【小児科医blog:免疫】IgA血管炎(IgA vasculitis: IgAV)について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:免疫】IgA血管炎(IgA vasculitis: IgAV)について

腎臓
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今回はIgA血管炎についてです。

「1週間前に風邪をひいて、その後から足をいたがっているんです」

「足に赤いのがたくさんでてきて、痒がってます」

「足とお腹が痛いみたいで…。」

外来で目にする機会も少なくはない疾患についてまとめます。

1. 総論

IgA血管炎は、IgAを含む免疫複合体の沈着を伴う全身性の小血管炎で、血小板減少および血液凝固異常を伴わない紫斑性皮疹が出現します。IgAにはIgA1とIgA2の2つあり、その内IgA1のみが関与します。
皮膚症状はPalpable purpura、丘疹、紅斑、膨疹、血管浮腫であり、成人では血疱や潰瘍形成も多くみられます。

川崎病を除けば、こどもでは多い血管炎です。   主な症状は、血管炎・血管障害診療ガイドラインによると以下の4つです

1. 紫斑(100%)
2. 関節痛/関節炎(60~75%)

3. 消化管症状(50~65%)
4. 尿検査異常・腎症(20~55%)

2. 原因

明確な原因は明らかではないですが、以前より感染症との関連が指摘されています。う歯や歯肉炎などの口腔内病変、副鼻腔炎、扁桃炎、中耳炎などの病巣感染を認める場合は治療を行います。IgA免疫複合体が小血管壁に付着し、補体やサイトカインが活性化して血管炎が生じると考えられています。溶血性連鎖球菌感染症が関連していると考えられる場合には抗菌薬治療を行う必要があります。

3. 診断基準

小児Henoch-Schönlein紫斑(IgA血管炎)の分類基準(EULAR/PreSコンセンサス会議2006)
palpable purpura(必須基準)以外に下記の特徴のうち1 つ以上を認めること

①びまん性腹痛(おなかが全体的に痛いこと)

②生検組織にIgA 優位の沈着

③関節痛ないし関節炎

④腎障害(血尿and/or蛋白尿)

4. 検査

・白血球、CRPの上昇

・FDPやD-dimerなど血管炎マーカーの上昇

・凝固13因子活性の低下(重症例)

・補体、IgAの上昇

・血小板や凝固系検査は正常

・便潜血陽性(腹痛が強い場合)

・超音波検査(腸重積を合併することあり)

・尿検査(血尿・蛋白尿の確認、赤血球円柱・変形赤血球の確認、尿中Ca/Cre比)

・ASO(溶連菌感染の確認)

5. 治療

①皮膚症状

・少数の紫斑の場合は症状も乏しいために経過観察。

・紫斑が多数となり潰瘍を形成するような場合は掻痒や疼痛を伴うために、副腎皮質ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服を使用します。

・紫斑が遷延する場合は,短期間の副腎皮質ステロイドやジアフェニルスルホン(Diaphenylsulfone; DDS),コルヒチンの使用を検討します。

・抗ロイコトリエン拮抗薬や止血薬,血管強化薬を使用されることもありますが,いずれも有効性についての十分なエビデンスはないです。

●DDS:核酸の合成を停止させ静菌的に作用する。

投与量:0.5~2.0 mg/kg/day(少量から開始)。

副作用:悪心嘔吐、頭痛、過敏症、肝機能障害などがあり、特に問題となるのは溶血性貧血、メトヘモグロビン血症。

重篤な副作用:DDS症候群(投与後2~5週間で発疹が出現し、さらに発熱、心窩部痛、肝腫大、黄疸、リンパ節腫脹、単核症などが出現する)

●コルヒチン:多核白血球内の微小管を構成するチュブリンに結合し、微小管形成阻害により多核白血球の炎症部位への遊走やライソゾーム脱顆粒の抑制を行う。痛風発作や家族性地中海熱に使用されている。

副作用:下痢

②関節症状

安静を保ち、アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を用います。症状の改善に乏しい場合には、副腎皮質ステロイドやDDSの使用を検討します。

③腹部症状

血管炎・血管障害診療ガイドライン2016

「小児IgAV では、PSL1mg/kg/日を短期間投与(2週間投与、その後漸減2週間)することによって、7-10日後の紫斑の出現は有意に抑制された。PSL2mg/kg/日投与も有効だった」

 入院加療が必要となる場合が多いです。副腎皮質ステロイドが有効であり、症状が軽度の場合は外来での内服治療が可能です。症状が強い場合は入院し、腸管の安静のために絶食として補液を行います。

プレドニゾロン(Prednisolone; PSL) 1~2 mg/kg/day 点滴静注

症状が消失したら3~7日ごとに漸減し、経口摂取が可能となったら内服薬へ切り替えます。再燃した場合はPSLを元の量に戻し、症状が改善しない場合は2 mg/kg/dayまで増量しますが、1~2週間で改善が見られない場合は抵抗性と判断してDDSの内服併用を検討します。

第ⅩⅢ因子が低値の場合は、第ⅩⅢ因子製剤の補充(30-50単位/kg,3日間)

腹部症状に対してH2-blocker,、胃粘膜保護剤など抗潰瘍薬の有効性の報告もあり、副腎皮質ステロイドやNSAIDsによる副作用予防も兼ねて使用することがあります。

腹痛が遷延、再燃を繰り返す難治な経過の症例に対しては、ステロイドパルス療法、大量免疫グロブリン療法、免疫抑制薬の併用、血漿交換を行います。

6. 退院後について説明

IgA血管炎は約30%が発症から4-6か月以内に1回以上再発するため、腹痛や紫斑が出現したときは連絡して外来を受診してもらう。また、腎炎として血尿が出現することは20-55%であり、6か月間は月1回のペースで尿検査をする必要があります。逆に腎炎症状さえなければ、予後は良好です。

参考文献

血管炎・血管障害診療ガイドライン2016

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/vasculitisGL.pdf

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