こんにちは。小児科医りんご🍎です。
学校検診や風邪の時の検査で「尿に異常があります」と言われると、パパやママはとても不安になりますよね。「腎臓が悪いの?」「将来透析になったりしない?」と、ネットで調べてさらに心配が膨らむこともあるかもしれません。
今日は、小児科の外来でよく相談を受ける「子どもの蛋白尿・血尿・白血球尿」について、専門医の視点から詳しく、そして分かりやすく解説します。
尿検査は「体の鏡」
腎臓は、体の中の不要なものを濾過(ろか)して尿として捨てる「高性能なフィルター」です。
通常、体に必要な成分はフィルターを通らず血液に戻されますが、ここにトラブルが起きると尿の中に漏れ出してしまいます。
主なチェック項目は以下の3つです。
- 蛋白尿: フィルターの目が粗くなっていないか?
- 血尿: フィルターや通り道で出血していないか?
- 白血球尿: どこかで細菌と戦ったり、炎症が起きたりしていないか?
「蛋白尿」:異常ではないケースも多い
子どもに蛋白尿が見つかった場合、実は「病気ではないケース」がかなりあります。
異常ではない「生理的蛋白尿」
- 起立性蛋白尿: 立ち上がって活動している時にだけ蛋白が出るタイプです。学童期〜思春期に多く、寝ている間(早朝尿)は出ません。これは治療の必要がない「個性」のようなものです。
- 熱や激しい運動: 高熱が出た時や、激しいスポーツをした直後は、一時的にフィルターが緩んで蛋白が出ることがあります。
注意が必要なケース
「ネフローゼ症候群」や「腎炎」などの病気が隠れていることがあります。
- チェックポイント: まぶたや足のむくみはないか? 体重が急に増えていないか? 尿の泡立ちが異常に強くないか?
「血尿」:見た目では分からないことも
「血尿」には、目で見えるものと、顕微鏡で見ないとわからないものがあります。
知っておきたい「ナットクラッカー現象」
子どもの血尿で意外と多いのがこれです。左の腎臓から出る静脈が、太い動脈に挟まれて圧迫されることで血が混じる現象です。痩せ型の子に多く、基本的には成長とともに改善するため心配いりません。
要注意なのは「蛋白尿」との組み合わせ
血尿単独よりも、「蛋白尿+血尿」がセットで見られる場合は、腎臓自体の炎症(糸球体腎炎など)の可能性が高まるため、精密検査が必要になります。
「白血球尿」:バイ菌との戦いのサイン
尿の中に白血球が増えているのは、尿路のどこかで炎症が起きている証拠です。
- 尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎): 子どもの白血球尿で最も多い原因です。女の子は尿道が短いため膀胱炎になりやすく、赤ちゃんの場合は高熱が出る「腎盂腎炎」に注意が必要です。
- 外陰部の汚れ: 特に女の子の場合、お股の皮膚の汚れが混じって「陽性」として出ることもよくあります。
- 無菌性白血球尿: バイ菌がいなくても、川崎病などの全身疾患やウイルス感染の影響で出ることがあります。
検査結果の組み合わせと緊急度
小児科医が結果を見る際、どの項目が組み合わさっているかを重視します。
| 尿の結果 | 主な可能性 | 緊急度・対応 |
| 蛋白(+)のみ | 起立性、ネフローゼ | 早朝尿で再検。むくみがあればすぐ受診。 |
| 血尿(+)のみ | ナットクラッカー、体質 | 定期的な経過観察が主。 |
| 白血球(+)のみ | 汚れ、軽い感染症 | 痛みや残尿感がなければ様子見も可。 |
| 蛋白(+) + 血尿(+) | 急性・慢性腎炎 | 【要注意】 早めに専門医へ。 |
| 白血球(+) + 発熱 | 腎盂腎炎 | 【至急】 早期の抗生剤治療が必要。 |
小児科医からのアドバイス:パパ・ママへ
学校検診で「再検査」の紙をもらったら、まずは慌てずに小児科を受診しましょう。
- 早朝尿と来院時尿をチェックします: 寝起きの第一尿を検査することで、活動による影響(起立性蛋白尿など)を排除できます。また病院を受診してからも尿検査を行うことがあります。トイレのタイミングは気をつけて。もちろん我慢できないような尿意ならトイレに行ってもOKですが、可能なら尿検査を受診時にも行うか、事前に聞いてみて下さい。
- 症状を観察する: おしっこの時の痛み、回数、顔や足のむくみ、最近の風邪の有無をメモしておきましょう。
尿検査で異常が出る子のうち、本当に大きな治療が必要な子はごく一部です。しかし、その「一部」を確実に見つけるのが、私たち小児科医の仕事です。放置せず、専門家に相談してくださいね。


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