【小児科医Blog:感染症, PICU, 論文】小児の敗血症/敗血症性ショック | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医Blog:感染症, PICU, 論文】小児の敗血症/敗血症性ショック

PICU

・今回は、敗血症/敗血症性ショックについてまとめました。

・また、JAMAから新たなスコアリング(The Phoenix Sepsis Score)が発表されていたので、そちらもチェックしてみました。

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定義

敗血症

・感染症により重篤な臓器障害が引き起こされた状態

敗血症性ショック

・敗血症により急性循環不全を伴い、細胞障害あるいは代謝異常が重度となる状態

敗血症性ショックの所見

身体所見

・発熱/低体温

 →早期にはwarm shock(四肢温感・紅潮、脈圧増大を伴う低血圧)を呈するが晩期はcold shock(四肢冷感・蒼白、脈圧減少を伴う低血圧)へ進行

・頻拍

・脈圧増大を伴う低血圧

・温かく紅潮した末梢皮膚(皮膚温感)

・点状出血、紫斑

・易刺激性/意識レベル低下

検査所見

・代謝性アシドーシス

・白血球数異常(増加/減少)、核の左方移動

・乳酸値上昇

病態

・感染による全身性炎症反応

・血管抵抗が低下し血流分布の異常が起こる(血液分布異常性ショック)

・毛細血管透過性亢進による血管外への血漿漏出(相対的に循環血液量は減少する)

・DICや心筋機能障害を合併する

国際スコア:The Phoenix Sepsis Score

・今回、JAMAより以下のような敗血症/敗血症性ショックの国際的評価基準が示された。

JAMA January 21, 2024

International Consensus Criteria for Pediatric Sepsis and Septic Shock

上記日本語訳はHOKUTOより引用:https://hokuto.app/post/Ju8ZF8VCnVi0GvIDIGCP

・小児臨床医は、全身性炎症反応症候群(SIRS)基準を以前は用いて敗血症診療を行っていた。

SIRSの基準(Goldstein)

次の4項目のうち最低2項目を満たすもの。ただしそのうちの一つは体温の異常か白血球数の異常とする

・深部体温>38.5℃または<36.0℃

・年齢ごとの2SDを超えつ頻拍、あるいは説明がつかない持続的な頻拍が30分から4時間以上も続く場合、または1歳未満で年齢毎の10%未満の徐脈

・年齢ごとの2SDを超える頻呼吸、あるいは人口呼吸を必要とする状態

・年齢ごとの基準から逸脱した白血球数

・今回、新たな敗血症の評価スコア、「フェニックス・スコア(The Phoenix Sepsis Score)」が発表された。

※2024年のSCCM会議(アリゾナ州フェニックス)で基準が発表された場所にちなんで。世界的に適用できるよう、神話に登場する不死鳥の象徴的な意味から命名。

 SCCM=The Society of Critical Care Medicine

 クリティカルケア医学会(重症治療学会)

・上記のフェニックス・スコア(The Phoenix Sepsis Score)が2点以上の場合、小児の院内死亡率はリソースの豊富な環境では7.1%, リソースの乏しい環境では28.5%として、スコア基準を満たさない小児よりも8倍以上死亡率が高いとされた。

※低リソース環境:機械的人工呼吸、血管作動薬など利用できない。評価に必要な検査が行なえない環境

敗血症の基準

・呼吸器系、心血管系、凝固系、神経系の機能障害を含む、Phoenix Sepsis Score2点以上

敗血症性ショックの基準

・Phoenix Sepsis Score2点以上

・少なくとも1点は心血管系である敗血症

適応

・小児敗血症の基準は18歳未満の小児は適用されるが、新生児や修正37週未満の新生児には適用されない

・全身性炎症反応症候群に基づく以前の基準は、小児の敗血症に用いるべきではない。

診断フロー(The Phoenix Sepsis Scoreを元に)

・敗血症が疑われた場合、臓器機能障害の評価のためフェニックス敗血症スコアをつける。

・敗血症の基準を満たす場合、敗血症性ショックの基準に該当しないか確認。

血圧低下の対応

・血圧低下に対する加療は、輸液と昇圧薬がメイン。

初期対応:輸液

・基本的には、まずは輸液。20mL/kgの生理食塩水の急速投与。

輸液への反応不良:血圧正常

・ドパミンを投与する。

輸液への反応不良:低血圧+末梢warm

・ノルアドレナリンを投与する。

・それでも低血圧が回復しない場合、α受容体刺激作用を有する血管収縮薬であるバスプレシンの有効性が示唆されている。

輸液への反応不良:低血圧+末梢cold

・アドレナリン投与が推奨

治療への反応性評価

・輸液、昇圧薬加療を行う際の基準として、尿量が一つの指標。

・乳児では2mL/kg/時、幼児では1mL/kg/時くらいの尿量が下限となるので、それ以上をキープしたい。

参考書籍

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