【小児科医🍎blog】「おへそからクサイ汁が…」それ、ただの汚れじゃないかも?羽生結弦選手も手術した『尿膜管遺残症』を小児科専門医が徹底解説 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医🍎blog】「おへそからクサイ汁が…」それ、ただの汚れじゃないかも?羽生結弦選手も手術した『尿膜管遺残症』を小児科専門医が徹底解説

小児外科
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💡 はじめに

こんにちは!小児科専門医りんごです。

こどもって、おヘソの穴をよくいじっていたりしませんか?

「ばい菌が入るからやめようね〜」と声をかけつつ、赤くなっていないかこっそりチェック…。

 「子どものおへそがよくジクジクして、ウンチみたいな臭いがする…」

 「たまに赤く腫れて痛がるけれど、家にあった軟膏を塗ってやり過ごしていた」

もしお子さんにこんな症状があるなら、それは「おへそのゴマの取りすぎ」ではなく、お腹の中に隠れた「管」が原因の病気、『尿膜管遺残』かもしれません。

この記事では、親御さんが一番知りたい「原因」「検査方法」「治療方針」について、分かりやすく解説します。5分ほどで読めますので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。

🚨 まずはチェック!病院へ行くべき「おへそのサイン」

「うちの子は大丈夫?」と心配なパパ・ママへ。

まずは以下のチェックリストを確認してください。

  • おへその中がいつも湿っていて、なかなか乾かない
  • 黄色や白っぽい、ドロッとした汁(膿)が出ている
  • おへそからツンとする強烈な悪臭(ウンチのような臭い)がする
  • おへそや、そのすぐ下(下腹部)が赤く腫れている
  • おへそ周りを触ると痛がって泣く、または歩く時に前かがみになる

1つでも当てはまり、とくに「赤み・腫れ・痛み」がある場合は、迷わず小児科か小児外科を受診してください。

👶 そもそも「尿膜管遺残症」ってどんな病気?

なぜ、おへそから悪臭のする汁が出るのでしょうか?

その答えは、「赤ちゃんがお腹の中にいた時の名残り」にあります。

お母さんのお腹の中にいる胎児期、赤ちゃんの「おへそ」と「膀胱(おしっこをためる袋)」は、「尿膜管」という一本の細いストローのような管で繋がっています。

通常、この管は生まれる前には自然に閉じて、ただのヒモ(正中臍索)へと退化します。

しかし、何らかの理由でこのストローが完全に閉じきらず、一部が残ってしまうことがあります。これが「尿膜管遺残症」です。

⚠️ 管の残り方にはいくつか種類があります

医学的には主に以下のパターンに分かれます。

  1. 完全に開通している(尿膜管瘻):おへそからおしっこが漏れ出てくることがあります(新生児期に気づかれやすいです)。
  2. おへそ側だけ開いている(尿膜管洞):ここに垢や汚れが溜まりやすく、最も化膿しやすいタイプです。
  3. 途中に袋状に残っている(尿膜管嚢胞):普段は無症状ですが、感染するとお腹の中に大きな膿の袋を作ります。

管が残っているだけなら無症状の人も多いのですが、そこにばい菌が入り込んで感染・化膿(尿膜管炎)を起こすと、激しい痛みや悪臭を放つ汁の原因になります。羽生選手が全日本選手権の直後に緊急手術となったのも、この強い炎症による激痛があったためです。

https://www.tsukuba-urology.com/patient/disease/urachal/

参考)筑波大学附属病院腎泌尿器外科

🩺 病院ではどんなことをするの?

「おへその奥の病気なんて、検査や治療が痛そうで可哀想…」と不安になりますよね。

ここからは、実際の病院での流れを解説します。

1. 検査

一番最初に行うのは「超音波(エコー)検査」です。

お腹に温かいゼリーを塗って機械を当てるだけなので、全く痛くありません。

これだけで、皮膚の下に管が残っているか、膿が溜まっているか(嚢胞があるか)がかなり正確に分かります。

より詳しく調べる必要がある場合のみ、MRIやCT検査を追加します。

2. 治療は「2段階」が世界的なスタンダード

「診断されたら即、お腹を切って手術!?」と驚かれるかもしれませんが、安心してください。感染を起こして赤く腫れている時(急性期)は、いきなり手術はしません。

第1段階:とにかく火事(炎症)を鎮める

まずは抗生物質の飲み薬や点滴でばい菌をやっつけます。膿がパンパンに溜まっている場合は、おへそから少しだけ膿を抜く処置(ドレナージ)を行うこともあります。

第2段階:火元(原因の管)を取り除く手術

薬で炎症が完全に治まり、元気に走り回れるようになってから(数週間〜数ヶ月後)、「再発を防ぐための手術」を検討します。

現在は「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術」が主流です。おへそ周りの小さな穴からカメラを入れて行うため、傷跡もほとんど目立たず、数日〜1週間程度の入院で済みます。

昔は「管が残っていたら、症状がなくても予防的に手術で取るべき」という意見もありました(大人になってからの「がん化」を防ぐためなど)。しかし現在の小児外科のガイドラインでは、「たまたま見つかった無症状のものなら、急いで手術せずに経過観察で良い」という考え方が主流になっています。(※小児期のがん化は極めて稀であるため) 手術をするのは、「何度も化膿や痛みを繰り返して日常生活に支障が出る場合」が基本です。

🙅‍♂️ 親が絶対にやってはいけないNG行動

最後に、おへそトラブルでやってしまいがちなNG行動をお伝えします。

「汚いから」と、綿棒でグリグリ奥まで掃除すること!

これは絶対にやめてください。

かえってばい菌を奥へ押し込んだり、デリケートな組織を傷つけて炎症を悪化させる原因になります。 お風呂の時に、表面をたっぷりの泡で優しく撫で洗いし、シャワーでサッと流すだけで十分です。

🍎 まとめ:一人で悩まず、小児科へ

「子どものおへそが臭いなんて、私の洗い方が悪かったのかな…」と自分を責めてしまう親御さんがいらっしゃいますが、決してあなたのせいではありません。

生まれつきの体の構造(管の残り)が原因なので、どんなに綺麗に洗っていても感染する時はしてしまいます。

大切なのは、痛がる子どもを前に不安な顔を見せるよりも、「大丈夫、お医者さんに診てもらおうね」と安心させてあげることです。

「あれ?」と思う症状があれば、いつでも私たち小児科医や小児外科医を頼ってくださいね。

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