Introduction
前回から引き続き、ヘルペスウイルス感染症のついてです。今回は、ヘルペスウイルスの引き起こす脳炎についてまとめます。
- 新生児ヘルペス脳炎
- 原因:ヘルペスウイルス1型または2型
- 妊娠中の母体がヘルペスウイルスに初感染したときと再感染した時では、再感染の方がリスクは低い。これは、ウイルス量が少なく、かつ母体の抗体が胎児に移行するためです。
- 経路:産道感染が主体、母体感染あれば帝王切開も選択される
- しかし、産道幹線以外にも、胎内感染(5%)、出生後の水平感染(10%)もあり。
- 症状:発熱(50%)、哺乳力低下(30%)、皮疹(25%)
- 病型:皮膚型(45%)、中枢神経型(30%)、播種型(25%)の3種類
- 皮膚型:生後7-14日に多い。発症は外傷部に起きやすい。無治療では80%が中枢神経型や播種型に移行する。
- 中枢神経型:生後14-21日に多い。けいれんは部分・全般発作ともにあり。発熱、傾眠、易刺激性、体温不安定、大泉門膨隆、錐体路症状、黄疸、凝固異常などの症状あり。
- 播種型:生後5-12日に多い。症状は中枢神経型と似ている。経過中に60%で皮疹を合併(中枢神経型は3-4割が皮疹あり)。
- 画像検査:髄液検査の前にCT、安定したあとにMRI
- 髄液検査:軽度の単核球優位の細胞数上昇、蛋白軽度上昇、糖の軽度低下。髄液細胞数の正常値は、日本神経学会では生後0-8週で30/μL、生後8週以降で5/μLとしている。
- 確定診断:単純ヘルペス(髄液)PCR陽性(しかし、3割ほどは陰性の数日後に陽性となる)。初回のPCRで陰性でも、意識障害が24-48時間で改善しない場合は再検査を。
- 鑑別:細菌性髄膜炎、エンテロウイルス髄膜炎(10%が心筋炎や肝不全を合併し死亡)。
- 治療:ACV 60 mg/kg/日、分3
- 治療期間:皮膚型では14日、中枢神経・播種型では21日。中枢神経型では、治療終了まsでにPCR陰性を確認すること。
- 合併症:晩期にぶどう膜炎を合併するので眼科に診察依頼を。
- 小児ヘルペス脳炎
- 原因:単純ヘルペス1型
- 疫学:全年齢に見られる。特に6歳以下に多い(8割ほど)。
- 治療:ACV 30 mg/kg/日、分3 14-21日
- いかなる年齢であっても、ウイルス性脳炎を疑った場合は単純ヘルペス脳炎の可能性を考慮し6時間以内にアシクロビルを投与する。
- 本邦のガイドラインでは、生後2ヶ月までは60mg/kg/日、生後3ヶ月〜15歳までは45mg/kg/日、投与期間は7日おきに髄液検査を行い、陰性2回を確認するまで。
以上です。お疲れ様です。


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