【小児科医Blog:感染症, 呼吸器】小児の肺炎について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医Blog:感染症, 呼吸器】小児の肺炎について

呼吸器
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前回に引き続き、小児の呼吸器感染症のまとめです。

今回は特定のウイルスではなく、肺炎についてまとめます。

病態

・さまざまな病原微生物が気管支上皮、間質、肺胞で炎症を起こし、炎症細胞浸潤、浮腫、滲出液貯留、フィブリン析出等の変化を起こします。

・その結果、発熱や咳嗽、喘鳴などの症状や、換気量低下、呼吸障害を引き起こします。

「定義:発熱、呼吸器症状に加え、身体所見や胸部X線検査で肺実質への浸潤を伴う病態」

疫学

・国内の調査では、34.4%が細菌、27.8%がウイルス、15.2%が両方、22.6%が原因不明とされています。

・海外の同様の検討では、8%が細菌、66%がウイルス、7%が両方、19%が原因不明です。

・年代別で主な原因微生物は異なります。

生直後〜生後20日:

B群レンサ球菌、グラム陰性腸内細菌、サイトメガロウイルス

3週〜3ヶ月:

トラコーマ・クラミジア(産道感染)、百日咳菌、RSV、肺炎球菌

4ヶ月〜4歳:

さまざまなウイルス(RSV、インフルエンザ、アデノ、ライノ)、肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ、結核菌

5-15歳:

肺炎マイコプラズマ、肺炎球菌、肺炎クラミジア

診断

・胸部聴診、血液検査、胸部レントゲン検査などから多角的に診断を行います。

・あくまで、聴診・視診・病歴問診などから臨床的に判断して、検査をオーダーしていきます。検査は子供にとって侵襲的な検査であることを忘れてはなりません。

胸部聴診

・低調性連続音(rhonchi)、水泡音(crackles)、呼吸音の減弱

血液検査

・細菌性では、白血球・CRP高値となる

胸部レントゲン

・滲出物貯留による含気低下による画像変化

治療

・基礎疾患のない軽症例で、地域の感染状況からウイルス性が疑われる場合は、抗菌薬を使用せずに経過観察も可能です。

・抗菌薬を使用する場合は、年齢に応じて原因となる細菌に有効なものを選びます。

新生児期

B群溶連菌やグラム陰性腸内細菌が多い

→ペニシリン系orセフェム系

乳児期〜4歳

ウイルスも多いが、細菌では肺炎球菌やインフルエンザ菌が主体

→ペニシリン系が第一選択

5歳以上

肺炎球菌、インフルエンザ菌に加えてマイコプラズマも

→ペニシリン系以外にマクロライドも考慮。

治療

・抗菌薬療法の対象となるのは、細菌性肺炎と肺炎マイコプラズマ性肺炎である。

細菌性肺炎

・細菌性肺炎を考慮した場合、第一選択となるのはペニシリン系。経口薬であればアモキシシリン、クラブラン酸/アモキシシリンを、静注薬であれば、アンピシリン、スルバクタム/アンピシリンを用いる。

<内服>

AMPC 45-60 mg/kg/日(最大90 mg/kg/日) 分3

CVA/AMPC 96.4 mg/kg/日, 分2

<点滴静注>

ABPC  100-150 mg/kg/day, 分3

SBT/ABPC  150 mg/kg/day, 分3

・経口第3セフェム系抗菌薬は、ペニシリン結合蛋白をコードする遺伝子の変異を誘導しやすいとされる。βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(β-lactamase negative ampicillin resistance Haemophilus influenzae:BLNAR)や、ペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae:PRSP)の増加を回避するため、初期治療薬としての使用は避ける。

→使用するべき時は下記の「耐性菌を考慮した治療」参照。

マイコプラズマ肺炎

・肺炎マイコプラズマ性肺炎を考慮した場合、マクロライド系が第一選択。アジスロマイシンであれば3日間、クラリスロマイシンは7日間投与する。治療開始後2-3日で解熱が得られない場合、マクロライド耐性菌や、その他の病原体の関与を考慮する。

<内服>

AZM 10 mg/kg/day, 分1

CAM  15 mg/kg/日, 分2

耐性菌を考慮した治療

・近年、肺炎球菌ワクチンの導入により、インフルエンザ菌の割合が増えている。

・その中で、ペニシリン系に対して耐性をもつ、BLNAR(βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性)が増加している。

(※とはいえ、BLNARに対して初期治療でABPCを使用しても約80%の症例では増悪例はなく効果はあるとの研究もあります。)

・また、肺炎球菌でも、PCV13非含有血清型15Aや35Bのペニシリン耐性も出現しており、PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)も問題となります。

・抗菌薬を使用して効果がない場合(使用後2-3日たっても解熱なし・呼吸状態不良)には、2ndとして広域セフェム系やABPC/SBTの使用も考慮するべきです。

・もしくは、マイコプラズマやクラミジア感染を疑う場合は、マクロライド系への変更、併用を行うべきです。

・BLNAR、PRSPを疑う際の、そのほかの選択肢としては、TFLX(トスフロキサシン:NK系、オゼックス®︎ 6mg/kg, 1日2回)、TBPM-PI(テビペネム・ピボキシル;オラぺネム®︎、経口カルバペネム、4mg/kg 1日2回)もありますが、他の抗菌薬が効果不十分で、かつ全身状態が安定している時の使用が原則です。またTFLXに関しては、近年NK系耐性の報告もあります。

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