Intro
・外来で溶連菌、今年は増えていますよね。溶血性レンサ球菌感染症(溶連菌)について、以前からブログにはまとめています(主に症状・疫学や合併症の内容について)。
・溶連菌はリウマチ熱の他、腎炎(ASPGN)や関節炎(PSRA)などの合併症を起こすこともあり、学んでいくと奥が深い感染症だなあ…と感じます。
・今回は薬物治療についてをまとめます!!
溶血性レンサ球菌感染症の種類
・溶連菌は、Lancefieldの分類ではA・B・C・G−群などがあり、A群溶連菌(group A streptococci: GAS)、B群溶連菌(group B streptococci: GBS)が代表的です。
・また、Streptococcus anginosus group(SAG)の中には、多様な溶血パターンを呈するレンサ球菌があり、一部β溶血性です。SAGはLancefield分類のC・G・F・A群に分類されます。
GAS
・細菌による直接的な感染症、細菌が産生する毒素性疾患、免疫応答による二次性疾患を引き起こす。
・まれだが、菌血症から骨髄炎、関節炎などの侵襲性感染症、毒素性ショック症候群(TSS)などの致死的感染症もある。
・GASの合併症として、リウマチ熱や急性糸球体腎炎があるが、近年、日本含む先進国では稀になった。強迫性障害やチックなどを引き起こすPANDAS(pediatric autoimmune neutopsychiatric disorder associasted with group A streptococci)とGASとの関連も議論されている。
SAG
・口腔内や消化管に存在する菌で、膿瘍を形成する化膿性疾患の原因菌の代表。
・培地のコロニーでは、キャラメル様の特徴的な匂いがある。
・さまざまな臓器に感染を起こすが、小児期では腹腔内膿瘍、軟部組織の膿瘍、思春期では副鼻腔炎からの周囲組織への膿瘍形成がある。
溶連菌の種類毎の抗菌薬治療
・起因菌の感受性判明後の主な抗菌薬治療についてまとめます。
GAS
軽症の外来治療の場合
アモキシシリン 40-60 mg/kg/日 分3-4内服
GASの咽頭炎では10日間
・膿痂疹などの皮膚感染症でMSSAも両方カバーする場合は、セファレキシンが選択肢。
入院治療の場合
アンピシリン 100-200 mg/kg/日 分3-4 点滴静注
GAS:TSS
・まれですが、毒素性ショック症候群(TSS: toxic shock syndrome)という致死的な病態を起こすことがあり、通常のGASとは治療内容が異なります。
・壊死性筋膜炎などの軟部組織感染症にTSSが合併することが多いとされます。毒素産生抑制のため、クリンダマイシン(ダラシン)を使用します。
・また、薬剤感受性がS(Susceptible:感受性) or R(Resistant:耐性)など薬剤感受性検査の結果によっても、使用薬剤が異なります。クリンダマイシン耐性(薬剤感受性R)の場合、リネゾリド(ザイボックス)を使用します。
・臨床的に改善あれば、クリンダマイシンorリネゾリド併用は終了し、アンピシリン単独の治療になります。
クリンダマイシンがSの場合
アンピシリン 300-400 mg/kg/日 分4 点滴静注
クリンダマイシン 25-40 mg/kg/日 分3-4点滴静注
クリンダマイシンがRの場合
アンピシリン 300-400 mg/kg/日 分4 点滴静注
リネゾリド ≧12歳:1200 mg/日 分2 点滴静注
<12歳: 30 mg/kg/日 分3 点滴静注
GBS(正期産・正常体重児)
・髄膜炎や敗血症では、初期にゲンタマイシン(ゲンタシン)を併用します。これは、シナジー効果を期待して、より効果的な殺菌作用を得るためです。
菌血症の治療の場合
アンピシリン 100-200 mg/kg/日 分4 点滴静注
ゲンタマイシン 7.5 mg/kg/日 分3 点滴静注
髄膜炎の治療の場合
アンピシリン 300 mg/kg/日 分4 点滴静注
ゲンタマイシン 7.5 mg/kg/日 分3 点滴静注
SAG
・SAGは嫌気性菌との混合感染も多く、一般に感受性のある抗菌薬と嫌気性菌カバーを併用します。
・また、膿瘍形成があれば、積極的に外科的ドレナージを行います。
軽症の外来治療の場合
アモキシシリン・クラブラン酸 (合剤として)96.4 mg/kg/日 分2 内服
入院治療の場合
参考書籍
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