【小児科医blog:薬剤】小児の分子標的薬について | ゆるっと小児科医ブログ
PR

【小児科医blog:薬剤】小児の分子標的薬について

薬剤

総論

・分子標的薬は、分子量の違いにより分類すると高分子からなら抗体薬と、低分子化合物とに分類される。

・抗体薬は細胞外分子標的薬であり、細胞膜にある受容体に特異的に結合するリガンド分子や可溶型分子、細胞膜上にある受容体や膜結合型分子、分化抗原などが標的分子である。標的抗原と結合することで、その機能を阻害するほか、抗体依存性細胞障害(ADCC: antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity)や補体依存性細胞障害(CDC: complement-dependent cytotoxicity)によって効果を発揮するものもある。

・一方、低分子化合物は細胞内分子標的薬であり、受容体の細胞内に位置するチロシンキナーゼ活性部位やその他の伝達分子、プロテアソームなどが標的となる。直接標的分子に作用して、その機能を阻害することで効果を発揮する。

・また近年、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法などの遺伝子改変T細胞療法や、化学合成したオリゴヌクレオチドを標的RNAやDNAに作用させて効果を発揮する核酸医薬なども臨床応用されている。

抗体薬

・キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト型抗体、その他の抗体薬に分類される。

キメラ抗体

・可変領域がマウス由来、定常領域はヒト由来。

・薬剤名の語尾が「~ximab」と表記

リツキシマブ(リツキサン)

標的:CD20

使用法:点滴静注

対象疾患:CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫、ネフローゼ症候群、慢性ITPなど

副作用:Infusion reaction、低ガンマグロブリン血症

インフリキシマブ(レミケード)

標的:TNF-α

使用法:点滴静注

対象疾患:関節リウマチ、川崎病、クローン病、潰瘍性大腸炎など

副作用:感染症、Infusion reaction、間質性肺炎、悪性腫瘍

ヒト化抗体

・可変領域の相補性決定領域がマウス由来、その他のフレームワーク領域はヒト由来。

・語尾が「~zumab」と表記

ベバシズマブ(アバスチン)

標的:VEGF

使用法:点滴静注

対象疾患:脳腫瘍(悪性神経膠腫)など

副作用:出血、消化管穿孔、創傷治癒遅延

トシリズマブ(アクテムラ)

標的:IL-6R

使用法:点滴静注

対象疾患:関節リウマチ、キャッスルマン病、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群、SARS-CoV2肺炎など

副作用:急性過敏反応、Infusion reaction、感染症、脂質検査異常

オマリズマブ(ゾレア)

標的:IgE

使用法:皮下注

対象疾患:気管支喘息(6歳以上)、季節性アレルギー性鼻炎/特発性慢性蕁麻疹(12歳以上)

副作用:急性過敏反応、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、めまいなど

メポリズマブ(ヌーカラ)

標的:IL-5

使用法:皮下注

対象疾患:気管支喘息(6歳以上小児適応あり)

副作用:アナフィラキシーなど

ヒト型抗体

・語尾が「~(m)umab」と表記

ニボルマブ(オプジーボ)

標的:PD-1

使用法:点滴静注

対象疾患:ホジキンリンパ腫など

副作用:免疫チェックポイント阻害抗体薬自己免疫症状

アダリムマブ(ヒュミラ)

標的:TNF-α

使用法:皮下注

対象疾患:若年性特発性関節炎(4歳以上)、潰瘍性大腸炎(5歳以上)など

副作用:感染症、ループス様症候群、脱髄疾患、過敏症、血液障害、間質性肺炎、肝障害など

低分子化合物

・キナーゼ酵素阻害薬、セリン・スレオニンキナーゼ阻害薬、エピゲノム薬、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、核酸医薬に分類される。

キナーゼ酵素阻害薬

イマチニブ(グリベック)

標的:BCR::ABL

使用法:内服

対象疾患:CML, Ph+ALL, KIT陽性消化管間質腫瘍

・ABL、PDGFRB, KITなどを阻害

副作用:悪心、下痢、筋痛、成長遅延

ニロチニブ(タシグナ)

標的:BCR::ABL

使用法:内服

対象疾患:CML

ABL, KIT, PDGFRなどを阻害

副作用:QTc延長、アミラーゼ上昇、血糖値上昇、成長遅延

ダサチニブ(スプリセル)

標的:BCR::ABL

使用法:内服

対象疾患:CML, Ph+ALL

ABL, SRC, KIT, PDGFRBなどを阻害

副作用:体液貯留(胸水、腹水)

ボスチニブ(ボシュリフ)

標的:BCR::ABL

使用法:内服

対象疾患:CML

ABL, SRC, KIT, PDGFRBなどを阻害

副作用:下痢、皮疹、嘔吐、全身倦怠感

ポナチニブ(アイクルシグ)

標的:BCR::ABL

使用法:内服

対象疾患:CML, Ph+ALL

他のABL阻害薬が無効なT315I変異にも有効

副作用:膵炎、皮疹、血栓症

アシミニブ(セムブリックス)

標的:BCR::ABL

使用法:内服

対象疾患:CML

副作用:骨髄抑制、膵炎、QT延長症候群、感染症

ルキソリチニブ(ジャカビ)

標的:JAK

使用法:内服

対象疾患:骨髄線維症など/急性および慢性GVHDに有効

JAK1/2を阻害

副作用:骨髄抑制、感染症、出血、肝機能障害

トファシチニブ(ゼルヤンツ)

標的:JAK

使用法:内服

対象疾患:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎

JAK1/2/3を阻害

副作用:感染症、悪性腫瘍、血液毒性、脂質検査値異常、肝障害

デルゴシチニブ(コレクチム軟膏)

標的:JAK

使用法:外用

対象疾患:アトピー性皮膚炎

セリン・スレオニンキナーゼ阻害薬

シロリムス(ラパリムス)

標的:mTOR

使用法:内服

対象疾患:リンパ管疾患

副作用:間質性肺炎、感染症、悪性腫瘍、脂質異常、創傷治癒不良、蛋白尿

エピゲノム薬

アザシチジン(ビターザ)

標的:DNAにメチル化

使用法:皮下注、点滴静注

対象疾患:骨髄異形成症候群、AML

脱メチル化薬

その他

ボルテゾミブ(ベルケイド)

標的:プロテアソーム

使用法:点滴静注

対象疾患:多発性骨髄腫など;ALLに有効

プロテアソーム阻害薬

副作用:肺障害、心障害、感染症、末梢神経障害、血液毒性、低血圧

核酸医薬

ヌシネルセン(スピンラザ)

標的:SMN2遺伝子

使用法:髄腔内投与

対象疾患:脊髄筋萎縮症

SMN2遺伝子のpre-mRNAを標的とする低分子化合物でアンチセンスオリゴヌクレオチド

副作用:水頭症など

リスジプラム(エブリスディ)

標的:SMN2遺伝子

使用法:内服

対象疾患:脊髄筋萎縮症

SMN2遺伝子のpre-mRNAを標的とする低分子化合物で、選択的スプライシングを修飾する

ビルトランセン(ビルテプソ)

標的:ジストロフィン遺伝子

使用法:点滴静注

対象疾患:デュシェンヌ型筋ジストロフィー(4歳以上小児適応あり)

ジストロフィン遺伝子のエクソン53を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド

副作用:発熱、蕁麻疹、BNP増加、NAG増加

コメント

タイトルとURLをコピーしました
google.com, pub-9029171507170633, DIRECT, f08c47fec0942fa0