【小児科医blog:腎臓】尿細管性アシドーシス(RTA)について | ゆるっと小児科医ブログ
PR

【小児科医blog:腎臓】尿細管性アシドーシス(RTA)について

腎臓

定義

・尿細管性アシドーシス(RTA)とは、糸球体障害がないか軽度の状態で、腎集合管における酸分泌または近位尿細管における重炭酸再吸収が障害され、アニオンギャップ(AG)正常の代謝性アシドーシスを呈する疾患

病因・病態

Ⅰ型RTA(遠位尿細管性アシドーシス distal RTA: dRTA)

・集合管では、体内で産生された不揮発酸がH+-ATPaseにより管腔に排泄される。

・dRTAの原因はH+の排泄障害であり、著明なアシドーシス存在下でも尿pHが5.5-6.5以下になることはない。

病態

・dRTAでが排泄障害によって蓄積した酸を中和するために骨のハイドロキシアパタイトが利用されるため、無治療では骨吸収が亢進する。そのためくる病・骨軟化症を停止、尿中Ca排泄は増加する。

・また、塩基の平衡を保つために近位尿細管におけるクエン酸再吸収が増加する。結果として高カルシウム尿症および低クエン酸尿症となり、腎石灰化および結石が生じる。

・集合管においてH+が分泌されない代わりにK排泄が亢進し、低カリウム血症を呈する。これはレニン・アンジオテンシン系(RAA系)の亢進が関与しているとされる。

二次性dRTA

・原因として頻度が高いのはシェーグレン症候群や全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患。

・そのほか、腎移植後や腎間質の疾患も生じうる。

・薬剤性としてはアムホテリシンB、リチウム、ホスカルネットナトリウム水和物などがある。

・また、閉塞性腎症や鎌状赤血球腎症でも生じる。

Ⅱ型RTA(近位尿細管性アシドーシス proximal RTA: pRTA)

・近位尿細管における重炭酸再吸収障害が原因。

・Fanconi症候群の一症状として発症することが多い。

・病態の中心は重炭酸喪失によるAG正常の代謝性アシドーシスである。

・そのほか、重炭酸が大量に失われることに伴いNaとKの喪失も起こる。結果として循環血液量は減少し、RASが亢進し低カリウム血症が助長される。

・一方、Henleループの太い上行脚でのNa再吸収の亢進によりCa再吸収も亢進するため、アシドーシスにより骨吸収は亢進するが結果として尿中Ca排泄は正常となる(1型RTAとの違い)

・また、尿中クエン酸排泄は低下しないため、腎石灰化や尿路結石を呈することはない(1型RTAとの違い)

Ⅲ型RTA(hybrid RTA)

・Ⅰ型RTAとⅡ型RTAの両方の要素を持つ。

・炭酸脱水素酵素(carbonic anhydraseⅡ:CAⅡ)の変異は大理石骨病の一因であるが、CAⅡは近位尿細管における重炭酸再吸収および集合管におけるH+排泄の両方に寄与している。

・CAⅡは破骨細胞にも発現しており、酸を排泄して骨ミネラルを溶解する働きがある。

・また脳内のoligodendrocyteやastrocyteにも発現があり、脳の成熟に異常をきたす。

Ⅳ型RTA(高カリウム血症を伴うRTA)

・アルドステトロンは集合管主細胞においてNaの再吸収を促進し、Kを排泄している。またα介在細胞にも作用してH+-ATPaseおよびCAⅡの発言を増強し、H+の排泄に関与する

・アルドステロンの欠乏または作用不全はNa+の喪失による循環血液量低下、高カリウム、代謝性アシドーシスを呈する。

アルドステロン欠乏

・先天性:21-hydroxylase欠損による先天性副腎過形成、アルドステロン合成酵素欠損

・後天性:Addison病、糖尿病性腎症、間質性腎炎(低レニン性低アルドステロン症)

アルドステロン作用不全

・集合管におけるアルドステロンへの反応性が低下し、血中アルドステロン濃度は異常高値となるため、偽性低アルドステロン症(PHA)とよばれる。

・臨床上よく遭遇するのは続発性のPHAであり、腎盂腎炎や先天性腎尿路異常が主な原因である。

臨床徴候

Ⅰ型RTA

・常染色体劣性dRTAでは新生児期、乳児期よりアシドーシスによる成長障害(体重増加不良)、哺乳障害を認める。

・また、集合管でH+が排泄されない代わりにNa、Kの排泄が亢進しており、尿濃縮力障害による多飲多尿、夜間尿を呈する。

・低カリウム血症による筋力低下、四肢麻痺、不整脈が見られることもある。

・尿中Ca排泄は亢進、クエン酸排泄は低下するため、腎石灰化や尿路結石を呈する。

・また低カリウム血症の持続により腎嚢胞を呈する。

Ⅱ型RTA

・pRTAの主な症状は成長障害である。

・dRTAと異なり腎石灰化や尿路結石を呈することはない。

・Fanconi症候群として発症した場合、低リン血症、低尿酸血症、アミノ酸尿、糖尿、低分子蛋白尿を呈する。

・単独永続性のpRTAでは、白内障、緑内障、帯状角膜変性などの眼疾患症状を呈する。

Ⅲ型RTA

・CAⅡ異常による大理石骨病では易骨折性

・脳内石灰化、および精神発達遅滞を呈する

Ⅳ型RTA

・高カリウム血症を呈することが特徴。

・代謝性アシドーシスは他のタイプほど重症ではない。

検査

アニオンギャップ(AG)

・RTAではAG正常(12±2 mEq/L)の代謝性アシドーシスを呈する。

・尿AG(UAG)は尿中(Na+K-Cl)で算出され、通常-20〜-50mEq/L

・dRTAではNH4+の排泄障害のため尿中(Na+K)に比較して尿中CLが少なくなり、UAGは正となる。

・一方、dRTA以外のRTAでは消化管からのHCO3-喪失による代謝性アシドーシスの場合は腎からのNH4+の排泄は保たれるため、UAGは負のままである。

FEHCO3-(アシドーシス補正後)

・pRTAではFEHCO3-は15%以上となるが、dRTAでは5%未満である。

・十分にアシドーシスを補正してから検査する。

治療

Ⅰ型RTA

・アルカリ補充が基本。腎石灰化や低カリウム血症に対処するため、クエン酸製剤を用いる。

・クエン酸製剤:2-4mEq/kg/日の補充

  ※急性期や幼少児:4-8mEq/kg/日、成人:1-2mEq/kg/日

Ⅱ型RTA

・重炭酸の喪失が大きいため、dRTAと比べて大量のアルカリが必要になる(5-15mEq/kg/日)。

・Kを含むクエン酸製剤を用いても低カリウム血症が増悪する場合、カリウム製剤投与が必要となる。

・Fanconi症候群によるpRTAで低リン血症が存在する場合には、中性リン酸塩(Pとして20-100mg/kg/日)や活性化ビタミンD製剤を用いる。

Ⅳ型RTA

・アルドステロン欠乏に対しては、原疾患に応じてグルココルチコイドまたはミネラルコルチコイドの補充で対応する。


コメント

タイトルとURLをコピーしました
google.com, pub-9029171507170633, DIRECT, f08c47fec0942fa0