腹膜炎(peritonitis)の病態
・多くは腸穿孔または縫合不全による細菌漏出に伴う二次性細菌性腹膜炎。
・特殊な腹膜炎として、ネフローゼ症候群による腹水貯留に続発する特発性細菌性腹膜炎、腹膜透析や脳室-腹腔シャント(VPシャント)による感染症がある。
・非感染性として、胃液や血液などが腹腔内に漏出し生じる化学性腹膜炎がある。
身体所見・診察所見
・腹部全体の痛み
・悪心・嘔吐
・腹部膨満・圧痛
・筋性防御や板状硬などの腹膜刺激兆候
・新生児は症状は非特異的であり、低体温などの症状をきたす場合もあり
・腸管循環不良による腸管壊死は症状が出現しにくいので注意が必要。レントゲン検査でのfree airや血液検査でのWBC・Plt減少で気づかれる。
原因
・腹膜炎の病態により異なる。
二次性細菌性腹膜炎
病態:腸管穿孔、絞扼性イレウス
微生物:E. coliなどの腸内細菌属、嫌気性菌
特発性細菌性腹膜炎(SBP)
病態:ネフローゼ症候群や肝硬変を背景とした血行性またはリンパ行性。75%に菌血症合併
微生物:S. pneumoniae, S. aureus、腸内細菌属、GBS(新生児)
カテーテル関連腹膜炎
病態:カテーテルを介した汚染。透析液や髄液の侵入
微生物:CNS, S. aureus, P. aeruginosa, E. coliなどの腸内細菌属
検査所見
・画像検査(超音波検査、腹部造影CT検査)では腸管穿孔やイレウス所見の確認が必要
・SBPでは腹腔穿刺が必要。腹水好中球≧250/μLかつ腹水培養陽性
治療方針の決定
・抗菌薬選択を含め、治療方針は外科医と議論の上決定することが重要。
・治療方針の決定には、以下の点が重要
①穿孔所見の有無
②手術適応について
③膿瘍形成の有無
④ICU入室、Shock-vitalなのか
ICU入室・Shock-Vitalの場合
・バイタルに異常をきたす状態でICU入室が必要な場合、汎発性腹膜炎では以下の対応を行う
①血液検査・血液培養
・培養は可能であれば複数セット取る。
・採血の際にルート確保
②抗菌薬
・基礎疾患ない場合、CTX+MNZ or PIPC/TAZ
・心疾患や血液疾患などの基礎疾患ある場合、MEPMの使用を検討する
③外科的治療の検討
・外科医と対応を相談する。
・可能であれば、術中腹水培養を提出する。
以下ではICU入室を要さないケースでの対応をまとめる。
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超音波検査や造影CT検査で穿孔所見を認める場合
・手術が可能がどうかで対応も少し異なる。
手術が可能な場合
膿瘍形成なしの場合
・ABPC/SBT or CMZ
・経口摂取可能となれば内服移行、術後合計5-10日間
膿瘍形成ある場合
・CMZ or CTX+MNZ or PIPC/TAZ
・経口摂取可能となれば内服以降、膿瘍消失まで行う
手術困難な場合
膿瘍形成なしの場合
・ABPC/SBT or CMZ
・経口摂取可能となれば内服可能、症状と合わせて7-14日間
膿瘍形成ある場合
・CMZ or CTX+MNZ or PIPC/TAZ
・経口摂取可能となれば内服可能、原則膿瘍消失するまで


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