こんにちは、小児科医りんご🍎です!
公園やお友達の家でトラブルが起きたとき、お子さんが頑なに「ごめんなさい」を言えなくて、焦ったり、気まずい思いをしたりした経験はありませんか?
「ほら、ごめんなさいは?」「謝りなさい!」とつい声を荒らげてしまい、後で自己嫌悪に陥る……ということ、子育てをしていると、あるのではないかと思います。
今回は、小児科医の視点から、子供が「ごめんなさい」と言えない理由(脳の発達)と、無理に謝らせるよりも子供の共感力をグッと育てる「魔法の質問」について、詳しく解説します。
なぜ「ごめんなさい」が言えないの?(脳の発達と心理)
まずは、親御さんに知っておいていただきたい事実があります。それは、「ごめんなさい」と言えないのは、意地悪だからでも、親のしつけが悪いからでもないということです。
これには、子どもの「脳の発達」が大きく関わっています。
前頭前野の未発達
相手の立場に立って考える「共感力」や、自分の感情をコントロールする脳の部位(前頭前野)は、幼児期にはまだ未発達です。完全に成熟するのは20代になってからと言われています。
闘争・逃走反応
トラブルが起きて親から「謝りなさい」と迫られると、子どもは強いストレスを感じます。すると脳は自己防衛モード(闘争・逃走反応)に入り、言葉をシャットダウンしてしまったり、泣き叫んだりしてしまいます。
「バツの悪さ」の処理ができない
悪いことをしたと薄々気づいていても、その「バツの悪さ」や「恥ずかしさ」という複雑な感情を自分の中でどう処理していいか分からず、フリーズしてしまうのです。
言葉だけで「ごめんなさい」と言わせることは簡単かもしれません。
しかし、心からの理解がないまま無理やり言わせた「ごめんなさい」は、単なる「その場を切り抜けるための呪文」になってしまい、他者への思いやりを育むことには繋がりません。
小児科医おすすめ!共感力を育てる「魔法の質問」
無理に「ごめんなさい」と言わせる代わりに、子どもの脳に働きかけ、自分で考える力を促すアプローチをご紹介します。それが以下の「魔法の質問」です。
1. 「何があったの?」
まずは、子どもを責めるのではなく、状況を整理させます。子どもなりの言い分(「おもちゃを取られそうになった」「貸してほしかった」など)を言語化させることで、興奮した脳を少し落ち着かせる効果があります。
2. 「〇〇ちゃん、今どんな気持ちだと思う?」
これが、相手の視点に立つ練習(心の理論の育成)になります。最初は「わからない」と答えるかもしれませんが、「泣いているね。痛かったのかな?悲しいのかな?」と、大人がヒントを出して一緒に考えてあげてください。
3. 「どうしたらよくなるかな?」
「謝りなさい」と命令するのではなく、解決策を自分で考えさせます。 「おもちゃを返す」「絆創膏を持ってくる」「よしよしする」など、謝罪の言葉以外にも関係を修復する方法があることを学ぶ、非常に重要なステップです。
実践!トラブルが起きたときの4ステップ
実際にトラブルが起きた際は、以下の手順で対応してみてください。
安全確保とクールダウン
叩いたり物を投げたりした場合は、まずは物理的に引き離します。親も深呼吸をして、子どもの興奮が少し落ち着くのを待ちます。
気持ちの代弁(共感)
「あのおもちゃ、どうしても使いたかったんだね」「順番待てなくて悔しかったね」と、まずは子どもの気持ちを肯定します。
気持ちを受け止めてもらうことで、子どもは聞く耳を持つことができます。
逆に言うと、気持ちを受け止められないで叱られると、子どもはその後全然話しを聞いてくれなくなります。
魔法の質問を投げかける
上記で紹介した「何があったの?」「どうしたらいいかな?」を優しく問いかけます。
親がお手本を見せる
子どもがどうしても行動に移せない時は、親が代わりに「痛いことしてごめんね。おもちゃ貸してほしかったみたいなんだ」と相手に謝る姿を見せてください。子どもは、親の背中を見て「こういう時はこうやって関係を修復するんだな」という社会的スキルを学習していきます。
最後に:焦らなくても大丈夫です
「ごめんなさい」という言葉そのものよりも、「相手を思いやる心」と「失敗してもやり直せるという経験」を育てることのほうが、子どもの長い人生においてずっと大切です。
今日からすぐにできるようになる必要はありません。「脳の発達中だから仕方ないな」と少し肩の力を抜きながら、気長にサポートしていきましょう。


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