【小児科医Blog:血液】血球貪食性リンパ組織球症(HLH)について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医Blog:血液】血球貪食性リンパ組織球症(HLH)について

血液

総論

・血球貪食性リンパ組織球症(HLH: hemophagocytic lymphohistiocytosis)は、持続する発熱、血球減少、肝脾腫、播種性血管内凝固(DIC)、高フェリチン血症、および骨髄などに血球貪食組織球増多をみる緊急性の高い疾患である。

・免疫の過剰活性化と高サイトカイン血症を背景とする高炎症症候群であり、一次性(原発性)と二次性に分類される。

・1次性は家族性(FHL)などの原発性免疫不全症(PID/IEI)であり、二次性は感染症やリンパ腫などに続発する。

・若年性特発性関節炎(JIA)に伴うマクロファージ活性化症候群(MAS)は続発性HLHである。

病因・病態

・リンパ球とマクロファージの持続活性化から制御不能なサイトカインが過剰産生される。

・活性化した組織球は血球を貪食し、リンパ球は臓器に浸潤する。

・FHLは、CD8陽性T細胞の活性化が持続し中枢神経病変も呈する。

・細胞障害性リンパ球(CTL:cytotoxic T lymphocyte)は、感染細胞や腫瘍細胞を排除し、免疫細胞過剰反応も制御する。

疫学

・本邦の年間発症数は人口80万人に1人である。

・小児では年間約60人で、FHLは5-10万出生に一人である。

・誘引・基礎疾患は感染症が約2/3を占め、その半数以上がEBV関連である。リンパ腫、自己免疫、原発性と他の原因が続く。

臨床徴候

・FHLは常染色体劣性遺伝病で、乳児発症が多い。

・診断基準Bの8つの臨床項目のうち、発熱は必発だが、新生児の発熱の頻度は低い。脾腫は特徴的。

・血球減少は2系統以上を有意とする。

・NK活性低下は原発性に顕著

・血清フェリチンおよびsIL-2R値は病勢と病因を反映する。

分類

一次性

・単一遺伝子異常による家族性疾患。

・乳児期発症例、家族歴や血族結婚のある症例、および中枢神経病変を合併する症例では一次性を念頭に診断を進める必要がある。

・1次性HLHでは、NK細胞活性およびCTL活性が低下、欠損している。

・括弧()内は原因遺伝子、染色体

家族性HLH:FHL1(9番染色体連鎖)、FHL2(PRF1異常)、FHL3(UNC13D異常)、FHL4(STX11異常)、FHL5(STXBP2異常)

→FHL1の原因遺伝子は同定されていない。

色素脱失を伴う家族性HLH:CHediak-Higashi syndrome(LYST), Griscelli syndrome type2(RAB27A), Hermansky-Pudlak syndrome type2(AP3B1), Hermansky-Pudlak syndrome type10(AP3D1)

・最終的には遺伝子異常の同定が診断には必要。現在かずさ遺伝子検査室にてFHL関連のターゲットパネル解析が保険診療内で施行可能である。

二次性

・他疾患に続発する場合、二次性に分類される。HLHを疑う患児がいた場合、感染症の有無、JIAなど事故炎症関連疾患の除外、リンパ腫など腫瘍性疾患の除外、他の遺伝性疾患の有無は確認が必須である。

・病歴と臨床検査として、EBV-DNA、EBVウイルス抗体価、NK(CTL)活性、リンパ球表面マーカー、感染標的細胞の確認、自己抗体、腫瘍マーカー、画像検査の評価を行う。

・感染症関連HLHがHLH症例全体の53.1%と最多。そのうち約半数(全体の28.7%)がEBウイルス関連HLH(EB-HLH)である。

・他頻度の高い感染症として、サイトメガロウイルス、アデノウイルスなどがある。

感染症関連HLH

・EBV-HLHでは、伝染性単核球症と異なり、B細胞ではなく主にCD8陽性T細胞に感染が認められる。

・EBV-HLHでは、無治療の対症療法のみで軽快する軽症例から、急速に臓器障害が進行し、エトポシドを含む多剤併用化学療法、さらには造血幹細胞移植を必要とする重症例まで幅広い臨床像を呈する。

悪性腫瘍関連HLH

・原因としては悪性リンパ腫が多く、Lymphoma associated HLH(LAHS)と呼ばれることもある。

・悪性リンパ腫の中でもT細胞性とNK細胞性のリンパ腫や未分化大細胞型リンパ腫に合併することが多い。

・原疾患に対する治療と共に、コルチコステロイドなどによる高サイトカイン血症のコントロールが必要である。

自己免疫疾患関連HLH

・最も頻度が多いのはJIAである。

・自己免疫性疾患関連HLHは、MAS(マクロファージ活性化症候群)とも呼ばれる。

造血幹細胞移植後HLH

・同種造血幹細胞移植後30日以内に発症することが多い

・この時期は血球減少やNK細胞活性をHLHの診断に用いることができない。

・他のHLで用いられる通常量のVP-16(150mg/㎡/dose)では生着不全のリスクがあるので、少量(50mg/㎡/dose)が選択されることが多い。

診断基準

・HLHの診断は下記のa)またはb)を満たすことによりなされる。

a)HLHをきたす遺伝子異常を有する

b)下記の8つの診断項目のうち5つ以上を満たす

1. 発熱

2. 脾腫

3. 2系統以上の血球減少(Hb<9.0g/dL, Plt<10万/μL, 好中球<1,000/μL)

4. 高トリグリセリド血症または低フィブリノゲン血症(空腹時TG≧265mg/dL, フィブリノーゲン≦150mg/dL)

5. 骨髄、脾臓、リンパ節での血球貪食像

6. NK細胞活性の欠損または低下

7. フェリチン≧500ng/μL

8. 可溶性IL-2受容体≧2,400U/mL

治療

・1st-lineの治療としてはコルチコステロイドの投与が一般的。

1st-line:コルチコステロイド

DEX(10mg/㎡/日) or メチルプレドニゾロンパルス療法(30mg/kg/日×3日間)

 +α:免疫グロブリン療法を併用する場合もあり。

ステロイド不応の場合

・ステロイド投与後1-2日経過しても解熱が速やかに得られない場合、HLH-94/HLH-2004プロトコールをベースとした国際組織球症学会が推奨する、DEX/CsA/VP-16を含む8週間の免疫化学療法に移行する。

・8週間の治療終了時点で寛解であれば、その時点で治療終了。

・また、HLH治療において重要なのは原因疾患毎の治療。

DEX(デキサメタゾン)

・10mg/㎡/日を2週間連日投与。

・以後は2週ごとに5, 2.5, 1.25mg/㎡/日と漸減

VP-16(エトポシド)

・150mg/㎡/日を最初の2週間は週2回、3週目移行は週1回の投与

CsA

・高血圧脳症のリスクを軽減させるため、治療開始3週目から6mg/kg/日で投与開始。


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