総論
- 薬剤性腎障害(drug-induced kidney injury: DKI)とは、「薬剤の投与により新たに発症した腎障害、あるいは既存の腎障害のさらなる悪化を認める場合」と定義される。
- 原因薬剤としては、抗菌薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、抗がん薬、免疫抑制薬など、様々な薬剤で起こり得る。
- 本邦では2016年に薬剤性腎障害診療ガイドライン2016が発刊されている。
疫学
- 日本腎臓学会主導の腎臓病総合レジストリー、腎生検レジストリーの登録をもとにした報告では、ネフローゼ症候群や慢性腎炎に併発したものも多く報告されている。
- 病理組織診断では、膜性腎症やメサンギウム増殖性腎炎などの何らかの糸球体障害が32.0%、急性尿細管間質性腎炎23.2%、急性尿細管壊死3.4%、慢性尿細管間質性病変22.0%と、尿細管間質性病変が多く見られている。
分類
- 本邦では2016年のガイドラインにおいて、発症機序に基づいて以下の4つに分類されている。
①中毒性
- 中毒性腎障害による急性間質性腎炎(過敏性腎障害)
急性腎障害・慢性腎不全
- 尿細管毒性物質による急性尿細管壊死
- 尿細管萎縮
原因薬剤
- アミノグリコシド系抗菌薬
- バンコマイシン
- ヨード造影剤
- 白金製剤
慢性腎不全
- 慢性間質性腎炎
原因薬剤
- NSAIDs
- 重金属
急性腎障害
- 血栓性微小血管症
原因薬剤
- カルシニューリン阻害薬
- マイトマイシンC
近位尿細管障害(尿糖、尿細管性アシドーシス、Fanconi症候群)
- 近位尿細管での各種障害
原因薬剤
- アミノグリコシド系抗菌薬
遠位尿細管障害(濃縮力障害、尿細管性アシドーシス、高カリウム血症)
- 集合管での各種障害
原因薬剤
- カルシニューリン阻害薬
- アムホテリシンB
- ST合剤
- リチウム製剤
②アレルギー・免疫学的機序
- アレルギー機序による急性間質性腎炎(過敏性腎障害)
急性腎障害
- 急性尿細管間質性腎炎
原因薬剤
- 抗菌薬
- NSAIdS
- H2ブロッカー
ネフローゼ
- 微小変化型ネフローゼ
原因薬剤
- NSAIDs
- リチウム製剤
蛋白尿~ネフローゼ
- 膜性腎症
原因薬剤
- NSAIds
- インフリキシマブ
- カプトプリル
- インターフェロンα
- リチウム製剤
急性腎障害~慢性腎障害
- 半月体形成性腎炎
原因薬剤
- D-ペニシラミン
ANCA関連血管炎
原因薬剤
- アロプリノール
- プロピルチオウラシル
③間接毒性
- 薬剤による電解質異常、腎血流減少などを介した間接毒性
急性腎障害
- 腎血流の低下、脱水/血圧低下に併発する急性尿細管障害
- 腎血流障害の千円による急性尿細管壊死
原因薬剤
- NSAIDs
- RAS阻害薬(ACE-I, ARB, 抗アルドステロン薬)
- 横紋筋融解による尿細管障害→尿細管壊死
原因薬剤
- スタチン
- フィブラート系薬
- 向精神薬
電解質異常
- 主に遠位尿細管障害
原因薬剤
- NSAIDs
多尿
- 高カルシウム血症による浸透圧利尿
原因薬剤
- ビタミンD製剤
- カルシウム製剤
慢性腎不全
- 慢性低カリウム血症による尿細管障害
原因薬剤
- 利尿剤
- 下剤
④尿路閉塞性
薬剤による結晶形成、結石形成による尿路閉塞性腎障害
急性腎障害、水腎症
- 過剰なプリン体生成の結果、尿路結石による閉塞
原因薬剤
- 抗がん剤による腫瘍崩壊症候群
急性腎障害
- 結晶形成性薬剤による尿細管閉塞
原因薬剤
- 抗ウイルス薬
- 抗菌薬
- トピラマート
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