【はじめに―小児真菌感染症と抗真菌薬の重要性】
・小児科臨床において深在性真菌感染症は免疫不全児や新生児、化学療法中の小児患者などで特に問題となっています。
・抗真菌薬の選択は症例ごとのリスク評価・感染部位・真菌種と薬剤感受性に基づく個別対応が求められます。
・本記事では直近5年のPubMed、臨床ガイドラインなどを参考に最新のエビデンスと実践ノウハウを解説します。
【抗真菌薬別で適応となる主な真菌種・感染症一覧】

・カンジダ症にはフルコナゾールやキャンディン系(ミカファンギン)、アスペルギルス症にはボリコナゾール・イサブコナゾール・ミカファンギン、ムーコル症にはアムホテリシンBやイサブコナゾール、新規薬剤が用いられます。
・小児感染症のトリセツによる、抗真菌薬を抗菌薬で例えたイメージは以下の通りです。
フルコナゾール:相互作用によち注意が必要なアンピシリン。対Candida spp.で狭域
ボリコナゾール:相互作用により注意が必要なセフタジジム。Candida spp. 含め他の真菌もカバーするが、原則的に対Aspergillus spp.
ミカファンギン:移行性に注意が必要なセフォタキシム。Candida spp、Aspergillus spp.とメイン2菌腫をカバー。カバーできない真菌も明確。副作用も少なく、Empitical tharapyでの使用しやすい。しかし明らかに侵襲性アスペルギルス症を疑う場合は、他の抗真菌薬と併用は必須。
アムホテリシンB:副作用により注意が必要なメロペネム。スペクトラムが広い。
・また、難治性症例・耐性株感染時は薬剤の組み合わせを検討します。
【真菌ごとによく使われる抗真菌薬まとめ】
カンジダ症―新生児・血液がん児に多い
• 主要薬剤:フルコナゾール(第一選択)、ミカファンギン(血中投与)、イトラコナゾール(難治例)、アムホテリシンB(重症/耐性例)、フルシトシン(併用療法)
• 推奨治療期間:血液培養陰性化後2週間(新生児)、臨床症状に応じて調整
アスペルギルス症―好中球減少児、免疫抑制児
• 主要薬剤:ボリコナゾール(第一選択)、イサブコナゾール(新規)、イトラコナゾール(慢性例)、ミカファンギン・カスポファンギン(キャンディン系、救急時)
• 治療期間:通常6~12週間以上、症状と画像改善に応じて個別化
ムーコル症・フサリウム症―重症・耐性症例で問題
• 主要薬剤:アムホテリシンB(リポソーム型推奨)、イサブコナゾール(新規)、ポサコナゾール(耐性例・投与困難例)
• 早期十分量の静注治療必須。治療期間は長期・外科的介入併用あり
クリプトコッカス症(髄膜炎)
• 主要薬剤:アムホテリシンB+フルシトシン併用もしくはフルコナゾール(維持療法)、ミカファンギンは補助的
• 治療期間:数週間から数か月、免疫回復状況に応じて調整
• プロトコールに沿った血中濃度管理が必要
【小児の抗真菌薬・治療期間と投与法―症例ごとに使い分け】
治療期間と投与量の原則
・深在性真菌症(カンジダ血症は血培陰性化+2週間、侵襲性アスペルギルス症は最低6~12週間、食道カンジダ症は7~14日間など)投与します。
・小児は体重・年齢で用量調整、難治例や免疫不全状態では治療期間延長します。
投与経路の選び方
・新生児や消化管傷害児には静注剤(ミカファンギン、アムホテリシンB)、経口投与が可能な場合はフルコナゾール、ボリコナゾール。ポサコナゾールは新規投与経路として静注製剤も登場。
薬剤選択のポイント
• 感染部位(血液vs肺vs中枢神経系)
• 真菌種の確定(培養・抗原)
• 既感染症例の薬剤感受性
• 既往歴および併用薬
• 予防投与が必要か(造血幹細胞移植、化学療法児など)
【新規抗真菌薬と難治性・耐性真菌感染の最新エビデンス】
・ここ数年でイサブコナゾール、ポサコナゾールなど新規アゾール系薬剤が承認・臨床使用可能となり、特に耐性カンジダ症、ムーコル症、フサリウム症症例で治療選択肢が拡がっています。
・キャンディン系(ミカファンギンなど)は従来薬耐性症例で有効となる場合があります。
・難治性症例では薬剤を組み合わせ、アムホテリシンB+フルシトシン、ミカファンギン+他アゾール系、などmulti-modal治療や外科的介入が必要となる場合があります。
・薬剤感受性検査の結果をもとに最適な組み合わせを選択してください。
【副作用・注意点―小児抗真菌薬の安全性評価】
• ミカファンギン:肝機能異常、消化器症状(発熱・悪心・嘔吐)、血球減少が起こり得る。肝機能障害児には慎重投与
• アムホテリシンB:腎毒性・電解質異常に注意。リポソーム型は副作用軽減
• アゾール系:CYP3A4阻害・併用薬に注意。免疫抑制剤やワルファリンとの相互作用に留意
• フルシトシン:血中濃度厳密管理。腎機能障害児は減量必要
• 併用療法:副作用増強を考慮し相互作用にも十分注意
• 妊婦・授乳婦は原則禁忌。有益性が危険性を上回る場合のみ慎重使用
参考
●造血細胞移植ガイドライン
https://www.jstct.or.jp/uploads/files/guideline/01_04_shinkin03n.pdf
●発熱性好中球減少症ガイドライン
https://www.jsmo.or.jp/news/jsmo/doc/20231109.pdf


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