【小児科医Blog:循環器】心タンポナーデについて | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医Blog:循環器】心タンポナーデについて

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総論

・心タンポナーデは、心嚢(心膜腔)に液体(血液や滲出液)が急速に貯留し、心臓の拡張が制限されることで血液循環が障害される(LOSに陥った状態)、緊急疾患です。

・この状態では心拍出量が低下し、ショックや死に至る可能性があります。特に小児では迅速な診断と治療が重要です。

病態生理

  • 心膜腔内圧が上昇すると、右室や右房の拡張が阻害されます。
  • 静脈還流が障害され、心拍出量が低下。
  • Beckの三徴(頸静脈怒張、低血圧、心音減弱)が典型的な所見です。

MSDマニュアル:心タンポナーデ

心タンポナーデ - 25. 外傷と中毒 - MSDマニュアル家庭版
心タンポナーデ -原因、症状、診断、および治療については、MSDマニュアル-家庭版のこちらをご覧ください。

主な症状

  • 呼吸困難(多呼吸)
  • 頻脈
  • 血圧低下
  • 奇脈(吸気時の収縮期血圧低下:血圧差10mmHg以上)
  • 心膜摩擦音(聴診)

・1935年 Beck’s triad:頸静脈怒張、心音減弱、血圧低下

 →急性心タンポナーデでは認められるが、3徴すべてが認められるわけではない。

・新生児や乳児では、頻脈だけの症状だったり、顔色不良や不機嫌といった非特異的症状のみ呈する場合があり注意。

分類

・心嚢膜は伸展性が乏しいため、少量の血液や凝血塊でも、急激に貯留すれば速やかに心嚢内圧が上昇し、心タンポナーデを引き起こします。

・心タンポナーデは発症速度によって、「急性型」「慢性型」に分類されます。それぞれの原因は以下の通りです。

急性型

急速に心嚢液が貯留した場合、はじめは心嚢の拡張により代償されますが、いったん臨界点を超えると一気に心嚢内圧が上がります。

  • 心筋梗塞後の心破裂
  • 大動脈解離
  • 外傷(交通事故や刺傷)

慢性型

心嚢液が数日から数週間かけて緩徐に貯留した場合、心嚢の受動的な進展が得られるため、心嚢内圧の上昇は急性と比較し緩やかになります。

  • 悪性腫瘍による心膜転移
  • 結核性またはウイルス性心膜炎

小児における原因

・小児では感染症(細菌性またはウイルス性)、先天性心疾患、医原性(カテーテル操作中の穿孔)が主な原因です。

・心臓手術後の合併症として比較的頻度が多く、特に心肺バイパスのような体外循環回路を使用する手術においては、術後出血のリスクは高いといえます。

診断

臨床所見

診断には以下の臨床所見が重要です。

  • Beckの三徴:頸静脈怒張、低血圧、心音減弱。
  • 奇脈:吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下
  • 頸静脈怒張や呼吸困難なども頻繁に認められます。

画像診断

最も有用な検査は以下の通りです。

  • 心エコー検査:リアルタイムで心嚢液貯留を確認可能、心嚢液の診断において第一の手法。液体の貯留する部位により、全周性と限局性に分けられるが、限局性では主に、①右室の前面~側面、②右房自由壁周囲、③左房後面に血腫が好発します。
  • 胸部X線:心拡大や肺うっ血の確認。特に縦隔陰影の拡大有無を確認します。
  • CT/MRI:詳細な解剖学的情報を把握する。

治療

心嚢穿刺(ドレナージ)

・最も重要で即効性のある治療法です。エコーガイド下で行うことで安全性が向上します。

方法

  • 剣状突起アプローチ:従来から使用される方法。
  • 胸骨左縁アプローチ:最近推奨される安全性の高い方法。

外科的治療

以下のような外科的介入も行われます。

  • 心嚢開窓術:再発予防や持続的排液目的。
  • 心膜切除術:収縮性心膜炎などの場合。

再発予防策

  • 定期的な画像検査で再発兆候を早期発見。
  • 原因疾患(例:悪性腫瘍や感染症)の積極的管理。


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