こんにちは!小児科医りんご🍎です。
男の子を育てるママ・パパ、お風呂上がりやお着替えのとき、
「あれ?タマタマ(精巣)が袋の中にない!?」
というびっくりする出来事に遭遇した方はいませんか?
今回は、「タマタマが触れない」という症状について、
様子見でOKな「移動精巣」と、治療が必要な「停留精巣」の違いを解説します。
疾患の基本からおうちでできるチェック方法まで、分かりやすくまとめましたので、ぜひご覧くださいね!!
疫学:どれくらいの男の子に見られるの?
そもそも、男の子の精巣はお腹の中で作られ、生まれる前までに陰嚢(おちんちんの下の袋)へと降りてきます。
しかし、出生時に精巣が完全に降りきっていない「停留精巣」は、正期産の男の子の約1〜3%に見られます。
一方、今回メインでお話しする「移動精巣」は、元々はちゃんと降りているのに一時的に上に上がってしまう状態です。
これは病気ではなく、幼児期〜学童期の男の子には非常に高い頻度(数十%とも言われます)で見られる「正常な身体反応のバリエーション」です。
症状と原因
【主な症状】
- おむつ替えや着替えの時、陰嚢が空っぽ(あるいは小さく)見える。
- 触ってみると、足の付け根(鼠径部)のあたりにコリッとしたものがある。
【原因は「精巣挙筋反射」】
人間の身体には、寒さを感じたり、緊張したり、太ももの内側を触られたりすると、精巣を上(お腹のほう)にキュッと引き上げる「精巣挙筋反射」という防御機能が備わっています。
幼児期から学童期(特に5〜7歳頃)はこの反射が非常に強いため、冷たい空気に触れたり、泣いてお腹に力が入ったりするだけで、タマタマが足の付け根に隠れんぼしてしまうのです。
検査:どうやって見分けるの?
ここで一番重要なのが、「様子を見ていい移動精巣」なのか、「治療が必要な停留精巣」なのかを見極めることです。
診察のポイント(カエル足のポーズ)
仰向けで足の裏を合わせる「カエル足(Tailor position)」になってもらうと、お腹の筋肉がリラックスします。医師が手を温め、優しく足の付け根から陰嚢に向かってなで下ろします。
移動精巣の診断
スッと無抵抗で袋の底まで下ろすことができ、手を離してもしばらくそこに留まっていれば「移動精巣」と診断できます。
エコー検査の注意点⚠️
冷たいゼリーや検査の緊張で精巣が上に引き上がってしまい、本来は移動精巣なのに「停留精巣」と過剰診断されてしまうリスクがあります。
経過と治療法:いつまで様子を見るの?
移動精巣の治療法は「経過観察(見守り)」
移動精巣と診断された場合、手術やお薬は不要です。基本的には「自然に落ち着くのを待つ」ことになります。
いつ定着するの?(経過の見通し)
目安としては「中学生くらい(思春期)まで」です。 思春期に入って男性ホルモン(テストステロン)の分泌が増えると、精巣自体が大人サイズに大きく、重くなります。そうすると、上に引き上げる力よりも精巣の重さが勝つようになり、自然と袋の底に定着します。
⚠️ 注意すべき「上昇精巣(後天性停留精巣)」
「放置していい」というわけではありません。身長が伸びるスピードに、精巣を吊るしているヒモ(精索)の成長が追いつけず、途中から下まで降りなくなってしまう「上昇精巣」に変化することが稀にあります。
そのため、半年に1回〜1年に1回は小児科で定期チェックを受けることが非常に重要です。もし上昇精巣になってしまった場合は、小児外科や泌尿器科にて精巣を袋の底に固定する手術(精巣固定術)が必要になります。
おうちでできる!一番確実な「お風呂チェック」
実は、冷暖房が効いていても、病院の診察室は移動精巣のチェックには不向きです。「お医者さんだ!」と緊張しただけで上に逃げてしまうからです。
親御さんにお願いしたい一番のチェック方法は、「お風呂の湯船の中」です。
- お湯で体がポカポカ温まっている
- パパやママと一緒で一番リラックスしている
この最高の条件が揃ったお風呂タイムに、そっとおちんちんの下の袋を触ってみてください。その時にタマタマが袋の中にポチャッと入っていれば、まずは一安心です。
まとめ:焦らず、ゆるっと見守りましょう
「タマタマがない!」という気づきは、親御さんにとって本当に心臓に悪い出来事だと思います。ですが、それに気づけたのは、日々お子さんの身体をしっかり見守っている素晴らしい証拠です。
不安なことを一人で抱え込む必要はありません。
おうちではリラックスしたお風呂タイムに優しく見守っていただき、定期的な触診チェックは私たちがしっかり行います。焦らず、ゆるっと、チームで一緒に成長を見守っていきましょう!
※本記事は個別の診断を代行するものではありません。ご不安な点や、「お風呂でも全く触れない」「左右で大きさが違う」などのサインがあれば、いつでもかかりつけの小児科医にご相談ください。

コメント