Introduction
以前も水腎症については度々まとめていますが、やはり頻度の多い疾患。
昨年は私は主に一般小児を中心に見ていましたが、今年は新生児についても診療する機会が多く、NICU・GCUでも、また退院後のフォローアップ外来でもよく診察しています。
小児腎臓病学という書籍も購入したので、追加情報としてまとめをUp-to-Dateしていきます。
下記に以前のリンクを貼っておきます!
定義
・腎臓内圧の上昇により腎盂・腎杯が拡張した形態を示すもの(広義の水腎症)
・腎盂尿管移行部通過障害(UPJO)が原因となり腎盂・腎杯の拡張した病態(先天性水腎症:狭義の水腎症)
原因
・腎盂尿管移行部通過障害(UPJO)が最多。
・他にも、胱尿管逆流(VUR)、尿管膀胱移行部通過障害(UVJO)、尿管遠位橋端の閉塞性疾患(尿管瘤、巨大尿管)、尿道閉塞疾患(後部尿道弁)も原因となる。
・UPJOとUVJOは、生理的狭窄部位での狭窄や閉塞によって起こる病態である。
・尿管の拡張を伴う場合は尿管膀胱移行部狭窄(巨大尿管)や尿管瘤を考える。
・膀胱の拡張を伴う場合は後部尿道弁など下部尿路閉塞疾患を疑う。
・VURは水腎症の程度との関連性は少なく、胎児水腎症の10-15%に合併する。
病態
・UPJOの原因には内因性(尿道狭窄、尿管ポリープetc)と外因性(交差血管etc)など多因子が関与している。
・閉塞が悪化し、腎盂が拡張すると高位付着や繊維性癒着などによる二次性閉塞機転を合併する。
・無症候性は内因性が多く、外因性は少ない。
・一方で、年長児に発見される症候性水腎症は交差血管によるものも多い。
・閉塞性腎障害の特徴的な所見は腎の繊維化であり、RASの活性が亢進して腎性高血圧が生じれば繊維化が進行して蛋白尿が生じる。
・UVJOは膀胱尿管移行部の通過障害で、巨大尿管が出現する
評価
胎児期
・胎児水腎症を評価する際に現在広く用いられているのは、腎盂の前後径(anterior posterior diameter: APD)である。
・胎児期にAPDが10mm以上を呈する場合は、出生後にエコーによる評価を行い、胎児期15mm以上では高度水腎と考え泌尿器科に連絡する。胎児期10mm未満なら生後の評価は不要。
・通常、日齢2以降にエコーを施行して初期評価を行う。
出生後
・新生児期以降のエコーでの評価は、腎盂拡張、腎杯拡張、腎実質の厚さを元にgrade1-4の4段階に分けるSFU分類を用いる。
SFU分類
Grade1 軽度の腎盂拡張のみ
Grade2 腎盂拡張と数個の腎杯拡張
Grade3 腎盂拡張とすべての腎杯拡張を認めるが、腎実質は正常の厚さを保つ
Grade4 Grade3に加えて、腎実質の菲薄化を伴う。
・新生児期にSFU grade3,4を呈する高度水腎症、明らかな尿管拡張や膀胱拡張を伴う水腎症については泌尿器科に連絡し、VCUGの早期施行、UTI予防のための抗菌薬投与の必要性について検討する。
臨床症状
・UPJOでは他の尿路異常の合併も認める割合が高く、VURは約10%ほどに認めるとされている。
・UTI(尿路感染症)や腹痛、腹部腫瘤、消化器症状、検尿異常などが発見契機となることも多い。
・とくに年長児で側腹部痛や悪心嘔吐などの消化器症状を反復する症例では、間欠的水腎症に注意。症状が非特異的で見逃されるケースも多い。姿勢の変化や水分の多量摂取でUPJOの通貨障害がさらに悪化し、腎盂が拡大することが原因と考えられている。
治療・対応
・UPJOとそれ以外の病因では対応が異なり、各疾患ごとに対応が必要。
UPJOの場合
・症候性(UTIの反復、間欠的水腎症)の場合、手術適応。
・無症候性の場合、胎児期・新生児期に偶発的にエコー検査で発見されることが多く、SFU分類のgrade1の全例、grade2の70%が1年以内に自然軽快する。
・SFU grade3-4の水腎に対しては、経過中に10%以上の分腎機能低下もしくは水腎形態の悪化を認めた場合を外科治療の適応として、5年以上の長期経過観察を行う。報告によると、20%程度で手術適応となったとのことである。
フォロー間隔
SFU grade1-2:幼児期以降は半年から1年ごとにフォロー
SFU grade3-4:超音波検査による形態評価とレノグラムによる分腎機能で長期的に評価。
→分腎機能<40%、分腎機能低下率>5-10%を目安に手術適応
参考書籍
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