総論
・呼吸障害の原因にかかわらず、「呼吸不全への急速な進行」、「呼吸窮迫でバックバルブマスクやNPPVなどの非侵襲的な呼吸補助を行っても呼吸状態が改善しない」、「全身状態の増悪を認めた場合」などでは気管挿管の適応となる。
・気管挿管後は、人工呼吸管理を行う。
喉頭鏡ブレード
・小児、特に乳児の喉頭は、成人と比較して頭側の浅い位置にある。
・乳児の喉頭展開においては、喉頭蓋を間接的に挙上する曲型(マッキントッシュ型など)よりも、喉頭蓋を直接挙上する直型(ミラー型など)の方が喉頭の良好な視野を得やすいとされる。
気管内チューブについて
・どれくらいの内径を使えばいいのか、そしてどのくらいの長さを挿管すればよいのかまとめます。
内径(mm)
・2歳以降では、下記の簡易的な式で内径を概算できる。
カフなし:チューブ内径=4 + 年齢/4 (mm)
カフあり:チューブ内径=3.5+ 年齢/4 (mm)
・陽圧換気時に、気管チューブと声門の間から空気漏れ(リーク)が生じる程度の太さが適切。
・リークを生じる程度のサイズの気管チューブは気管への圧迫が少ないため、喉頭浮腫の程度が軽く、抜管困難症の発生を防ぐことが期待されている。
・よって、リークが全くない場合には、チューブ内径を1サイズ(0.5mm)下げる。
挿管の深さ(cm)
チューブ先端から口角までの長さ= 12 + 年齢/2 (cm)
または、(気管内チューブの内径) ✕ 3 (cm)
・上記の計算式はあくまで概算であり、気管挿管後の聴診や胸部X線写真を元に、先端位置の微調節が必要である。
管理目標
・以下のような目標値となるよう、人工呼吸器の設定を調整する。
・細かく状態を確認して速やかに設定調節するのがポイント。
最大吸気圧(PIP)
・30cmH₂O以下 を目標とする。
動脈血
・pH 7.25〜7.45
・酸素分圧(PaO2) 90〜150mmHg
・二酸化炭素分圧(PCO2) 35〜50mmHg
モニター
・SpO2 93〜98%
100%でも酸素毒性あるので高すぎない管理とする。
・呼気終末炭酸ガス(EtCO2) 30〜50mmHg
初期設定
・実際に呼吸器設定を決めるとき、治療中の調整は上記の管理目標に合わせるが、そもそも初期設定をしなければ、目標を決めても治療がスタートできない。
・そして、この初期設定こそ、施設によってまちまちで定まっていないものでもある。
換気モード
以下の設定モードがある(呼吸器により名称が異なるが)
・A/C(Assist Control)
→さらに、圧規定(PC)と量規定(VC)に分けられる。
・SIMV(Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation)
→A/CとSIMVは、両者ともに設定換気回数以下の自発呼吸の場合、設定換気回数の『強制』換気を行う。2つの違いとしては、A/Cは「トリガされた全ての呼吸に強制換気する」が、SIMVは「設定換気回数以上の呼吸に補助換気」を行う
・PSV(Pressure Support Ventilation)
・PRVC(Pressure Regulated Volume Control)
→VT(Tidal Volume: 1回換気量)を設定するが、設定したPIPに達した場合それ以上の吸気が行われない。肺保護換気モード
PIP
・≦30cmH₂Oの範囲で下記のVTを得られるPIPを設定する。
・高圧アラームは設定したPIPより10cmH₂Oくらい高い圧にする。
強制換気の場合
・VT 6〜8 mL/kg(リークのある場合は10 mL/kg)
補助換気の場合
・VT 4〜6 mL/kg
FiO2
・FiO2は0.5くらいから開始。
・その後、SpO2≧90%を維持できるFiO2に調整する。その際は、もちろんSpO₂100%にする必要はない。
・PEEPを高くしてFIO2を低くすることも可能。
PEEP
・必要なFiO2の値によって設定する。
FiO2<0.4
・PEEP4
FiO2 0.4〜0.5
・PEEP5〜7
FIO2 0.5〜0.6
・PEEP8〜10
換気回数
・生理学的な正常呼吸回数より少ない呼吸回数で開始する。
・つまり、どれだけ大きい小児でも成人の換気回数である10-12/回は超えない。
新生児
・30〜40/分
1歳
・20〜30/分
5歳
・15〜20/分
10歳以上
・10〜15/分
吸気時間
・吸気時間/呼気時間(I/E)比が1:1以下(1:2、1:3など呼気の方が長い)となるように設定する。
補助換気(PS)
・10cmH₂Oから開始する。
・自発呼吸のVT4〜6mL/kgとなるように調整する。
気道の加湿と吸引
・小児に用いられる気管チューブは内径がより細いため、加湿が不十分であったり、吸引カテーテルの挿入長が不十分であったりすると、容易に軌道分泌物による閉塞をきたし、生命に関わる大きなトラブルの原因となりうる。
DOPE
・気管切開管理中や、人工呼吸中に患者の容態が急変した場合、直ちに原因を検索して問題を是正する必要がある。
・鑑別すべき病態の文字を語呂合わせにしたDOPEを利用して、迅速かつ効率的に状況の把握に努める。
Displacement of the tube from trachea:気管チューブの位置
・気管チューブの固定が外れたり、ズレていないかを確認する。
・また、両側呼吸音を確認し、均等に換気されていることを確認する。
Obstruction of the tube:閉塞
・気管チューブや呼吸回路の屈曲・閉塞がないことを視認し、気管チューブに吸引カテーテルを挿入するなどして、抵抗なく挿入可能であることを手早く確認する。
Pneumothorax:気胸(特に緊張性気胸:tension pneumothorax)
・患側で呼吸音が減弱し、皮下気腫が認められることがある。典型例では頸静脈の怒張や健側への気管偏位が認められるが、とくに乳児では明らかでないことも多い。
・外傷に併発したものでは、打撲痕や皮下出血などを認めることがある。
Equipment failure:機器・装置
・適切に機器や装置が作動しているか確認する。
・高流量酸素を流した蘇生バッグに接続して用手換気を行いながら、機器、装置に不具合がないかを確認する。
・呼吸回路の接続や、吸入酸素濃度、人工呼吸器の作動(電源、設定、回路の接続など)を確認する。
・さらに、モニターが正常に作動していることを確認する。
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