは静脈から瀉血しながら、末梢静脈から同量の生理食塩水を20-30分かけてゆっくりと輸注する。

交換量={児のHt(%)-目標のHt(%)/児のHt(%)}×循環血液量(mL)×体重(kg)

目標のHt:50-55%

循環血液量(mL/kg)

 正期産児:80 mL/kg

 早産児:90 mL/kg

 SGA infant :100 mL/kg

・交換に用いる製剤は生食。新鮮凍結血漿は用いない。

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