鎮静・鎮痛には様々な薬剤が使用されますが、小児では体重に合わせた適切な薬剤量があります。
少なすぎると鎮静・鎮痛できないですし、多すぎると呼吸障害などの副作用で生命に関わるリスクもあります。
小児科では、MRIなど長時間の検査で、どうしても鎮静が必要なケースは日常診療においてよくあります。しかし、あくまで鎮静は危険な診療処置であることを忘れてはなりません。
今回は、普段の診療で扱う薬剤の投与量についてまとめます。
持続投与
ミダゾラム(10mg/2mL)
希釈:①2A(4mL)+生食(16mL)で割ってtotal 20mL
②5A(10mL)+生食(15mL)で割ってtotal 25mL
組成:①1mg/mL ②2mg/mL
流速:①0.1 mL/kg/hr(0.1 mg/kg/hr)、②0.05mL/kg/hr(0.1mg/kg/hr)
→鎮静の程度をみて、適宜漸増していく。抜管前は適宜漸減する。
※最大量 0.3mg/kg/hr
フェンタニル(1A=100μg/2mL)
希釈:①2A(200μg/4mL)+生食(16mL)で割ってtotal 20mL
②5A(500μg/10mL)+生食15mLで割ってtotal 25mL
組成:①10 μg/mL、②20μg/mL
流速:①0.1 ml/kg/hr(1.0 μg/kg/hr)、②0.05 ml/kg/hr(1.0 μg/kg/hr)
※最大量 3 μg/kg/hr
ロクロニウム(1A=50mg/5mL)
希釈:①1A+生食(45mL)で割ってtotal 50mL、②1A(5mL)+生食(5mL)で割ってtotal 10mL
組成:①1mg/mL、②5mg/mL
流速:①1.0mL/kg/hr(1.0 mg/kg/hr)、②0.2 mL/kg/hr(1.0 mg/kg/hr)
デクスメデトミジン、プレセデックス(1V=200μg)
希釈:1A+生食で割ってtotal 50mL
組成:4μg/mL
流速:0.1 mL/kg/hr(0.4μg/kg/hr)
→児の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られるように持続注入する。
※6歳以上の小児では、維持量上限として1.0 μg/kg/hrくらいまで増量可能。修正45週以降〜6歳未満では、1.4 μg/kg/hrまで増量可能。
ボーラス投与
チオペンタール, ラボナール®︎(1A=300mg)
希釈:1A+生食で割ってtotal 30mL
組成:10mg/mL
設定:0.1-0.3 mL/kg(1-3 mg/kg/dose)
※気管支収縮作用があるので喘息の児には使わない。
ケタミン, ケタラール®︎(1A=50mg/5mL)
原液
設定:0.1 ml/kg(1.0 mg/kg/dose)
・急速静注では軽度呼吸抑制が出るので、ゆっくり1分以上かけて静注する。
禁忌
・絶対的禁忌は3ヶ月未満
ミダゾラム, ドルミカム®︎(10mg/2mL)
希釈:1A+生食で割ってtotal 10mL
組成:1mg/mL
設定:0.1mL/kg(0.1 mg/kg/dose)
拮抗薬:フルマゼニル(アネキセート) 0.5mg/A(=5mL)
用量;0.02mg/kg
使用方法:成人量では初回0.2mgを緩徐に投与。4分までに覚醒得られなければ、0.1mgずつ追加投与。その後は1分おきに投与し、最大1mg
フェンタニル(1A=100μg/2mL)
希釈:1A+生食で割ってtotal 10mL
組成:10 μg/mL
設定:0.1 ml/kg(1.0 μg/kg/dose)
ロクロニウム(1A=50mg/5mL)
原液
設定:0.1 mL/kg(0.1 mg/kg/dose)
消化管内視鏡検査での鎮静・鎮痛
・国内の施設では、EGD(esophagogastroduodenoscopy:上部消化管内視鏡検査)では、乳児および幼児では全身麻酔を行う施設が多く、学童期以降ではミダゾラムと鎮静薬を併用する施設が多いと報告例あり。
・EGD、CS(colonoscopy: 大腸内視鏡検査)ともに、ミダゾラム使用施設では、鎮静薬としてペンタゾシンもしくはケタミンを併用する説が多かった。
・小児消化器内視鏡ガイドライン2017では、気道閉塞リスクの高い患者、鎮静による呼吸抑制が起こる可能性が高い患者、American Society of Anesthesiologists (ASA) 術前状態分類Ⅲ以上の患者、過去に鎮静下検査で重篤な偶発症を伴ったあるいは十分な鎮静が得られなかったことのある患者は、原則として麻酔科にコンサルトすることが推奨されている。
・個人、上司の経験する方法としては、まずミダゾラム(0.2mg/kg/dose)でうとうとと眠らせた後に、ケタミン(1mg/kgをひとまずの上限として0.2-0.5mg/doseずつ, 2mg/kgくらいまでは許容)、体動時などに適宜追加していく方法をとっていた。
外科処置時の鎮静(@ER)
・救急外来ににおいては、創部処置(洗浄、縫合)、骨折の整復、そのほか処置に協力得られない場合…などなど様々な状況において、鎮静・鎮痛が必要となる場面が多いです。
・外科処置の多くは痛みを伴うため、鎮痛が必須である。縫合処置では局所麻酔により十分な鎮痛効果が得られるので静脈投与の鎮静薬のみで対応できる場合があるが、広範囲の熱傷や創部処置、骨折整復ではオピオイド・ケタミンなど鎮痛と鎮静の両方の効果が期待できる薬剤が理想的です。
ベンゾジゼピン系 (ミダゾラム) (鎮静+ 鎮痛-)
1回投与量の目安:
6ヶ月〜5歳:0.05~0.1mg/kg/dose (最大0.6mg/kg)
6~12歳;0.025~0.05mg/kg/dose (最大0.4mg/kg)
半減期;約6~15時間
注意事項;興奮状態
禁忌:急性狭隅角緑内障、重症筋無力症
ケタミン(鎮静+ 鎮痛+)
1回投与量の目安;
0.5~1 mg/kg
※添付文章通り、1mg.kg/doseで投与が必要な場合もあるが、体重の多い年長児では、0.5mg/kg/dose以下に調整することがある。
半減期;2時間
禁忌;外来での使用、頭部外傷などの頭蓋内圧亢進、高血圧、痙攣の既往、高血圧、けいれんの既往
オピオイド(フェンタニル) (鎮静+ 鎮痛+)
1回投与量の目安;1~2 μg/kg
デクスメデトミジン(鎮静+ 鎮痛△)
1回投与量の目安;
0.4μg/kg/dose (鎮静効果不十分なら、1~3μg/kg)
持続投与量の目安;
0.2~0.7 μg/kg/時
プロポフォール (鎮静+, 鎮痛-)
1回投与量の目安;
2〜3 mg/kg
持続投与量の目安;
250→200→150 μg/kg/分 と15~20分ごとに減量
アセトアミノフェン(鎮静- 鎮痛+)
1回投与量の目安;
内服・坐薬 10~15 mg/kg
注射液 2歳未満:7.5mg/kg、2歳以上:10~15mg/kg
トリクロホスナトリウム シロップ (鎮静+ 鎮痛-)
トリクロリール シロップ 100mg/mL
1回投与量の目安;20~80 mg/kg (0.2~0.8 mL/kg)
成人量;1000〜2000mg(10~20mL)/回
抱水クロラール坐薬 (鎮静+ 鎮痛-)
エスクレ坐剤 250mg、500mg
1回投与量の目安;30-50mg/kg (最大総量1500mg)
投与後15~30分で就眠し、4~8時間作用する。
イソゾール (チアミラールナトリウム)
イソゾール注射 0.5g/V
使用量:2-3mg/kgくらいからスタート。10kgなら30mgなので3mlほど。
希釈方法:10mg/mLとなるように希釈
溶解液20mlで溶いて4ml使用。注射水6mlたして全部で10ml。10mg/mLになるように調節。


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