つつが虫病について | ゆるっと小児科医ブログ
PR

つつが虫病について

感染症

今回は、救急でつつが虫病も疑う症例がいたのでまとめてみました。

近年、冬季の降雪量が減少したことにより、猪や鹿などの野生動物の活動域が広がり、人の生活域と動物の生活域が重なってきています。そして、ダニ媒介感染症が増加する可能性が指摘されています。

1. 疫学

つつが虫病は、病原体を媒介するツツガムシの刺咬によって感染するリケッチア感染症で、東北地方で多く知られていた感染症です。近年では、感染例は全国でみられています。

発生地域と時期は、媒介するツツガムシの種類によって異なります。春季(5-6月)と秋季(11-12月)に2峰性のピークがあります。フトゲツツガムシは春・秋に、タテツツガムシは秋・冬に、アカツツガムシは夏に多くみられます。

2. 症状

吸着後7-10日で発症します。38-39度の弛張熱を認め、体幹部優位の発疹(手掌や足底はまれ)、径1cm程度の黒色痂皮状の刺し口を認めます。発熱・発疹・刺し口で3主徴と言われています。

また、刺し口周囲の所属部位〜全身のリンパ節腫脹、肝脾腫を認める場合もあります。ときに髄膜炎、心内膜炎のほか、ARDS、DICを合併し、多臓器不全に至ると救命は困難になります。

3. 検査

血液検査では、白血球の減少、血小板減少、白血球分画における好酸球の消失、異型リンパ球の出現、CRP・LDH・AST・ALTの上昇を認めます。重症例には、FDP高値、フェリチン上昇、高サイトカイン血症(TNF-α、IFN-γ、IL-8等の上昇)を認めることもあります。

4. 診断

ペア血清で、IgMまたはIgG抗体価の上昇がある場合、痂皮や血液からPCR法による病原体遺伝子の検出がされた場合、診断されます。

感染症法において4類感染症に分類され、診断後ただちに保健所への報告が義務付けられています。

5. 治療

成人に対しては、テトラサイクリン系が第一選択。治療開始後24時間以内に90%が解熱します。小児に対しては、歯牙黄染などの合併症が懸念され、慎重に投与されます。

しかし、1967年以降に開発された半合成テトラサイクリン(ドキシサイクリン)では、投与郡と非投与群で歯牙黄染の発症率に差がなかったとの研究もあります。

6. 予防

現在、有効なワクチンの開発は行われていません。発症の予防には、ダニ刺咬を防ぐために皮膚の露出を少なくし、露出部分には虫除けの塗布を行います。

DEET30%とイカリジン15%の使用が2016年6月より使用可能になり、高い有効性が示されています。しかし、DEETは乳幼児の安全性については注意を要するとされています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました
google.com, pub-9029171507170633, DIRECT, f08c47fec0942fa0