【小児科医Blog:PICU. 薬剤】小児の循環作動薬(カテコラミン)の使用方法 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医Blog:PICU. 薬剤】小児の循環作動薬(カテコラミン)の使用方法

PICU

総論

・ショックに対して輸液不応性ショックの場合、カテコラミンの使用が考慮されます。

・このカテコラミンですが、一般的によく使用されるのは、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン、ドブタミンなどがあります。

・どの製剤も希釈(溶解)して使用する場合がありますが、溶解方法については施設により様々です。

・当たりまえですが、薬剤毎に使い慣れた溶解方法を決めておいた方が、投与量の間違いは減ります。計算しやすい、使いやすい希釈法についてまとめます。.

溶解(希釈)方法

・下記の溶解方法で、投与速度を『体重(kg)×0.1 mL/時間』とすると、初期使用量の近似値となる(γ=μg/kg/分)

アドレナリン(Ad)

・血管収縮(α1)、心収縮(β1)作用が強い。血管拡張(β2)作用もあり。低用量ではβ作用優位、高用量ではα作用優位となる。

・交感神経系に直接作用するカテコラミン。

・アナフィラキシー、心停止、低心拍出時に使用

使用方法

アナフィラキシー

・筋注:0.01mg//kg、最大0.3mg、5-15分あけて再投与可

・筋注後もショックが続く場合、持続静注を要する場合あり(投与量は低心拍出時と同量)

心停止

・静注:0.01mg/kg, 最大1mg(成人量)

低心拍出

溶解方法:3A(3mg/3mL)/50mL になるように溶解

初期量:0.03-0.05 γ(μg/kg/min)

使用量:0.05-0.3 γ(μg/kg/min)

ノルアドレナリン(NAd)

・治療抵抗性の低血圧に使用。

・末梢血管拡張が強い場合にはノルアドレナリン、心機能低下が目立つ場合にはアドレナリンが有効。

・Adと同様に、アドレナリン受容体作動薬。α1, β1/2作用を持つが、強さはAdよりマイルド。β作用は軽度でα作用優位。

・長期投与で耐性を生じる。

使用方法

溶解方法:3A(3mg/3mL)/50mL になるように希釈

初期量:0.03-0.05γ

使用量:0.05-0.3μg/kg/min(通常最大投与量0.2γくらい)

ドパミン(DOA)

・α1、β1作用はあるが、β2作用はない。

・交感神経系に作用するカテコラミン。

・低用量ではドパミン受容体に作用し、高用量ではα受容体とβ受容体に作用する。5-10γくらいではβ作用優位。15γ以上ではα作用優位となり、体血管抵抗と肺血管抵抗ともに上昇する。

・半減期2-3分。一定の流速で8-10分投与すれば、安定した血中濃度となる。

使用方法

使用量:5-10μg/kg/min

溶解方法:0.3%シリンジ 150mg/50mL

初期量:5γ

使用量:5-20γ(通常最大投与量10γくらい)

毒性・副作用

・頻脈、不整脈、狭心症、高血圧、嘔気嘔吐。

・血管外漏出による組織壊死。

・周術期の心臓関連有害事象が増えることがある。

ドブタミン(DOB)

・低心拍出(心臓手術後、心筋症、敗血症性ショック時酸素供給増やすため、陽圧換気、心筋梗塞)に対して有効。

・心収縮(β1)作用が強く、心収縮力増加させる。また洞房結節自動能亢進による心拍数上昇もあり。房室結節伝導速度も速くなる。

・カテコラミン受容体に作用し、陽性変力作用を示す。

・長期投与により耐性が生じる。

・半減期は2-3分、一定の流速で8-10分投与すれば、安定した血中濃度となる。

使用方法

溶解方法:1A(100mg:5mL)/55mL

初期量:3-5γ(μg/kg/min)

使用量:3-15γ(通常最大投与量10γくらい)

副作用

・10μg/kg/min以下の投与量ではあまりみられない。

・不整脈、過度な頻脈、高血圧、疲労感、頭痛、胸痛を起こす

ミルリノン

・重度のうっ血性心不全、心臓手術後の低心拍出に使用

・心筋と血管平滑筋においてホスホジエステラーゼⅢを選択的に阻害する。

・陽性変力作用と血管拡張作用あり。

・左室拡張期弛緩作用あり。

・β作用なし。

・半減期は2.4時間。

・GFR低下時には半減期が長くなるため、重度な腎機能障害がある場合には減量する。

投与量

・持続静注:0.25-0.75 μg/kg/min

副作用

・心室性期外収縮、不整脈、低血圧

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